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第21話 絶世の美女のひみつ

 爽やかな朝……なのに僕らの屋敷では重苦しい空気が漂っていた。本来なら鳥のさえずりと朝日が似合うはずの時間帯だが、今はそのどれもが場違いに思えるほど、空気が張り詰めている。


 早朝、僕のベッドに潜り込んだアシュレイさんは、悲鳴を聞いて駆け付けたイリスとユリシアによって強制排除された。そして今、闇の女神ディスフィア様を祭るイリスの部屋で正座するアシュレイ。怒り心頭のユリシアが右手に爆発魔法を出現させる。


「ホーッホッホッホ、この泥棒猫さん。心臓付近に時限爆破魔法を埋め込みますわ。恐怖でじわじわと怯えなさい!爆殺して差し上げますー」


 魔力の揺らぎが本気度を物語っており、冗談では済まない雰囲気だ。アシュレイが震えあがる。正座からの土下座だ。


「すいませんでしたー!つい出来心でぇー!」


 僕はさすがに止めに入る。「ユリシアさん、僕は無事だったんでそこまでするのはちょっと~」


「ちっ!良一郎様が言うならいったん保留しますけど」ユリシアがしぶしぶ魔法を引っ込める。


「ところでイリスはアシュレイが男の娘って知ってたんですの?」


 イリスは頭を搔きながら、あっけらかんと答える。


「初めて会ったときに分かりました。ディスフィア様が呼び寄せたみたいでしたから」


「イリス~それなら教えておいてよぅー!」僕は不満たらたらで抗議する。


 その時イリスの目が赤く光る。闇の女神ディスフィア降臨!空気が反転したように、場の主導権が一瞬で奪われた。


《ギャハハハ。面白かったのう~。良一郎の涙目……可愛いぞー》


「あのー、毎回僕ってイジメられてません?」


《まあまあ。アシュレイは優秀な男じゃ。我が陣営もこれで全てがパワーアップ間違いなし》


 アシュレイが邪神モードのイリスにひれ伏す。


「ディスフィア様、どうかお願いがあります!女神様とアズマくんに絶対の忠誠を誓います。どうか私の願いを叶えていただけませんか?」


「なんかムシが良すぎるんじゃありません?うりゃうりゃ」ユリシアさんが土下座するアシュレイの頭を足でぐりぐり踏みつける。


(悪役令嬢のイジメモード……容赦ないなぁ~)


《まあ大体察しはつくが一応聞いてみようかの?何かなー?》


「女の子になりたいんです!」


 アシュレイは顔を上げ、切実に訴える。その声には冗談や打算はなく、長年積もった願いがにじんでいた。


「そのために努力してきました。幼馴染のリーダー……カイルと結婚したくて、自分磨きを十年以上……男とバレずに頑張ってきました。でも、彼といい雰囲気になって……つい無理やり押し倒してしまい――」


「それでカイルさんを犯したと?」僕は思わず口を滑らせる。


「皆まで言わないで……イジワル!」アシュレイは耳まで真っ赤に赤面し、両手で顔を覆う。


「私が本当の女の子なら、こんなことにはならなかったのにー!もう二度とあんな悲劇は起こしたくないのです」


「いやいやいや……昨日の今日で良一郎様を押し倒した奴が言うかっ!」ユリシアがツッコミを入れる。


 イリスも会話に加わって来る。「そうですねー、そんな暴れん坊はちょん切りますか」


 僕はイリスの発言に震えあがる。「待って!それは可哀そうだよー!」(男として怖いよー)


* * *


 そんなこんなで、意見がぐちゃぐちゃになっていく。イリスの目が光る。


《ええぃーい、めんどくさいわ!とりあえずお主らの希望を最大公約数で叶えてやる!》


 そう言い放つと、土下座するアシュレイの身体をどす黒い霧が覆った。魔力は生温かく、見ているだけで背筋がざわつく。


 「いやーん!なに?」アシュレイが怯えた声を出す。「身体が溶けて再構築していくみたい」


「うわうわうわ!」僕とユリシアがドン引きして大きく飛び下がる。


「良一郎様、なんか見ちゃいけないものを見てるようですわね」


 数分後、黒い霧はかき消され、普通に土下座するアシュレイが現れる。


《どうじゃ?生まれ変わった気分は?》


 アシュレイがすくっと立ち上がると、衣服を着ていてハッキリとはわからないが、身体が丸みを帯びているように見える。


「おおぉーこの身体……紛れもなく女の子です!この顔の感じ、バインバインの胸、ぷりぷりのお尻、脚のラインも滑らかに……ん?」動きが止まる。


 僕はわなわなと震えるアシュレイさんに声を掛ける。「よかったですね!えーと……どうかしましたか?」


 アシュレイは目に涙を浮かべながら僕に抱きついてくる。「アズマくん!あれが付いてるのよ!」


「一体どうしたんですか?絶世の美女に生まれ変わったんじゃ?」


「それが……まだ男の部分が残ってるの!」悲痛な叫びが部屋を覆った。


 ユリシアがドン引きして言う。「何なのです?今の状態って、女でもあり男でもある?そんなことがあるんですの?」


 ユリシアは両手で顔を覆い、一見は視線を隠しているように見えるが、指の間からアシュレイの股間をガン見している。(立派なふくらみがありますわ)


《まあいいじゃん。基本は女の子だし。あと、良一郎がちょん切ると可哀想なんて言うから残しといた》


「さすがですぅー!相変わらずお優しいですねっ!」イリスは僕に手を叩いて称賛する。


「そんな……僕の不用意な一言でアシュレイさんが今流行の『ふたなり美女』に!?」


「ディスフィア様!やり直しって出来ないんですか?」アシュレイが涙目で訴える!


《うーむ、元の男には戻せるけどどうする?一度戻したら次はもう性別転換の秘術は使えないけど》


 それを聞いて彼女?は頭を抱えて転げまわっている。


* * *


 結局、アシュレイさんの性別問題は「このまま」という事でひとまず落ち着いた。実際は「保留」である。しかし、男の部分はともかくも、ディスフィア様の闇の秘術でアシュレイが女性の身体を手に入れたのは間違いはなかった。元々の美貌に更に磨きがかかり、僕から見て歳上の大人の美女になっている。普通に側に寄られるだけで、色気むんむんでめっちゃドキドキする。


「あぁーもうー開き直るわ。元々男の子も女の子も好きだしー。人生二倍楽しめると思うことにするから。改めてよろしくねアズマくん!」


 イリスとユリシアが微妙な顔でぱちぱちと拍手する。「新メンバー確定おめでとうございます~」


 僕は自らの貞操の危機が去ってないことに恐怖する。「お願いします!勘弁して下さい~!」


《うむ!これでこのパーティーも固まってきたのうー!フハハハハ》

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

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