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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

最強の回復魔法を使うには女になるしかなかった件

 私の名前は、佐藤健一。

 享年三十五歳。独身。営業職。


 趣味はゲーム。

 彼女いない歴、三十五年。


 つまり——人生で一度も、女性と付き合ったことがない。


---


 その日、私は残業帰りに階段から落ちた。


 疲れていた。いつも疲れていた。

 営業ノルマ。上司のパワハラ。終電帰りの日々。


 足を踏み外した瞬間——ああ、俺の人生、終わったな。


 そう思った。


---


 気がつくと、私は真っ白な空間にいた。


「お目覚めですか」


 声がした。振り向くと、銀髪の男性が立っていた。


「私は転生神ツクヨ。あなたを異世界へ導く者です」


「転生……?」


「はい。あなたは先ほど、階段から落ちて亡くなりました」


 そうか、死んだのか。

 不思議と悲しくはなかった。


「佐藤健一様の魂には、『癒し』の才能があります」


「癒し……?」


「営業で怒られた後輩を慰め、落ち込んだ同僚を励まし、野良猫にも餌をあげて」


「それ、単に気を遣いすぎなだけでは……」


「いえ、立派な才能です」


 ツクヨが微笑んだ。


「この才能を活かせる転生先があります——勇者パーティーの回復役(神官)として、転生していただきます」


---


「勇者パーティーの神官、ですか」


 私は胸が高鳴った。


「はい。魔王討伐を目指す勇者一行に加わり、仲間の傷を癒す役割です」


「それは……かっこいいですね」


 ゲーム好きの俺にとって、これ以上ない転生先だ。


「勇者パーティーの構成は——勇者、女騎士、魔法使い、弓使い、そしてあなたです」


「女騎士と魔法使いと弓使い……全員女性ですか?」


「はい。女性ばかりのパーティーに、男性の神官として加わっていただきます」


(最高じゃないか……!)


 内心、ガッツポーズをした。


「では——行ってらっしゃい」


 ツクヨがにっこり笑った。

 視界が光に包まれた。


---


 目が覚めると、私は教会のベッドに横たわっていた。


「お目覚めですか、神官様」


 隣に立っていた修道女が、優しく微笑んだ。


「ここは……」


「王都の大聖堂です。転生者の方は皆さん、ここに送られてくるんですよ」


 なるほど、転生の受け入れ窓口があるのか。


---


「神官様、お客様がお見えです」


 修道女に案内され、聖堂の広間に出ると——


 四人の冒険者が立っていた。


「君が新しく転生してきた神官か!」


 金髪碧眼の青年が近づいてきた。筋肉質な体に、背中には大剣を背負っている。


「俺は勇者のアレン。魔王討伐のために、優秀な回復役を探していたんだ」


「は、はい。ケンイチです」


「いい名前だな、ケンイチ。俺たちのパーティーに入ってくれないか?」


 アレンが真剣な顔で言った。


「勇者パーティー……」


 ゲーム好きの俺にとって、これ以上ない誘いだ。


「ぜひ、お願いします!」


---


「私は女騎士のセリア。よろしく」


 銀髪の凛々しい女性が名乗った。

 鎧姿だが、胸の膨らみがはっきり分かる。大きい。


「魔法使いのルナよ。仲良くしましょ」


 紫髪のミステリアスな女性が微笑んだ。

 ローブの谷間から、胸がちらりと見える。


「弓使いのミーナです!よろしくお願いします!」


 オレンジ髪の元気な少女が手を振った。

 動くたびに、控えめな胸が揺れている。


(美女三人……最高だ……)


