1.目に見える距離、感じる距離
初めて書いたものです。
全部で、5話あります。
淡いピンクの花の中に、目にまぶしい緑が混じり始めた。
入学式から1週間、学校へ向かう道にも少し慣れてきた。
「近いから」と、もう一つ重要な理由で、選んだ高校。
それこそ幼稚園から腐り縁の友人、
『安田 航』と、またしても同じ学校に行くべく、彼の家に向かう。
通り道にあるため、昔から毎朝迎えに行っている。
「寄り道」ともいえるこの行為のために、早めに家を出るが、
航には毎度待たされ、結局早く出たかいも無く、学校にはギリギリ。
たまには早く出て来いっつーの。
面倒だし癪な気もするが、止められない理由もある。
いつものように、頭の中で愚痴を溢しつつ、チャイムを鳴らすと、バタバタと足音が近づき、
ガチャリと扉が開く。
「おはよ聡太、今日も時間きっかりね」
「おはよ葵姉、航まだ?」
「色気付いて、鏡の前で髪セットしてたから、まだかかるかも」
「げ、置いて行こうかな・・・」
「それがいいかもね、お先に」
屈託無く笑い、僕の前を通り過ぎる彼女に、僕は毎朝見惚れそうになる。
これがなければ、航なんかとっくに見限っている。
『安田 葵』2つ年上の、親友の姉だ。
昔は怖い存在だった。
「私の机触った!?」と怒り、「私のおやつ無いじゃない!」と殴られ、
「勝手に人のCD聞かないでよ」と、踏みつけられる。
そんな理不尽な思い出が、・・・本当にたくさんある。
でも、彼女が中学に進んでから、雰囲気が変わった。
私服から制服に、短かった髪が伸び、凶悪だった顔に柔らかな笑み。
一足先に大人になった・・・
たぶんそういう事なのだろう。
僕の中で彼女は、怖い親友の姉から、
・・・いわゆる憧れの人になった。
たかが2歳の差、
でも・・・僕には大きな壁に思えてならない。




