天才探索者、ダンジョンの奥へ挑む
途中で終わります
最後まで書ききれなかったので短編で供養します
❖←これで視点変わる
何年も変わらない日課。
変わり続ける化け物の巣。
ダンジョンと呼ばれるものが各地に現れてから何年経っただろうか。どれほど人々が犠牲になっただろうか。
ある程度まで開拓されたダンジョンたちは、庶民の手に渡った。ダンジョンを攻略し、消滅させられる人間を育てる事業ができた。
ダンジョンに潜り、調査や攻略する者を探索者とするようになった。探索者を育成する学校まで創られ、人々はダンジョンの消滅のため、さまざまな策を使い動いた。
俺は幼い頃から父と祖父から、徹底的に探索者となるための訓練を受けた。
彩木家の敷地に近辺でも見ないほどの大きなダンジョンがある。それをできるだけ早く消滅させるために、俺の一族は頑張っているらしい。
ダンジョンはあってはならない。父に何度もそう言われた。
自分は何もできないくせに口だけは達者な父に、反感を覚えることもあったが俺にそんな力はなかった。
❖
生まれてから特に不自由もなく暮らした。
将来の選択肢はもっとあった。
わざわざ危ない仕事をする必要もなかった。
でも私は憧れてしまった。
たまたま開いた動画サイトに上げられていた、彼女の戦いぶりに魅入られた。
こうなりたいと思った。強くなって、バカみたいに強いモンスターをなぎ倒す。そんな探索者に。
「やほー! みんな!千夏ちゃんの登場だよ☆今日は〜前回ので初級認定もらったから、中級ダンジョンに挑戦していきます!」
目の前に浮かぶカメラに向かってハキハキ喋る。この動画を観る人が見やすいように。
探索者になって、探索者クランに入って動画サイトで配信もしくは動画投稿するよう言われた時はどうなるかと思ったけど……なんやかんや上手くいってる!……気がする。
探索者になるとまず初級のダンジョンか初級に近い中級ダンジョンで下積みする。モンスターとの戦い方やダンジョンの壊し方など、それぞれの師に教わりながら。
私もクランの先輩に習い、1年みっちり経験を積んだ。そこで初級認定をもらい、次は中級ダンジョンへの挑戦というわけ。
初級は1年修行するだけでわりと突破できるんだけど、中級からは根性とセンス、性格などなどが関わりものすごく時間がかかる人もいる。
中級の上に上級もあるけど、数年に一度壊せたらいい方って感じ。マジでレベチらしい。
ダンジョン壊せるようになったら1つ上の級のダンジョンに挑戦できるようになるって感じかな。
「初心探索者から卒業したので先輩と一緒じゃなくなりましたぁ…うぇーん。初めての中級は不安……ということで、このダンジョンに詳しい方にちょっとお助けしてもらいまーす!」
カメラの画角に、その人を招き入れる。失礼しますと言って私の紹介する手の横に立った。
無愛想だけど、丁寧な人だ。
「彩木さんです! このダンジョンがある土地の所有者さんらしいです」
「彩木です」
うーん、挨拶もサッパリ!
「私は千夏です!」
「そうなんですね」
うーん、スルー力も高い!
「主に私がダンジョン攻略をしていくわけですが、ちょっと危なくなったら彩木さんに助けてもらいまーす! 先輩とおんなじカンジかも!」
「助けます」
相槌打ってくれるのは嬉しいかも!
「まずはこのダンジョンについて知らないと! 彩木さん、このダンジョン今何階層まで到達してますか?」
「118階層です」
……?
「118?」
「はい」
私は耳を疑った。
聞き間違いじゃないらしい。中級とは思えないほどの階層数だ。普通50前後くらいと聞いたんだけど……
「最下層への到達の兆しはありません。モンスターの強さは初級から中級ほど。しかしダンジョンが中級にしては深すぎるため上級にする話が出ています」
「早く知りたかった気がします」
「ここのダンジョンをまともに攻略する人がいないので、あまり広まっていないそうです」
人の私有地感満載のところでガチ攻略はそりゃ気まずいけど……かわいそうなダンジョンを見つけてしまったかもしれない。
「だからか……私、同じ探索者クランの方に初めての中級ならここ! って教えてもらったんですよね」
「そうですね。そういう人はよく来ます」
中級に上がった探索者のいいレベル上げダンジョンにされてる……
私はこのダンジョンに愛着を持ちそうになった。
「ふふふ……ということは私がガチで攻略してこのダンジョンちゃんの全貌を暴いてやりますよ……!」
愛着を持ち始めてしまったせいで、私の心は暴走する。
他の探索者に攻略されてたまるか……!!!