---


 私は勇者パーティーに加入した。


 最初の数日は、順調だった。


 野営では女性陣と同じテントで寝た。

 ——別々のテントだが、隣だった。


 食事は女性陣が作ってくれた。

 ——美味しかった。


 戦闘では、後方から回復魔法をかけた。

 ——まあまあ役に立った。


 問題は——私の回復魔法が「弱い」ことだった。


「ケンイチ、もうちょっと回復量上がらないか?」


 勇者アレンが首を傾げた。


「すみません、全力なんですが……」


「うーん、これだとボス戦で厳しいな」


 私の回復魔法は、他の神官と比べて半分程度の効果しかなかった。


---


 ある日、古い教会で情報を集めていると——


「最強の回復魔法『女神の抱擁』……?」


 ルナが古文書を発見した。


「これによると、通常の回復魔法の十倍の効果があるらしいわ」


「十倍!?それはすごい!」


「ただし……」


 ルナが顔をしかめた。


「条件があるの。この魔法を使うには——『女性の体』が必要だって」


「女性の体?」


「女神の力を借りる魔法だから、同じ女性でないと使えないらしいわ」


 私は安堵した。


(なんだ、俺には関係ないか)


---


「待って」


 セリアが古文書を覗き込んだ。


「ここに続きがあるわ。『男性が女性の体を得る方法——女体化魔法』」


「女体化魔法?」


「男性を一時的に女性にする魔法よ。これを使えば、ケンイチも『女神の抱擁』を使えるようになる」


 私は固まった。


「ちょ、ちょっと待ってください」


「何?」


「俺が女になるんですか?」


「そうよ」


「嫌です」


「なんで?」


「なんでって……俺は男ですし……」


---


「待ってくれ」


 勇者アレンが手を上げて制止した。


「俺は——ケンイチを女にするのは反対だ」


「えっ……」


 私は驚いた。


「アレン様、でも最強の回復魔法があれば——」


 セリアが言いかけたが、アレンが首を横に振った。


「魔王を倒すためとはいえ、大事な仲間を犠牲にはできない」


 アレンが私の肩に手を置いた。


「ケンイチ、お前は今のままで十分だ。俺たちで何とかする」


 アレンは——いい奴だった。


---


 その夜。


 アレンが偵察に出かけている間——


 私は女性陣に呼び出された。


「ケンイチ、ちょっといい?」


 セリアが私の腕を掴んだ。


「え、何ですか——っ!?」


 気づいたら、私は地面に押し倒されていた。


「ちょ、何を——」


「ごめんね、ケンイチ」


 ミーナが私の両手を押さえている。


「でも、これは必要なことなの」


 ルナが私の足元に立った。


---


「い、嫌です!離してください!」


「暴れないで」


 セリアが私の上に馬乗りになった。


「アレン様は優しすぎるのよ。仲間を犠牲にできないなんて言って」


「でも——」


「でも、私たちは違う」


 セリアが私の顔を覗き込んだ。


「魔王を倒すためなら——何だってするわ」


---


「ケンイチ」


 ルナが呪文の準備を始めた。


「男らしく——女になる覚悟を決めなさい」


「何その矛盾したセリフ!!」


「さあ、始めるわよ」


 ルナの手から——魔力が溢れ出す。


「ちょっ、待って——」


「女神の加護を——」


「嫌だ!俺は——」


「女体化魔法!」


---


 私の体が——光に包まれた。


「っ……!」


 熱い。体が熱い。

 内側から何かが溢れ出すような——そんな感覚。


「あ、あああっ……!」


 まず——股間から、何かが消えていく感覚があった。


(な、無くなる……!俺の……!)


 三十五年間、共にあったものが——溶けるように消えていく。


 代わりに——別の何かが形成されていく。

 熱くて、柔らかくて——自分のものじゃないみたいだ。


「っ……!?」


 次に——胸が熱くなった。


 ぷくっ——と、乳首の奥から何かが押し上げてくる。


「あっ……あああ……!」


 膨らんでいく。どんどん膨らんでいく。

 重みが——胸に加わっていく。


 揉まれてもいないのに——乳首が硬くなっていく。

 擦れるだけで——電気が走るような感覚。


(こ、これが……女の胸……!?)


