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第19話 運命の邂逅(やめろー)

 僕らはSランクパーティーからはぐれて行方不明になったという冒険者の探索にやってきた。王都からかなり離れた場所にある古代遺跡ダンジョンだ。巨大な石柱と崩れかけた壁が連なる入口は、長い年月を経た静謐と不穏を同時に漂わせている。未だに踏破されておらず、最下層に行くにつれて強力な魔物も多数出るらしい。正直なところ、はぐれた冒険者さんの生存の可能性は低いと思う。


 この時、僕は冒険者として自信をかなり失っていた。鎧の内側で心臓がやけに早鐘を打ち、足取りも慎重にならざるを得ない。そりゃそうだろう……既に二回も殺されているのだ。普通ならここに立っているはずもない。


「あのさー、イリス。ディスフィア様の魔物強化バフだけど、あれは今回は無いよね?」


 僕は恐る恐る尋ねた。声に出した瞬間、自分でも情けないと思うほど切実だった。


 イリスが自信満々で話す。


「お任せくださいご主人様!今回は前の反省を活かし、ダンジョンには特に何もしてません!」


 その言葉に、胸に溜まっていた重石が少しだけ軽くなる。僕は素直に安心する。


「おおぉー!それじゃ今回はなんとか任務を全うできそうだね」


 ユリシアさんは少し残念そうだ。期待に満ちた瞳が、わずかにしゅんと曇る。


「そうなんですの?わたくしは早くランクアップしたいので、強敵でも大丈夫ですけど」


「まあまあ。とりあえず僕の今日の目標は【生きる!】で行くから」


「そうですわね。迷宮用の攻撃魔法もマスターしておりますの。ご期待くださいませ」


 その自信満々な態度に、頼もしさと同時に一抹の不安も湧く。


「頼んだよ、ユリシアさん」


「はいっ!」(胸キューン)


 彼女の反応が毎回全力すぎて、正直心臓に悪い。


「では行きますよ!闇の探知魔法展開します」イリスが迷宮内の動くモノを探知していく。


 淡い闇の波動が通路を這うように広がり、視界に見えない気配を拾い上げていく。


「どうなの?何か見つかったかな?」


「うーん……沢山いますからどれが誰やら?」


 嫌な予感しかしない答えだった。


「めんどくさいから20階層くらいまで吹き飛ばしましょうか?大地を穿つ貫通破壊魔法がありますのよ」


(まてまて!)僕は慌てて止めに入る。背筋が凍り、全力で首を横に振る。


「ここは一応ですね、国が管理してる迷宮なんで破壊活動は禁止です!」


「もうーもどかしいですわ」


 ユリシアはものすごく残念そうに頷くのだった。


 こうして僕らは一階層から最深部へ向けて探索を開始した。約百階層あると言われる上級ダンジョン、その初っ端の5階層に到達したとき、僕らは恐ろしいものを見る。


* * *


 Sランクパーティーを追放された謎の美女アシュレイ。彼女は補助魔法の天才だった。宮廷魔術師を輩出する名家に生まれ、生活魔法に錬金術、補助魔法などを幼くしてマスターする。アストラリア王国・魔法学園を卒業したころ、幼馴染のリーダーに誘われてこの世界に足を踏み入れた。その後は順調に強者をパーティーに引き入れ、数々の武勲をあげてSランクへと成長させるのだった。リーダーとは恋人関係になり、アシュレイ的には冒険者としてもプライベートも順調だったが……破局した。彼女の恨みは深かった。


 上級ダンジョンの最下層近くからの生還は不可能に思われたが、そこは生まれながらの天才である。この窮地で新たな才能が開花したのだ。テイムスキルである。冒険者のごく一部に「低級のモンスターを使役する」スキルがあるが、あまり役に立たないと見逃されがちなスキルだった。しかしアシュレイはこの力でダンジョン内のモンスターを使役することに成功したのだ。


 最初にスライムを従えた後は、得意の補助強化魔法でステータスを上げて、更に強いモンスターを倒し、そして使役する。それを繰り返すうち彼女の軍団は膨大な数と暴力を有すようになった。遂にはダンジョンのボス・強力な黒魔法と闇の呪いを使う危険モンスター「マンティコア」(Aランク)をも従えた。


 復讐に燃えるアシュレイはダンジョン内のモンスターを率いて地上を目指す。彼女が地上に現れれば、莫大な数の魔物軍団がダンジョンから溢れ、モンスタースタンビート(魔物大発生)を起こすだろう。


「ふふふ、リーダー。この恨み晴らさでおくべきかぁー」


 そのアシュレイは、地上から捜索に来たという、横断歩道で困っている老人がいたら一緒に渡ってあげる吾妻良一郎と、もうあと少しで地上と言う場所で出会うのだった。


* * *


 僕らの行く手にかつてない数の魔物が現れる。それはまるで、地を埋め尽くす黒い津波のようだった。凄まじい数に僕の魔剣が煌めき、イリスの邪神パンチが唸る。更にユリシアの攻撃魔法の連続詠唱が炸裂する。すっかり蕩け顔になったユリシアが叫ぶ。


「もうー何なんでしょうこの数は?ああーん♡良一郎様……もう限界かも。キスしてくれないと、攻撃魔法を撃てないですぅー」


「そんな!今現在が修羅場ですようー!我慢して下さいー!」目の前の敵でいっぱいいっぱいの僕だ。


「私が攻撃魔法を引き受けます。ユリシアは暴力で発散して下さい!」イリスが的確に指示を出す。


「わかりましたわ!うぉーりゃあー!」ユリシアが肉弾突撃を敢行する。先頭のリザードマンにアイアンナックルが叩き込まれた。


 一方アシュレイは魔物軍団の移動が滞っていることに疑問を覚え、マンティコアを引き連れて先頭に出てくる。アズマ一行を自分たちを討伐に来た刺客パーティーと勘違いした彼女は、マンティコアの能力を補助魔法で爆上げし、僕らに挑ませるのだった。


「追放された恨みよ!マンティコア!やっておしまい!」


 SSランクモンスター並みに強化されたボスモンスターが襲い掛かって来る。マンティコアは強力な闇魔法を放った。


「イリス!危ない!」


 黒いもやがイリスを直撃する。しかし彼女は全く動じない。異常な魔法抵抗+その身に闇の女神を宿せるイリスに闇魔法は無効だった。


「ふふーんだ!大丈夫ですよ。ご主人様~」余裕たっぷりのイリス。


 アシュレイとマンティコアは呆然とする。そこへ僕の魔剣が襲い掛かる。


「大丈夫ですか!?アシュレイさんですよね?助けに来ました!すぐにこいつを片付けます!」


 アシュレイは僕の雄姿を見て胸をキュンとときめかせる。


「ええっ!?私を助けに来たってホント?この子……可愛いわ♡」


 しかし、能力を爆上げ中のマンティコアは強かった。ライオンの前足と毒蛇の尻尾に襲われて僕はまたしても命を落とす。


「ぐはぁー……マンティコアってこんなに強いの?……ガクッ」


 イリスとユリシアの悲鳴が響く。「ご主人様~!!!」「良一郎様~(涙)」

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