このコは私のもんじゃい!
「助かります」
「っと、ここで一旦録画止めますね!」
「はい」
手元を操作して、浮かぶカメラを掴む。
点灯していた光が消えたのを確認して、アイキャッチ明けの打ち合わせをする。
「次はダンジョンに入った状態で録画を始めて、今日は10階層まで行ってみようと思います!」
「はい」
「モンスターは基本的なのが多いんでしたっけ」
「15階層までは初級経験者なら容易いと思います。戦ったことのあるモンスターも多いでしょう」
「16からは?」
「フィールドがランダムで変わります。それによってモンスターも変わります。知識があると楽でしょう」
「ふむふむ」
ダンジョンメモに記しながら、彩木さんについていく。
「ここが1階層。何もありません。録画を始めるならここからが安全でしょう」
他のダンジョンと変わらない岩で囲まれた洞窟みたいな空間だ。
「ありがとうございます! それじゃ始めますね! 3、2、1……」
「とうちゃーく! さてさて小手調べと行きますかぁ」
そのまま2階層に降りる。
階段で降りるのも他と同じ。
岩の壁も一朝一夕じゃ壊せなさそう。
「初級でよくある洞窟型ダンジョンだね! 彩木先生に15階層までは簡単って教えてもらったんだけど、今回は10階層まで! 体を慣らしまーす。明日からここのダンジョン攻略を配信でお送りします!」
カメラに向かって話しながら、向かってくる敵の察知も忘れない。
「よっ! と!」
ドタドタと駆けてくる二足歩行のゴブリンみたいなモンスター“モブリン”を棍棒でひと薙で吹き飛ばしていく。
初級訓練での成果が出ている。一発で倒せた!
「ふふふ! 強くなった私を見よーー!」
モブリンが倒れ、体が消えた代わりにオーブが現れた。黒くふよふよしたオーブは、私の腰に下げた“オーブ吸収くん”に吸い込まれていく。
これをダンジョン管理局に持っていけば、お金に換金できたり、武器の強化ができたりする。
モンスターを倒せば倒すほど身の回りが豊かになるってわけ!
そうしてサクサクと10階層まで辿り着いた!
「11階層に降りて今日は引き返すよ〜! ほーら最後の一匹っ!」
下に降りる階段近くにいたモンスターを蹴散らして、11階層に!
想定より時間はかからなかった。やっぱり上の階層は初級ダンジョンくらいの難易度みたいだ。
あんまり動画としてつまんないかなと思いつつも、深追いは厳禁なので大人しく地上に上がる。
帰りは行きでモンスターを倒してるから遭遇率は低いけど、通った道を戻るのはだるいよね〜
外の眩しさを浴びながら、動画の出だしを撮ってた場所に立ってカメラを固定する。
「ご視聴ありがとうございましたぁ! 明日の14時からもっと潜っていく配信するから見に来てねー☆ 彩木さんもありがと! みんなばいばーい」
手を振って振って、いいかなというところで録画を切った。
一応録画できてるか確認して……
「よし、オッケ! 彩木さん本当に今日はありがとうございました!」
「攻略頑張ってください」
「頑張ります!」
「配信観ます」
「エッ! は、恥ずかしいけどありがたいです」
「何かあれば声を掛けてください。すぐそこの家です」
彩木さんが指す方を見れば、物々しいお屋敷がある。
ここに来る途中で(おっきい家だーここに住んでみたーい)など適当なことを思っていたけど、住民がすぐ目の前にいたなんて……
「いいお家ですね!」
「ありがとうございます。それではここで失礼します」
「はい! さようなら!」
お屋敷に向かって帰っていく彩木さんに、大きく手を振った。
それにしても彩木さん目を布で覆ってて変な人だったな〜!
ああいうなんかカッコいいやつ私もしてみようかな! でも視聴者からは可愛い女の子を求められてるから難しいかな?