---


 変化は続く。


 腰が——内側に絞られていく感覚。

 お尻が——むちっと膨らんでいく。


 太ももが——柔らかくなっていく。

 すべすべで——触ると跳ね返るような弾力。


「んっ……」


 声が——勝手に出た。


 高い。女の声だ。


 髪が——伸びていく。肩を越え、背中に届く。

 黒くて、艶やかな髪。


 顔が——熱い。

 顎のラインが細くなり、唇が柔らかくぷっくりと膨らむ。


「あ……はぁ……はぁ……」


 荒い息が——女の声で漏れる。


---


 ——そして。


 光が収まった。


 私は——女になった。


---


 私は——自分の体を見下ろした。


 胸がある。

 ——そこそこのサイズ。大きくはないが、確かに「胸」がある。


 腰がくびれている。

 ——ウエストが細くて、自分の体じゃないみたいだ。


 髪が——長くなっている。

 ——背中まで届く黒髪が、肌に触れてくすぐったい。


 そして——股間を恐る恐る確認する。


 ——無い。


 俺のものが——完全に無くなっている。


 代わりに——女のそれが、ある。


(嘘だろ……本当に……女になってる……)


---


「成功ね」


 ルナが満足げに頷いた。


「ちょっと待ってください……これ……」


 私は——女の声で——言った。


 高い。甘い。自分の声じゃない。


「すごいわね、ケンイチ。結構可愛くなったじゃない」


 セリアが私の顔を覗き込んだ。


「胸も……まあ、普通くらいかな」


 ミーナが私の胸を見て呟いた。


「ちょ、見ないでください!」


 私は慌てて胸を腕で隠した。


 ——柔らかい。


 自分の腕に胸が当たって——変な感覚がする。


---


「鏡を見る?」


 ルナが鏡を差し出した。


---


 鏡の中には——見知らぬ女性がいた。


 黒髪ロング。二十歳くらいに見える。

 目が大きくて、睫毛が長い。

 唇がぷっくりしていて——キスしたくなるような。


 ——いや、俺は何を考えているんだ。


 顔は——正直、可愛い。

 こんな顔の女がいたら、間違いなく声をかけていた。


 そして——体。


 胸は——そこそこのサイズ。

 大きくはないが、確かに存在感はある。


 腰は細く、お尻は丸くて大きい。

 太ももは柔らかそうで——触ったら気持ちよさそうだ。


 ——って、これ全部俺の体なんだよな……。


「これが……俺……?」


「あなたよ。可愛いじゃない」


「可愛いとかそういう問題じゃなくて……!」


 私は鏡の中の自分に——手を伸ばした。


 顔に触れる。柔らかい。肌がすべすべだ。


 唇に触れる。ぷにっとして——吸い付くような感触。


「んっ……」


 変な声が出た。


「何してるの?自分で興奮してるの?」


「し、してません!」


 ルナがくすくす笑った。


---


「体のチェックをするわよ」


 セリアが言った。


「チェック?」


「女体化魔法がちゃんと成功してるか、確認するの」


「え、でも——」


「服を脱いで」


「は!?」


---


 私は——セリアに服を脱がされた。


 下着姿——いや、下着も付けていないから——


 全裸だ。


「ちょ、ちょっと!」


「暴れないで。確認するだけよ」


 セリアが私の体を——じろじろと見つめた。


「胸は……うん、普通サイズね。私より少し小さいかも」


「そんなこと言わないでください!」


---


「ミーナ、押さえて」


「はーい!」


 気づいたら——私は地面に押し倒されていた。


「ぎゃあああ!?」


 悲鳴が出た。女の甲高い悲鳴だ。


 ミーナが私の両腕を掴んで、頭の上で固定している。


「暴れないでね、ケンイチ」


「暴れるに決まってるでしょ!?」


「女の体のチェック、ちゃんとしないとダメよ?」


 ルナがにこにこ笑いながら近づいてきた。


(この人たち……マジだ……!)


