5.志願する少女
11話目「志願する少女」
次は第五次『蒼穹』討伐戦の話をしようか。
まず『蒼穹』ってのは七竜が一体、青の支配者なんて呼ばれている『蒼白』の別名だね。ああ、さすがにそれは知ってたか。一応話しておくと、別名の由来は空に飛び上がったときに、体色が保護色になって見えなくなってしまうことから。ほかに、掌る水系統の霧と氷によって森を天然の迷路にしてしまうことから『迷宮』なんて別名もあった。こっちは知らなかったかな。
これはミィが十二の年、つまりオーリーが十の年の作戦でね、オーリーが召集されてしまったからミィも志願したんだよ。結果から言うと、ミィがいなければどうにもならなかった。理由は『蒼白』が造りだす『迷宮』のせい。ミィの人間離れしたとしか言いようがない、その超人的な感覚を全面的に頼らざるをえなかったんだよ。
「たぶん、あれが竜の巣。……届くわよね?」
このとき、ミィが騎士を一人指名したんだけどね、顔が若干引き攣ってたよ。若手ナンバーワンの弓使いで、以前ミィに喧嘩を売ったあげく、負けて五時間コースの説教をくらったらしい。若手の騎士団員は、ミィに恐れをなしているとかいないとか。
なぜ彼が矢を射るのかというと、竜を巣穴からおびき出すため。巣穴の中に矢を飛ばして、『蒼穹』が出てくれば戦闘開始。でも、中々巣に届かないんだ、これが。『迷宮』が邪魔してね、見えている方向にやっても全然方向が違うんだよ。最終的には、ミィに目隠しされて体の感覚だけで撃ち出してた。それで安定して同じところに飛ばせるんだから、さすがにナンバーワンっていわれるだけあるよ。
「隊長。もう出てきそうだから魔法の準備始めてください。ロイさんも『虹』の準備して」
そう言うと、ミィは数百人全員を回って、それぞれの立ち位置からのおおよその方向と距離を教えていく。
全員の準備が終わる前に、蒼き竜『蒼白』が姿を現した。天気は晴れ。飛び上がられてしまったら視認できなくなってしまう。その前に畳み掛けるのがベストだ。
結局、このときの作戦は失敗。四日間で五十名弱の犠牲を出したけど、前回、前々回のときは数名が作戦失敗伝えるために逃がされただけだと聞いていたから、僕も怖かったんだ。だけど、ミィの先導のお陰で『迷宮』を抜けて無事に帰ってくることが出来た。この作戦では、巣の場所を地図上に残せたから、それだけでも十分な成果だったと騎士団長から聞いたときには、やっぱりミィはすごいなあ、って思ったよ。
次話より第三章