「っは! とりあえず今日の夜までに動画編集爆速でしないと!」
私は今日取った宿に向かって全速力で駆けた。
❖
この時期は中級ダンジョンに挑戦できるようになった探索者が増える。
俺は“渦潮ダンジョン”に来る人来る人にここらで一番の有識者、みたいな顔をして案内している。実際詳しいのは祖父だけど、今他のダンジョンに出張しているから俺が顔役をするしかなかった。
こんなの初めてだからすごい緊張して、固い返事しかできてない。悪評がインターネットで出回ってたらどうしよう。このダンジョンに挑戦する人が減ったら、父から雷が落ちるかもしれない。
恐い。
最近の探索者は専用のサイトでダンジョンの動画を上げたり、挑戦する様子をライブ配信で流したりしているらしい。
俺もそれに出た。その動画のコメント欄はまともに見れていない。
千夏さんに配信を観ると言ったので、彼女が配信をしていたら目に入れるようにしている。
今彼女は順調に20階層まで辿りついたようだった。
そういうわけでまた動画配信者の人に案内をする。
今回はライブ配信だし、16階層からの同行みたいだ。
ヘマしてもカットできない恐ろしい。
固くなっても千夏さんの時みたいに、ゲームのNPCのごとく受け答えしよう……!
3人組らしい。
10代の男女と20半ばの男性。みんな初級上がりで千夏さんの動画を見て15階層までとりあえず降りたらしい。
こういった千夏さんからの探索者が意外と来る。彼女は影響力のある人のようだ。
「というか、千夏と同じ探索者クランに入ってて〜」
唯一の女の子、千夏さんと同い年らしい小春さんがそう言う。
「競争か共闘かって考えた時、競争する方がおもろいんで千夏より先に下に潜ったろと思ってるんです!」
対抗心が強いらしい、これまた千夏さんと同い年の颯太郎さんがそう言う。
「すみません、ちょっとややこしいんですが今日はよろしくお願いします……」
この2人に苦労してそうな池本さんがそう言う。
「よろしくお願いします。何階層までのご案内をしましょうか」
「16時に引き上げられるくらいが目標なんですが、どのくらいまで潜れると思いますか?」
話し合いは池本さんが担当らしい。
聞かれてもこの人たちの戦い方が分からない。どのくらいってどのくらいだ……?
「とりあえず5階層を目標にしてみてはいかがですか」
「あっと驚く10階層下りを見せてやるぜ!」
元気よく颯太郎さんが意気込む。
「あわよくば10階層ですね。わかりました。危なくなったら手助けします。案内と手助け以外は要望がない限り行いません」
「はい。よろしくお願いします」
「お願いします!!」
「お願いしま〜す」
この3人大丈夫なのかな。
ちょっと不安になる。
❖
浮遊カメラと配信のコメントが見えるようディスプレイも設置して、小春と颯太郎の様子をうかがう。
「今日はわたしが前ね〜」
「トロトロしてモンスター取り逃すなよ」
「はあ? うざ」
あー、しんどい。
就活失敗して何もできずにいたところ、友人に誘われ探索者になったは良いものの……組まされたパーティーでこの2人を押し付けられてしまった。
探索者歴なんて高校生の2人と同じくらいなのに、年齢を重ねているせいで頼りがいを見出されこんな役回りをしている。
誘ってくれた友人は俺より長く探索者をして、強い探索者として名を轟かせている。
一緒にパーティー組んでくれなんて言える相手じゃない。
だからといってこんな凸凹パーティーで上手く……いってしまっているのが、なんとも言えない。
どんなに仕事か上手くいっていても、職場環境・人間関係が微妙ならプラマイ、マイナスなんだけどな。
今日は彩木さんがいるからまだ外向きの顔をしてくれているけど……
この配信を見る視聴者も2人の喧嘩を楽しんでいるようで、変に止めづらい。
俺ってこのパーティーでどんな位置づけなんだろうか。
「マイクつけた?」
「んー……彩木センセー付け方わかる?」
配信用のピンマイクを皆に配って見守っていると、颯太郎が彩木さんに絡みだした。もう敬語使えなくなってるし……
「わかります」
「ふーん。千夏に教えてもらったとか?」
「そうですね」
「グギギ……彩木センセー、千夏とやってないことあったら言えよ! オレがやるから!」
あー……また千夏に対抗心むき出してる……
彩木さんも何いってんだコイツって目で見てるよ、きっと!