---


「腰は……くびれてるわ。ウエストは……六十くらいかしら」


 セリアの手が——私の腰をなぞった。


「ひゃっ……!くすぐったい!」


「くすぐったいの?」


「くすぐ——やめ——あははは!!」


 セリアがわざとくすぐってきた。


「あははは!やめ——やめてください!!」


「女の子って、くすぐったがりよね」


「俺は女じゃ——あはははは!!」


 もう何を言っているか分からなくなってきた。


---


「お尻も確認するわね」


 セリアが私の下半身に手を伸ばした。


「ダメ!!そこはダメです!!」


「大人しくして」


 ルナが私の足を押さえた。


「ちょ——三人がかりは卑怯です!!」


「女の子のお尻は大事なのよ?ちゃんと確認しないと」


 セリアの手が——私のお尻に触れた。


「ひゃあ!!」


 また悲鳴が出た。


「いい形ね。弾力もあるし」


「褒められても嬉しくないです!!」


「揉んでいい?」


「ダメに決まってるでしょ!?!?」


---


「じゃあ、大事なところの確認ね」


 ルナが私の股間を覗き込もうとした。


「大事なところ?」


「女になったからには、ちゃんと女の体になってるか確認しないと」


 ルナの視線が——私の股間に向けられた。


「見ないでください!!!」


 私は足をバタバタさせた。


「暴れると余計見えちゃうわよ?」


「っ……!!」


 私は足を閉じて必死に隠した。


「見るだけよ。触らないから」


「見られるのも嫌です!!」


「私たちも同じものを持ってるのに」


「俺は……ついさっきまで持ってなかったんです……!」


---


「ねえ、ケンイチ」


 ミーナが上から顔を覗き込んできた。


 ——谷間が見える。


「っ……!見えてます!」


「何が?」


「胸!ミーナさんの胸!」


「別にいいじゃん、女同士なんだから」


「俺は心は男です!!」


「そういえばそうだった」


 ミーナがあっさり言った。


 ——忘れてたのかよ!!


---


「ま、外見的には問題なさそうね」


 セリアが私を解放した。


「ふざけないでください……!」


 私は地面に倒れたままで抗議した。


「何がふざけてるの?真面目に確認したじゃない」


「あれのどこが真面目なんですか!!」


「女体化魔法が成功してるか確認するのは大事よ?」


「やり方がおかしいんです!!」


 女性陣は——くすくすと笑っていた。


(この人たち……本気で楽しんでる……!)


---


「まあ、いいわ。外見的には問題なさそうね」


 セリアが言った。


「じゃあ、女の子の生活を覚えてもらうわよ」


「生活?」


「そう。歩き方、話し方、座り方——全部、女らしくする必要があるの」


「なんでですか?」


「女神の抱擁は、心も女にならないと使えないらしいわ」


「は?」


「だから——私たちが、女の子としての生き方を教えてあげる」


 セリアが——にやりと笑った。


(嫌な予感がする……)


---


「まずは下着よ」


 セリアが私の前に——女性用の下着を広げた。


 ブラジャー。ショーツ。


 白いレースが付いた、可愛らしいデザイン。


「これを付けるの」


「い、嫌です!」


「嫌でも付けるの。女の体には必要なものよ」


「でも——」


「ノーブラで歩き回るつもり?胸が揺れて——男たちの視線を集めることになるわよ?」


「っ……!」


 それは——困る。


「ほら、付けるわよ」


 セリアが私の服に手をかけた。


「ちょ、ちょっと!」


「暴れないで。付け方を教えてあげるから」


---


 私は——セリアに下着を付けられることになった。


「嫌です!自分でやります!」


「じゃあ、やって見せて」


 セリアがブラジャーを渡してきた。


 私は——ブラジャーを手に取った。


「えーと……腕を通して……」


 腕を通す。カップを胸に当てる。


 ——後ろのホックに手が届かない。


「あれ……どうやって留めるんですか、これ」


「ほら、できないじゃない」


 セリアがにやりと笑った。


「教えてあげるから、大人しくしてなさい」


---


「ミーナ、押さえて」


「また!?」


「はーい!」


 ミーナが私の両腕を掴んだ。


「暴れないでね」


「暴れるなって言う方が無理です!」


「じゃあ始めるわよ」


 セリアが私の背後に回った。


---


「まずは腕を通して——」


「ほら、カップに胸を収めるの」


 セリアの手が——私の胸を持ち上げた。


「っ……!触らないでください!」


「触らないと付けられないでしょ?」


「せめてもうちょっと優しく——あっ!」


 セリアの手が——私の胸を揉むように、カップに収めていく。


「んっ……あっ……!」


「変な声出さないで」


「だ、だって……!強いんです!」


「これくらい普通よ」


「普通じゃないです!!」


---


 胸が——敏感だ。

 触られるだけで——変な気持ちになる。


「あ、乳首立ってきた」


 ミーナが上から覗き込んで言った。


「見ないでください!!」


「だって目の前にあるし」


「あるって言わないで!!」


「乳首が硬くなってるわよ、ケンイチ」


 セリアもからかってきた。


「っ……!二人して言わないでください!!」


(俺……三人がかりで弄られてる……!)


