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第35話 誕生! 闇の軍隊

 次の日から、トラ子さんは当然のように僕の館に入り浸るようになった。彼女は真性のショタコンらしく、ショタ一郎姿の僕を膝の上に抱いて片時も離さない。その溺愛ぶりは凄まじく、イリスをはじめとするお姉さんたちの顔が引き攣り始めている。


「ねぇー、良ちゃん。ずっとこのままでもいいんだけど?」トラ子さんが僕の頬をすりすりしながら提案してくる。


 僕は全力で首を振った。「いやいや、このままだと更に幼児化が進んで消えちゃうから! 早く悪人を叩き斬らないといけないんだようー!」


「そうなの? それなら、あいつとかどうかな?」


「えーと……誰かターゲットがいるの?」


 トラ子さんは、パパ(サラトガ伯爵)から仕入れた情報を教えてくれた。 「闇の商会を牛耳っているヨークタウンって男。子供に魔薬を売ったり、地下闘技場で亜人や獣人を殺し合いさせて興行にしてる、救いようのないクズだよ」


「……実になんというか、テンプレ的な異世界マフィアだなぁ。でも、これまでの相手より手強そうだ。みんなに相談してみよう」


 僕は一旦、定時報告のために諜報騎士団の詰所へ向かったノワールを見つけ、声をかける。帰宅していた彼女は苦虫を噛み潰したような顔で佇んでいた。彼女はいつものゴスロリ服ではなく、全身を隠すような大きなコートを着込んでいる。


「ノワール? どうしたの、そんな格好で」


「……マスター……。屈辱です。死にたい……」


 ノワールが震えながらコートを脱ぎ去った。外套の下から現れたのは、白い半袖の体操服に、紺色のブルマ。いわゆる「昭和の体操着スタイル」だった。


「うわぁー……可愛いよ。でも、なんでまたそんな格好を?」


「イノカワ(団長)が新しく作らせた新コスチュームだそうです……。着替えながら、あまりの恥ずかしさに泣きそうになりました」 ブルマ姿で半泣きのリッチ。トラ子さんも複雑な顔でそれを見つめている。


「よく我慢したね。えらいぞ」


「マスター!ありがとうございます」


 僕はサラトガ伯爵から譲り受けた『アイテムボックス』を起動し、母校・密田高校の女子用ジャージ上下(緑色)を取り寄せて、彼女に差し出した。


「これが、僕の国における正装だから。元気出して、ノワール」


「わあー嬉しいです、マスター……!」 ノワールはジャージを受け取ると、嬉々として更衣室へ駆け込んでいった。


「……さて、相談なんだけど。そろそろ『成敗』のストックが切れそうでさ。トラ子さんがマフィアのヨークタウンを推薦してくれたんだけど、どうかな?」


「さすがですね」ジャージ姿で戻ってきたノワールが、キリッとした顔で頷く。


「私の抹殺リストでも3位以内に入る悪党ですよ。王都中の闇組織を束ねるドンですからね」


「今晩、いけるかな?」


「ええ。私もこの格好をさせたイノカワへの怒りをどこかにぶつけたい気分ですので、ちょうど良かったです」


「良ちゃん……トラ子も一緒に行っていい?」2メートルの虎女が、ワクワクした顔で僕を見下ろす。


「今回はマジもんのマフィアみたいだし、護衛をお願いできますか?」


「やったー! 腕が鳴るぅー!」


***


 深夜。王国の繁華街は「眠らない街」と化していた。煌びやかな魔導の明かりが闇を跳ね返し、喧騒と享楽が渦巻いている。その中心地にある、マフィア・ヨークタウン組が仕切る地下闘技場。今日も残酷な殺し合いが行われ、王都の大貴族や豪商たちが大金を賭けて命を弄んでいた。 貴賓席では、ボスのヨークが服従の鎖に繋いだ美女を侍らせ、下卑た笑い声を上げている。


 客も選りすぐりの「クズ」ばかりだ。まずノワールが護衛の私兵を音もなく昏倒させ、続いてアシュレイの状態異常魔法が闘技場全体を包み込んでいく。突然の眠気に襲われた観衆がバタバタと倒れ、闘技中の男たちも動きを止めた。静まり返った闘技場に、処刑騎士の姿で僕が降り立つ。


「貴様が王都にはびこる悪の権化か!」


「なんだなんだ? 貴様は何者だ?」


「駿河大納言・忠長卿の忘れ形見……松平長七郎とは俺の事だっ!」


「はぁ? よくわからんが、ご丁寧に名乗りおって」


「いやいや、偽名ですから」


「偽名かよ!! 誰だか知らんがいい度胸だ、死ね!」


 ヨークが懐から、拳銃に似た魔道具――魔銃を取り出し、僕に狙いをつける。引き金に指がかかった、その瞬間。


 シュバッ! ぶすっ!


 どこからともなく飛んできた手裏剣がヨークタウンの手首を貫き、魔銃が床に転がった。ふと見ると忍者装束のイリスがウィンクしている。(サンキューイリス!)


「天誅だっ! アズマ・あたぁーーっく!」


 僕はその隙を見逃さず、魔剣マンイーターを一閃させた。黒い閃光が、巨悪ヨークタウンの首を鮮やかに斬り飛ばす。


「決まった!」そう確信した背後、生き残っていた手下たちが一斉に襲いかかってきた。だが、その刃が僕に届くことはない。頼もしい護衛が僕と奴らの間に割って入る。


「ギャラクティカなマグナムぅ!!!」  ズガァァァーーン!!!


 トラ子の放った必殺の拳が空気を叩き割り、手下たちを文字通り「粉砕」した。 「良ちゃん、大丈夫?」


「ああ。悪は死んだ……。そして、蘇るのさ」


 すかさずノワールが死体に血を垂らし、ヨークタウンをアンデッドとして再起動させる。こうして、王国の地下を支配していた闇組織は、一晩にして僕の「下部組織」へと変貌した。


 闘技場で弄ばれていた生き残りたちは全員保護し、落命していた者たちは全員アンデッドとして蘇生を試みる。 闘技場の更に地下の墳墓に打ち捨てられた遺骨に聖なる闇の血を撒くと……気がつけば、闘技場でその腕を鳴らした屈強な戦士たちによる、数百人規模の『死霊軍団』が出来上がってしまった。


「えーと……これ、どうしよう? 数が膨大なんだけど……」


 僕が戸惑っていると、イリスがにこやかに微笑んだ。


「まあいいですよぅー。アンデッドなら食費も掛かりませんし♡」


 ……確かに。こうして僕の勢力は、王国の法律も届かない「闇の軍隊」を抱えるまでに拡大してしまったのだった。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

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