「てか、それで見えんの?」
「あ、それ思いましたぁ〜」
ガキ共が彩木さんの目を覆った布にわらわら集まる。
俺も気になるけど失礼だったら怖いから聞かなかったのに!
「見えます」
「ほんとかよーなんか困ったら言えよな」
「お気遣いありがとうございます」
なんで颯太郎は上から目線なんだ……
コイツの態度を見る感じ、彩木さんを庇護対象として接していそうだ。彩木さんは背格好も颯太郎たちと同い年くらいに見えるし、子分扱いされている可能性がある。
迷惑掛けないでくれよ……とヒヤヒヤしながら、だらりとした空気を切り替えさせる。
パンパンと手を叩いた。
「よし、配信始めるよ。配信始めたら挨拶して16階層に降りるからね」
「はぁい」
「おー」
「こんにちは〜今日も問題児2人とダンジョンに入りまーす」
「彩木センセーも見守ってくれるぜ。千夏見てろよ!」
「頑張りま〜す」
―16階層―
「前一瞬降りた時とフィールドが違うな……」
木が生い茂る林の世界だったはずが、赤茶色の土や岩の世界になっている。モンスターの姿は視認しやすい、のか?
「全部ぶち倒してやるぜ」
「わたしが全部やるから引っ込んでていいよ」
「んだとコラ」
スタスタと進む小春に前方を任せ、周囲の索敵をする。
「ゼラリウム!」
小春の報告を聞いて、目の見方を変える。
ゼラリウムはスライムと言ったほうが伝わりやすいモンスターだ。
液体と固体の中間みたいな、にゅるにゅるとした触り心地で、体色をカメレオンのように自在に変化させる。
今警戒すべきは近辺で地面や岩に一見勘違いしてしまうようなゼラリウムだ。
ゼラリウムは体当たりと粘液を飛ばして攻撃してくる。近中距離型モンスターだ。
「はぁっ!」
小春は電気を発する短剣をゼラリウムに突き立て倒した。
「一体だけか!?」
「わたしの見える範囲ではそれだけだよ〜」
颯太郎の方もいないみたいだ。
「俺の方もいない」
◯小春ちゃんシビレルゥ!
◯小春ちゃんかわいい
◯ここはスライムなのか
◯ゼラリウムさんが一瞬で溶けてしまわれた…
◯そうちゃんの戦ってるとこ見たーい!
コメントも特に何も言ってないな。
ゼラリウムは一匹いたら三匹いると思えと言われてきたので、ちょっと拍子抜けだ。
「進むよ〜」
明らかに人が通れるように均された道を辿っていく。
だいぶ進んだ頃、小春は正面を見て迎え撃つ体勢をとった。
「いる」
そこにいたのは、俺たちの背丈を余裕で上回る巨大なゼラリウムだった。
「デカかよ!」
通称“デカ”。普通のモンスターサイズより何倍もの大きさのモンスターをそう呼んでいる。
体は大きいし、与えなければいけないダメージ数もそれに比例して増える。攻撃も大振りだからしっかり避けないと、こちらのダメージが大きい。
「このモンスターが階層の門番になっています。倒すか避けると下に行けます」
彩木さんがそう言ってくれるが……
「いやぁ、デカすぎてどう避けろと……?」
◯デッッッカ!!!
◯ほぼ壁
◯がんばえー!
◯専用の避けアイテム持ってたらモンスターに気づかれにくいよ
◯頑張って!
そんな避けアイテムないから倒すしかないな。
「ハァハァ……疲れた」
そりゃあ前線を張っていた小春は一番辛いだろう。
無事倒せたはいいものの、ゼラリウムが飛ばした粘液の飛沫がちょいちょいかかるせいで、体がネチョっている。
「デカゼラリウムはもうこりごりだよ!」
颯太郎はぶるぶると体を振って粘液を落とそうとしているが、そんなんで落ちるわけないだろ。
「うわっこっち飛ばすな!」
飛んできた粘液から必死に逃げる。
―17階層―
「森だ」
「すごい静か〜」
しん……と静まり返った森の中を歩く。濃い緑が生い茂った木々の間を抜け、辿りついたのは大きな水たまり? だった。
池か?