---


「女の体に慣れてきたんじゃない?」


 セリアがからかうように言った。


「慣れてないです!!」


「じゃあ何で乳首立ってるの?」


「知りません!!勝手に立つんです!!」


「ふふ、可愛いわね」


「可愛くないです!!」


 女性陣が——またくすくす笑った。


(この人たち……絶対楽しんでる……!)


---


「ほら、ホックはこうやって留めるの」


 セリアの手が、私の背中を這う。


 彼女の胸が——私の背中に押し付けられている。


 柔らかい。温かい。


(セリアさんの胸……大きい……)


「ほら、完成」


 パチン——とホックが留まった。


「これがブラジャー……」


 胸が——持ち上げられて、固定されている。


 揺れない。でも——締め付けられている感覚がある。


「慣れれば平気よ」


---


「次はショーツね」


 セリアが白いレースのショーツを差し出した。


「これは……自分で履けます」


「そう?じゃあ履いて」


 私は——恥ずかしさを堪えて——ショーツを履いた。


 足を通して——腰まで上げる。


 ぴったりとフィットする。


 ——股間が……締め付けられる。


 前は何かがあった場所。

 今は——何もない場所。


 ショーツ越しに——その事実を突きつけられる。


「似合うじゃない」


 セリアが満足げに言った。


「……嬉しくないです」


「照れなくていいのよ」


 セリアがくすくす笑った。


---


「ちょっと歩いてみて」


「え?」


「女の歩き方を覚えないと」


 私は——下着姿で——部屋の中を歩いた。


 胸が——揺れる。


 ブラジャーで固定されているはずなのに——歩くたびに揺れる。


「もっと小さく歩いて。大股で歩くと男っぽく見えるわ」


「は、はい……」


 小さな歩幅で——ちょこちょこと歩く。


 お尻が——左右に揺れる感覚がある。


「いい感じね。可愛らしく歩けてるわ」


「……恥ずかしいです」


---


「次はお風呂よ」


 ルナが私を浴場に連れてきた。


「女の体は、洗い方が違うの」


「洗い方?」


「そう。丁寧に洗わないと、肌が荒れるわ」


 ルナが服を脱ぎ始めた。


「ちょ、何してるんですか!?」


「一緒に入るに決まってるでしょ?」


「は!?」


「女同士なんだから、問題ないわ」


(俺は心は男なんですけど!!)


「俺は——」


「セリア、ミーナ、こっち来て」


「はーい」


「何ですか?」


 セリアとミーナも浴場に入ってきた。


「え、え、三人一緒に入るんですか!?」


「そうよ。女の子のお風呂は、みんなで入るものでしょ?」


「いやいやいや!!」


---


「暴れないで」


 セリアが私の服に手をかけた。


「ちょ、自分で脱ぎます!」


「遅い」


 ミーナが私のブラジャーのホックを外した。


「ぎゃっ!?」


「ほら、ショーツも」


 ルナが私のショーツを脱がせた。


「やめ——!!」


 あっという間に——全裸にされた。


「うわ、ケンイチ、下の方も綺麗になってるね」


「見ないでください!!!」


「見るなって言われても目の前にあるし」


「あるって言わないで!!!」


 女性陣は——三人とも裸で——私を囲んでいる。


(これは天国なのか地獄なのか……!)


---


 結局、私は三人と一緒にお風呂に入ることになった。


 目の前に——ルナ、セリア、ミーナの裸体がある。


 三人とも美人。

 三人とも胸がある。

 三人とも——こっちを見てにやにや笑っている。


(見るな見るな見るな……!)


 私は必死に目を逸らした。


 でも——どこを見ても裸の女がいる。


「ケンイチ、どこ見てるの?」


「どこも見てません!」


「嘘だあ。さっきセリアの胸見てたでしょ」


「見てません!!」


「私の胸は見ないの?」


 ミーナが胸を張って見せつけてきた。


「見ません!!」


「ちぇー」


(この子たち……本当に楽しんでる……!!)


