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第17話 蘇生再び(泣)

 「うぉーりゃー!」ユリシアお嬢様の叫び声が響き渡る。その声は戦場の空気を切り裂くように甲高く、狂気すら帯びていた。


 猛烈な勢いのドロップキックが先頭のボブゴブリンを蹴り飛ばしていく。(え?ボブゴブリン?)確かゴブリン(小鬼)退治に来ていたはずが、わらわらと現れてくるのはボブゴブリン(大鬼)ばかりだ。体重百キロはありそうな巨漢戦士ばかり。土煙と怒号が入り混じり、森は完全に戦場と化していた。間違いなくディスフィア様の魔物強化バフが効いている。


 イリスは喜色満面で僕に笑いかける。


「ご主人様チャンスですよぅー。経験値大幅アップですー!」


 その無邪気な声と裏腹に、周囲では血と肉が飛び散っている。僕は魔剣でボブゴブリンを切り伏せながら涙目だ。


「駄目だってー!身の丈に合わない敵ばかりじゃんかー!」


 その間も、発情を鎮めようとユリシアの力技が炸裂している。彼女の動きには一切の迷いがなく、貴族令嬢の優雅さと暴力が奇妙に同居していた。挑みかかって来たボブゴブリンをヘッドロックで締め上げると、どこから取り出したのか超合金製の栓抜きで額をど突く!飛び散る鮮血!


「もーう!この程度じゃ全然興奮がおさまりませんわー!」ユリシアは泣きながら叫ぶ。


 ゲシゲシ!より激しく流血させ、最後はブレーンバスターだ。骨が砕ける鈍い音に、僕は思わず目を背けそうになる。だがその連携の華麗さには目を見張る。


「あの華奢そうな身体でボブゴブ達をよくぶっ飛ばせるなぁ」


 ボブゴブ軍団は僕の魔剣とイリスの闇魔法で次々と屠られていく。サイクロプスがあれで倒されてくれていればなんとかなるかも……。必死に敵を倒す僕達。しかしやはり数が多い。背中に嫌な汗が伝い落ち、体力の限界が近づいているのがはっきり分かる。


 僕は再び要請する。「ユリシアさん!攻撃魔法お願いします!このままじゃ数で押し切られちゃうー!」


 ユリシアは仕方なく頷く。「わかりましたわ」


 再び右手に魔法の杖(この世界ではハリポタみたいな短いのが主流)を装備して呪文を唱える。彼女の周りに数多くの小さな魔法陣が出現。魔力の奔流が空気を震わせ、嫌な予感が背筋を走る。そこから放たれる炎の槍!それらは一本も外すことなくボブゴブリンの身体を貫いていく。うぎゃぁぁー!ボブゴブ達があちこちで炎をに包まれている。


「凄い!これが一流魔法使いの力なのか!」


 魔法を放ったユリシアには、解呪の反動効果で更なる衝撃が襲ったみたいだ。


「ああぁーん、声が漏れちゃいます……って恥ずかしい~!アズマ様、戦闘が終わったら色々とよろしくお願いしますわ!」


「え?お願いされても困りますようー」


* * *


 その様子を遠巻きに観察していた王国諜報部の五人の精鋭たち。「あ」から「お」達だ。「あ」ことミランダが命令を下す。


 「みんな……あの危険なSランクモンスターを召喚したのは、間違いなくアズマとイリスの邪悪コンビよ。じゃないとこんな初心者向けの森でサイクロプスなんて出るわけないもの」


「前回のアースドラゴンといい、彼らは自ら危険なモンスターを召喚しては、自ら倒すというマッチポンプでランクアップや討伐報酬をせしめるつもりなのか」


「そんなの許してたら冒険者ギルドとこの国はあっという間に破産するぞ」


「ええーと……どうする?どうしたらいい?」


「落ち着け。この機会だ。ここで奴らを始末しよう」ミランダを始め、全員が頷いた。


 彼らはミランダの詠唱する隠蔽魔法で周囲の風景に溶け込み、一見して姿を消す。その魔法効果は光学迷彩と言った感じだ。「全員抜刀せよ」ミランダの合図で、透明な刀身を持つ特殊なナイフが抜かれる。刃には無味無臭の透明な毒液が塗られている。少しでも傷が付けば、即死間違いなしと言う、王国諜報部のエリート騎士にのみ与えられた暗殺武器だった。