池の周りには可愛らしい花や蛍のような虫が飛んでいる。
「ぜっったい何かあるよ〜……」
なんとか避けられる道がないか探すが、周りは同じように生えた木ばかりだ。
ビチャ
水を含んだ何かが地面に触れる音だ。
音源を見る。
両生類のような水かきのある手が池から出ている。
ビチャ
もう一方の手が池から出てきた。
「さ、さいあく……」
小春の苦しそうな声が聞こえる。
ぬっっと現れたのはデカいカエルだ。ギョロリと目が動く。
うわぁ、小春が嫌いなやつ……
さっきのデカゼラリウムよりは幾分小さいが、おそらくコイツも“デカ”だ。
「ロフロッグですね」
ロフロッグ、カエル系モンスターの中では弱い。緑色の体が急に空から降ってくるので、だいたいの探索者から嫌われている。
このデカロフロッグは上じゃなく下から来たようだけど。
舌による攻撃、手ではたく攻撃、上から落ちてくる攻撃、この3つで戦ってくる。攻撃に当たってもそんなに痛くないが、精神的に削られていくので大変だ。
もううちの小春は使えないしな。
「てか、またデカじゃん。このダンジョンよくデカ出んの?」
颯太郎の言葉に確かになと思った。
「2階層分しか見ていませんが、珍しい方だと思います。この階層はこのモンスターを倒せば下の階層への階段が現れるでしょう」
「逃げたい!」
小春が叫んでいる。
◯小春ちゃんかわいい
◯小春ちゃんがんばれ!w
◯代わりに倒してあげたい
◯デカラッシュ
◯デカいカエルきもすぎやろ
◯そうちゃんがんばれー!
◯ヒェッ……
「先手必勝ー!」
颯太郎が小春の前に飛び出し、大剣をカエルの頭に打ちつけた。
俺はいつでも支援できるように銃を構える。
「オラッァ!」
もう一振り、二振り、斬りつけ殴り続けるとロフロッグは倒れた。さすがの火力だな。
17階層もなんとか切り抜け、18階層へ降りていると、彩木さんが不穏なことを言った。
「最近18階層で異常が起きやすいそうです」
「え? どういう異常ですか?」
ダンジョンの“異常”はある一定の期間にいつもとは違うことが起きている状態をいう。
異常の種類はさまざまだ。
モンスターの数が多くなったり、見たことのないフィールドになっていたり、現れないはずのモンスターが現れたりがある。
「中級より強いモンスターが現れます。異常の頻度自体は高くないですが、中級を挑戦する方には異常に遭ったら逃げるようすすめています」
「つまり上級モンスターが出るってことですよね?」
「そういうことです」
俺は頭を抱えた。せっかく18階層まできたこの時間が無駄になったらどうしよう……と。
ダンジョンは自分が辿り着いた階層から五つ刻みで入るときに転移できる。今回ここで逃げればまた16階層からやり直し。目標の20階層まで到達し、21階層に足を踏み入れれば次はそこから行けることになる。
ダルいことはしたくないが、命の方が惜しい。
覚悟を決めて、18階層へ足を踏み入れた。
―18階層―
何もない。
「は? なんだよここ?」
「いかにも異常じゃない〜?」
フィールドなんてもの存在しないかのように、全面灰色の世界だ。
「異常ですね」
彩木さんの声に肩が固まる。
逃げないといけない。
「ちょっと強いモンスター見てみたいんだけど」
「無茶言うな。危ないだろう、ゲームじゃないんだ」
「この状況でそんなこと言えるってバカでしょ!」
小春と2人がかりで颯太郎をたしなめ、体を引かせる。
「滅多に起きない異常です。千夏さんとは異常に遭っていません」
「……? オレらが変な運持ってるってこと?」
千夏ちゃんと彩木さんが一緒に入ったのは10階層までだから異常も何もないのでは?
そう思ったが黙った。
颯太郎も理解していない顔をしている。
「颯太郎さんが言ったじゃないですか」
彩木さんは不思議そうな顔で颯太郎を見る。
「“千夏とやってないことあったら言えよ! オレがやるから!”って」
「おお! 確かにっ! ふん、これで千夏に一歩リードだ!! でもオレなんもやってねーけど」
ここで呑気に話すことか?