---


「ほら、湯船に入って」


「は、はい」


 私は湯船に足を入れた。


 ——熱い。


 でも——気持ちいい。


 お湯が——体を包み込む。


 胸が——浮く。

 お尻が——湯船の底に当たる。


「んっ……」


 変な声が出た。


「気持ちいいでしょ?」


「は、はい……」


 女の体で入るお風呂は——男の時とは違う感覚があった。


---


「ほら、背中を流してあげる」


 ルナが私の背後に回った。


「い、いいですよ自分でやります!」


「遠慮しないで」


 ルナの裸の体が——私の背中に近づく。


 彼女の胸が——私の背中に触れた。


「っ……!」


 柔らかい。温かい。


「んっ……ルナさん、胸が……」


「あら、ごめんね。狭いから」


 全然悪いと思ってない声だった。


---


 ルナの手が——私の背中を洗い始めた。


「んっ……」


「いい肌してるわね、ケンイチ」


「あ、ありがとうございます……」


 ルナの手が、肩から腰へと滑っていく。


 小さな円を描くように——丁寧に洗っていく。


「女の肌は、男と違って柔らかいの。だから、優しく洗うのよ」


「は、はい……」


 ルナの手が——腰から下へ。


「ここも洗うわね」


「そ、そこは——っ……!」


 ルナの手が——お尻に触れた。


「ダメです!そこは自分で洗います!」


「そう?綺麗に洗わないとダメよ?」


「自分でやります!!」


 ルナが残念そうに手を引いた。


---


「次は胸の洗い方ね」


「え?」


「女の胸は、丁寧に洗わないと雑菌が溜まるの」


 ルナが私の前に回った。


 彼女の裸体が——目の前にある。


 大きな胸。ピンクの乳首。引き締まったお腹。


(近い近い近い……!)


「ほら、こうやって——」


 ルナの手が——私の胸に触れた。


「っ……!」


 石鹸の泡がぬるりと滑る。


「乳首の周りも、ちゃんと洗わないとダメよ」


「あっ……!」


 ルナの指が——乳首に触れた。


 電気が走る。


「んぃっ……!」


「あら、声が出ちゃった」


「だ、だって……!」


「乳首が硬くなってるわ。敏感なのね」


「言わないでください……!」


---


「ほら、自分でもやってみて」


 ルナが私の手を取って——私の胸に導いた。


 自分の手で——自分の胸を洗う。


「んっ……」


 柔らかい。重い。


 石鹸でぬるぬるして——気持ちいい。


「そうそう、優しくね」


「はい……」


 自分の胸を——自分で洗う。


 男だった頃は——こんな経験するとは思わなかった。


---


「力を入れすぎないで、優しく——」


「わ、分かりました!自分でやります!!」


 私は慌ててルナの手を払った。


「もう、照れ屋さんね」


 ルナがくすくす笑った。


---


「次は下の方も洗うわよ」


「っ……!!」


「冗談よ。そこは自分でやって」


 ルナが笑った。


「あ、あとで一人で洗います!」


「ちゃんと洗ってね?女の大事なところは、清潔にしておかないとダメよ」


「分かってます……!!」


 顔が熱い。

 女になった体の隅々まで——意識させられる。


(心臓が持たない……)


---


 お風呂から上がった後、私はベッドで横になっていた。


 ネグリジェを貸してもらった。

 薄い布地で——胸の形がはっきり分かる。


 女の体——慣れない。


 胸が——邪魔だ。

 うつ伏せになると——潰れて痛い。

 横向きになると——重力で引っ張られて垂れてくる。


「寝にくい……」


 仰向けになると——胸が左右に流れる。

 自分の胸の存在を——常に意識させられる。


 下着がないと——乳首がネグリジェに擦れて気になる。


(男の時は……寝るのにこんなに苦労しなかった……)


---


 ふと——股間に手を伸ばした。


 あるはずのものが——ない。


 代わりに——柔らかくて、熱い何かがある。


「……」


 触ってみる。


 ——ぴくっ、と体が反応した。


「っ……!」


(敏感すぎる……!!)