 彼らは息を殺し、アズマ、イリス、ユリシアに近づいていく。(あと少し接近すれば殺せる……)そう思ったとき、異変が起きる。突如、空から二体目のサイクロプスが降下してきたのだ。ディスフィア様の過剰サービスだったらしい。


 一つ目巨人の眼には僕ら一行しか映っていなかった。両手に大木のようなこん棒を持ち、振り回しながら近づいてくる。


 ゴン! ボクッ! ガーン! ドン!


 森の緑に身を潜ませ、暗殺しようとしていた「い」から「お」が次々と無言で撲殺される。サイクロプスには隠蔽魔法などお構いなしだ。


バーン!


ミランダもこん棒がぶつかり、吹き飛ばされていく。致命傷ではないが、身体が動かない。


「ううっ……みんなー大丈夫?」


 へんじがない……ただの屍のようだ。「い」から「お」……殉職。


* * *


 僕は何かが撲殺されるような変な音で後ろを振り向いた。


「ええぇー!?」


 そこには突如現れた二体目のサイクロプス。大きく振りかぶった大木のようなこん棒が、僕達めがけて振り下ろされる。


「あぶない!」とっさにユリシアさんを突き飛ばし、身代わりになる僕。


 ぷちっ!


 僕はこん棒の直撃を受け、自動車で轢かれたカエルのように地面に叩きつぶされた。僕が見た最後の光景は、激しく揺れ動く地面。瞬殺だった。


 ユリシアが泣き叫ぶ。「アズマ様ー!私を残して死ぬなんてー!」


 イリスも驚き、ユリシアの手を引いてその場から離れる。


「ユリシア大丈夫!私がご主人様を蘇生するから!」


「そうですの?でもアレを倒さないと……」


「連携技で行きましょう。奴の背中に爆発魔法を!出来ますか?」


「容易いですわ!」


 ユリシアは渾身の爆弾魔法をサイクロプスの背中側へ放ち、大爆発させる。サイクロプスは前かがみに倒れこむ。イリスの目が赤く光った。闇の女神ディスフィアの力が拳に宿る。


「邪神ぱーんち!」掛け声は可愛いが、えぐいアッパーが巨人の顎を砕き、頭部を吹っ飛ばしていく。


「さて!蘇生しましょうか」


 イリスはすぐに蘇生魔法を唱え、アースドラゴンの時と同じく、今倒したばかりの巨大な肉体を利用した究極の黒魔法蘇生術を発動させる。


* * *


 ――僕は、ユリシアさんに抱かれ、その腕の中で目を覚ました。


「はっ!えーん……恐かったようー。夢を見たんだ。でっかい巨人のこん棒で叩き潰されるんだ」


「ご主人様。今回もなんとか蘇生出来ました。よかったですぅー」


 僕の手を握っていたイリスが泣き笑いで僕を見つめる。


「あ?やっぱり夢じゃなかったの?」


 ユリシアが僕に抱きつき、泣きじゃくる。


「アズマ様、生き返ってよかった!わたくしを庇って……かっこよかったですわ!もうー好き好き大好き!」


「みんなごめん。僕が弱いばかりに」


「いえ!私のために死をも顧みず・・・その勇気に感動いたしました」


「敵は?全部やっつけたの?」


 イリスがドヤ顔で報告してくる。


「はい!私とユリシアで片付けておきました」


 僕はホッとする。それと同時に、何か身体の異変を感じるのだった。あれ?僕の身体……こんなにガタイ良かったっけ?イリスはてへへと笑った。「今回は蘇生にサイクロプスの血肉を使いましたからね」


 僕は自分の身体を隅々まで確かめる。 え? 僕のモノってこんなに大きかったっけ?

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!

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