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求める者。  作者: 薄桜
3/5

3.予想外な事実と、不可解な謎

毎朝の日課。

いつものように安田家のチャイムを鳴らすが、いつもの足音がしない。

不思議に思っていると、航が出てきた。

「毎朝、ご苦労さん」

「偉そうに・・・そう思ってんなら、毎朝待たせんな。」

はっはっはと、悪びれた様子も無く笑う。

「つーか、笑い過ぎ。」

「いや、途中からねーちゃんの事思い出してさ。」

「はぁ? そういえば葵姉は?」

それがさ・・・と、航は昨夜の話を始めた。


「放課後に2号棟裏?・・・ベタだな。」

「お前もよく呼ばれてんだろ? 為井くん、好きです!!」

「気持ち悪い。」

「うらやましいよな~」

何となく無邪気な表情と、能天気な物言いに腹が立った。

真摯な思いを断る作業のどこが楽しい?

あんなに面倒なものは無いぞ?

「じゃぁ、朋ちゃんにその事を伝えておくよ。」

「はぁっ? 何で?」

「誰かに告白されたいんだろ?」

「波風立てるような事すんな。」

あぁ、本気で慌てている。

まぁ朋ちゃんなら、「じゃぁ私がもう1回!」とか言って、サプライズな告白を

企てるかもしれないけど。

航は愛されてるな~なんて思ったが、そんな事を言ってやるような優しい

気分では無いので、焦った航をそのままに、

少し早足で歩き出した。


昼休み。

売店で買ったサンドイッチと豆乳、そして読みかけの本を持って、屋上に上がる。

少し裏にまわった所が指定席。

程よく日陰で、風が吹き抜ける場所で、何より人が少ないのが気に入っている。

今日も、静かな一人の時間を満喫しようとした時、よく知ってる声がした。

「おーいたいた、聡太くん発見!」

「あれ? 朋ちゃん一人?」

「そっ、用事があるからって航は撒いて来たの。」

撒く? ・・・やっぱり振り回されてるな。

彼女は、『石川 朋花』中学の時から、航の彼女だ。

予想の上を行く事をやってのける、見てて飽きない子だ。

あくまでも見ている分には、だ。

直接被害に遭っているはずの航は、毎回楽しそうで、少々理解に苦しむ。


「で、用事って僕に?」

「当然。」

と、満足げににんまりと笑った。


「聡太くんさぁ、何が不満なの?」

唐突だった。

不満?

「だって、今日は朝からいつもに増して意地悪じゃん?」

「意地悪?」

「そう、航に対する突込みが情け容赦無い。」

そんなに酷かったか?

「身に覚えの無い抗議だな、航が泣きでもしたか?」

「ははは、まさか。航は打たれ強いから、もっと酷くても全然平気だよ~」

話の軸がずれている。

意地悪と言ってたはずだが、もっと酷くて平気って、彼女の台詞とは思えない。

「ひょっとして恋の悩み~?」

何故そうなる?

目を輝かせ楽しそうな表情で、正面に座り込んだ。

「何を根拠に、そんな話しになるんだ?」

なんとなく、居心地の悪さを感じ、少し視線をそらせて言い返した。

「おや? 図星?」

そうなのか?

こちらを構う事無く、朋花は続ける。

「だって、勉強なんかじゃ悩む事なさそうだし、教室でも一線画してるとこは

あるけどそれなりだし。」

それなりって何だ?

「そだ、知らないだろうけど、最初は私も聡太くん狙ってたんだよ。」

「はっ?」

「でもさ~、ずっと遠く見てるって言うか、ずっと誰かを見てるよね~、だから

いくら頑張っても無駄だなって思ってさ、3日くらいで止めちゃった。」

「・・・って航は?」

「いいの、面白いから航は別格。・・・とにかく、悩むな少年。」

「同い年だろ?」

「いーの、いーの。」

そして、ふざけた態度から一転、真面目な顔で正面から見据えられた。

「うじうじしてないで、いい加減動け。」

「・・・・・・。」

気迫に負けた・・・気がする。

しかし、それも一瞬の事で、再びにやりと笑い。

「駄目でも大丈夫。聡太くん目当ての子は、た~っくさんいるんだから。」

「・・・おい、それのどこが大丈夫なんだ? つーか人としてどうなんだ?」

「さぁ~?」

ひとしきり笑った後、朋花は

「言いたい事は行ったから、もう戻るね~」

と、去って行った。


結局、サプライズの告白を受けたのは僕だった。


・・・言いたい事か、

思わず、ため息が出た。



放課後、朋花の言葉に背中を押された・・・からかどうなのか、気になって仕方がないのは

本当なので、ついつい2号棟の裏まで来てしまった。


そこにはもう、葵姉が居て・・・腕組みで、仁王立ち?

ほどなく、二人の男子生徒が近づいてきた。

おいおい、付き添い有りって、どこの女子だ?


一人の男が前に出て、何か言っている。

すると、葵姉は右手で額を押さえ、話を途中で止めた?

今度は男を指差し、「・・・考古学者なんかじゃないから・・・」

遠過ぎて、殆ど何言ってんのかわからないけど、

本当に、何の話だ?

その後も、何か一方的に言ってるみたいだが、そのうち耐えられなくなったのか

男が逃げた。

あれは、どうやら泣いている?

それを、付き添いの男が慌てて追いかける。

・・・一体何を言ったんだ葵姉?


心配してたのが馬鹿らしくなって、思わず吹き出した。

「安心したかい、聡太くん?」

「み、美晴さん!? いつの間に現れたんですか?」

背後の声の主は、こちらを見る事無く、前を向いたまま宣言した。

「私は神出鬼没が信条なの。」


葵姉の友達だから、昔から知ってるけど、未だに分からない人だ。

「面白い物が見れて、満足満足。だがしかし、言い過ぎかな・・・鬼と呼ばれても仕方ないな。」

・・・本当に、一体何言ったの?

「って、何言ってたか聞こえたんですか?」

美晴さんは、ふと興味を覚えた顔でこちらを向く。

「知りたい?」

「はいっ。」

間髪入れずに答えたが、

「結果も良かったんだけどね、・・・もったいないから、秘密。」

本当に、分かんねー!!

「もったいないって何ですか?」

イライラしながら聞くと、

「パズルのピースは、他のじゃ駄目なんだよ、決まった形でないと嵌まらないんだよ。」

意味不明な事を言った。

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