 慌てて手を離した。


 顔が熱い。


 女の体は——男の体よりも、ずっと敏感だ。


---


 コンコン。


 ドアがノックされた。


「ケンイチ、入るわよ」


 ミーナが入ってきた。薄手のネグリジェ姿で——胸の谷間が見える。


「どうしたの?眠れない?」


「ちょっと……体が慣れなくて」


「そっか。じゃあ、マッサージしてあげる」


「え?」


「胸が張ると眠れないでしょ?私もそうだったから」


 ミーナが私の隣に座った。


 ——近い。


 彼女の太ももが——私の太ももに触れる。


「ちょ、ちょっと待って——」


「大丈夫、女同士だから」


(だから心は男なんですって!!)


---


「じゃあ、服を脱いで」


「え!?」


「マッサージするんだから、当然でしょ?」


 ミーナが私のネグリジェの裾に手をかけた。


「自分で脱ぎます!」


「じゃあ早く」


 私は——渋々——ネグリジェを脱いだ。


 下着を付けていなかったから——一瞬で全裸になった。


「っ……!」


「あれ、下着付けてないんだ。寝るときは楽だよね」


「だから見ないでください!」


 私は慌てて胸を腕で隠した。


---


「いい胸してるね、ケンイチ」


 ミーナが私の腕をどかした。


「あ、ありがとう……って、触らないで!」


「マッサージするんだから触るに決まってるでしょ?」


 ミーナの手が——私の胸に触れた。


「んっ……」


 柔らかい手だ。温かい。


「痛い?」


「い、痛くない……」


「良かった。じゃあ、もうちょっと強くするね」


---


 ミーナの手が——私の胸を揉み始めた。


「んっ……あっ……」


「気持ちいい?」


「わ、分からない……」


 正直——気持ちよかった。


 でも、元男としては——女に胸を揉まれて気持ちいいなんて、認めたくなかった。


「乳首、立ってきてるよ?」


「っ……!言わないで!」


「やっぱり、女の体に慣れてきたんだね」


 ミーナがにこにこ笑った。


(違う……!俺は男だ……!女の体に慣れてなんか……!)


---


「ねえ、ケンイチ」


 ミーナが揉みながら聞いてきた。


「女になって——どう?」


「どうって……」


「胸とか、あるでしょ。重くない?」


「……重い」


「でしょ?私もそう思うもん」


 ミーナが笑った。


「でも、胸があると——男の人に見られるでしょ?」


「それは……困る」


「困る?嬉しくないの?」


「嬉しくないです」


 俺は元男だ。男に見られても嬉しくない。


「ふーん。変なの」


---


「ミーナ、もういい……」


「まだ途中だよ?」


「いいから……」


 私はミーナの手を止めた。


 胸が——熱い。

 揉まれた場所が——じんじんしている。


「ありがとう。楽になった」


「そう?良かった」


 ミーナが笑顔で言った。


(この子たち……無防備すぎる……)


 そして——俺は、そんな無防備な女の子たちに囲まれて、女の体で生きていかなきゃならない。


(俺の人生……どうなっちゃうんだ……)


---


 数日後。


 私は——だいぶ女の体に慣れてきた。


 歩き方、話し方、座り方——全部、女らしくなってきた。


 胸の揺れも——気にならなくなってきた。

 下着のホックも——後ろ手で留められるようになった。


「ケンイチ、可愛くなったわね」


 セリアが言った。


「褒められても嬉しくないです……」


「ふふ、もうすっかり女の子ね」


「男です。心は」


「そう?最近、仕草も可愛くなってきたわよ」


 ——嘘だ。


 俺は男だ。


 男の心を——持っているはずだ。


「あと——」


 セリアが耳元で囁いた。


「最近、アレン様のこと、よく見てるわよね」


「っ……!!」


「女の子として、意識し始めたんじゃない?」


「し、してません!!」


 セリアがくすくす笑った。


 ——していない。


 していない……はずだ。


---


 その夜、みんなで野営をしていた。


「ねえ、恋バナしようよ!」


 ミーナが提案した。


「恋バナ?」


「そう!みんな、好きな人とかいないの?」


 セリアとルナが顔を見合わせた。


「私は……いないわね」


「私もいないわ」


「えー、つまんない!」


 ミーナが頬を膨らませた。


「ミーナはどうなの?」


「私?私はね……」


 ミーナが顔を赤くした。


「実は、アレン様がちょっと気になってて……」


「勇者様を!?」


「だって、かっこいいし、優しいし……」


---


「ケンイチは?」


 ルナが聞いてきた。


「え、俺?」


「女の子になったんだから、好きな人とかいないの?」


「いや、俺は……」


 答えに困った。


 俺は元男だ。

 女が好きだった。


 でも、今は——女の体だ。

 女として、男を好きになるべきなのか?


「……分からない」


「分からない?」


「まだ……考え中です」


 精一杯の答えを返した。


---


「ケンイチって、女の子のこと、どう思う?」


 セリアが聞いてきた。


「え?」


「私たち、可愛いと思う?」


「そ、そりゃ……可愛いと思いますけど……」


「じゃあ、男の人は?」


「男は……普通?」


「ふーん」


 セリアが意味深に笑った。


「やっぱり、心はまだ男なのね」


「え……」


「女神の抱擁を使うには、心も女にならないとダメよ」


 セリアが私を見つめた。


「もっと——女の子らしくならないと」


---


 翌日。


 私たちは魔王城の前に立っていた。


「いよいよだな」


 勇者アレンが剣を抜いた。


「ケンイチ、準備はいいか?」


「はい」


 私は——「女神の抱擁」を使う準備をした。


---


 魔王城での戦いは、激しかった。


 アレンが魔王に斬りかかる。

 セリアが盾で攻撃を防ぐ。

 ルナが魔法を放つ。

 ミーナが矢を射る。


 そして私は——


「女神の抱擁!」


 私の手から——金色の光が溢れた。


 仲間たちの傷が——一瞬で癒えていく。


「すごい……!」


 ミーナが驚いた。


「これが最強の回復魔法……!」


 私の魔法は——完璧に発動した。


---


 魔王は——倒された。


「やった……!」


 アレンが歓声を上げた。


「勝ったぞ!」


 みんなが抱き合って喜んでいる。


 私も——その輪に加わった。


「ケンイチ、ありがとう!君のおかげだ!」


「いえ、みんなのおかげです」


 私は——心から笑った。


---


 魔王討伐から数日後。


 私はルナに尋ねた。


「ルナさん、女体化魔法って——解除できますか?」


「え?」


「もう魔王は倒したし……元に戻りたいんですけど」


 ルナが困った顔をした。


「それが……」


「それが?」


「解除方法が——見つからないのよ」


「え?」


「古文書には、解除方法が書いてなかったの」


---


 私は——愕然とした。


「じゃあ……俺はずっとこのまま……?」


「そうなるわね」


「嘘でしょ……」


「でも、いいことがあるわよ」


 ルナが言った。


「女の体のままなら、女神の抱擁をいつでも使えるの。あなたは最強の神官よ」


「そんなこと言われても……」


---


「ケンイチ」


 セリアが近づいてきた。


「落ち込んでるの?」


「当然でしょう……俺、一生女のままなんですよ……」


「でも、女の体も悪くないでしょ?」


「悪くないって……」


「お風呂も一緒に入れるし、恋バナもできるし、胸もあるし」


「それ全部デメリットなんですけど!?」


 セリアがくすくす笑った。


---


「ケンイチ」


 ミーナが私の手を握った。


「私たちは、女になったケンイチも大好きだよ」


「ミーナ……」


「これからもずっと、一緒にいようね」


 ミーナが笑顔で言った。


---


 ルナも、セリアも、ミーナも——


 みんなが、私を受け入れてくれた。


 女になった私を。


「……まあ、悪くないか」


 私は——小さく笑った。


 元に戻れなくても。

 女の体のままでも。


 仲間がいれば——それでいい。


---


「ケンイチー!早くお風呂入ろー!」


 ミーナが呼んでいる。


「今行くー!」


 私は——走り出した。


 女の体で。

 女の仲間たちと。


 これからも——冒険は続く。


---


(了)


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