と思ったが、2人が楽しそうなので黙った。
彩木さん、抜けてるというかズレてるというか。予測できない人だな……
「異常に遭遇した時探索者が行うことは、逃げる・情報収集・原因を討つなど、状況によって柔軟に対応します。今回の異常は原因の強いモンスターを倒せば落ち着きます」
「でもわたしたちは逃げるしかできないよ?」
「情報収集はできるでしょう。ここでどんなモンスターが出てどのように戦うのか。よく見ていてください。将来対峙するかもしれない相手ですので」
と、彩木さんが言うと小春と颯太郎はぴんと背筋を伸ばした。コイツらはこういうとこ合ってんだろうな。探索者としてのやる気ってやつ。
「もしかしてなんですけど、彩木さん戦う感じですか?」
手を武器に添えている彼を見てつい言ってしまった。
「もともと対処しなければいけなかったので、見ているだけで大丈夫です」
今まで最後尾についていた彼が、小春より前に出た。
❖
◯うおおおお!
◯彩木さんってどのくらい強いの?
◯頑張って!
◯何がくるんだろ怖い
◯無事に帰ってこいよ!
◯っぱ彩木先生よな
コメントって意外とまともなのかも。
もっとボロクソに言われたりしなくて大丈夫かな。
コメントや池本さんに心配されるほど、モンスターに手こずることはないだろう。
しかし、小春さんと颯太郎さんにアレの動きを見せる方が大変だ。無駄に長引かせると俺の集中力が持たないし。
右斜め前から巨大な足音がする。まるで馬が走っているような地響きの音だ。
「……! け、ケンタウロス…………」
そうそう、そんな名前のモンスター。
池本さんたちにも見えたらしい。
通常でも大きな体をしているから、ダンジョンに潜っていると非常に存在が分かりやすいモンスターだ。
下半身が馬、上半身が人間のような形をした筋骨隆々の化け物。
主に斧や後脚の蹴りなどの攻撃をする。
盛り上がった上腕二頭筋と馬の後肢から繰り出される攻撃は、ものすごく強いし当たったら死ぬだろう。
攻撃のモーションを注視しながら当たらないよう避けないとね。
俊敏な足で既に眼前に迫っている斧を後退して避ける。さらにもう一撃くるのでまた下がる。
雑草を刈るような横振りの動きが終わると、次は上から振り下ろしてくる。
あんなのまともに受けたら脳天がカチ割られるから。
刀を抜いて攻撃体勢に入る。
ケンタウロスは一つ一つの動きが大振りで隙も多い。
今腕を振り上げたうちに懐に入り、前脚をひと切り。
途端に動きが速くなり後肢の蹴り上げが迫る。
刀でそれを受け流すように後脚の片方を切り飛ばす。間を与えないようもう片方も切り落とす。
体勢を崩したのでそのまま、こちらまで落ちてくれた上半身の腕を使えなくする。
ヒト型の胴体部分と馬型の胸部分も切り離し、最後に首を落とす。
このくらい切っとかないと、上級モンスターはまだ動くかもしれないから怖いんだ。ちょっとやりすぎなくらいが良いんだから。
ケンタウロスだったオーブが吸収された。
ふぅ、と一旦バクバク動く心臓に休みを与える。
モンスターと戦うときはいつも緊張する。
無駄に強いしキモいし、痛いこともあるし良いことないけど、
「す、すげえ……!」
こうやって人の役に立てるなら少しくらい我慢できる。
❖
かっけーー!!!
オレは興奮している。
上級のモンスター相手に、赤子の手をひねるような剣捌き!
オレも、オレも、あんなふうに強くなりてぇ!!
彩木“先生”じゃなくて、彩木“師匠”じゃん!?
「なあ、すごいよな!」
隣にいた小春の肩を揺らした。
「うるさい黙って」
ピシャリと跳ね除けられて、上がった気持ちが萎える。
小春はオレとおんなじように盛り上がるタイプじゃないし仕方ねーけど。もうちょっとさー、なんか感嘆ってやつしろよ……!
ブツブツなんか言いながら分析してる小春は一旦置いといて、戻って来る彩木シショーに手を振る。
「下に降りますか?」
彩木シショーに聞かれてオレらは頷き、池本サンが代表して答える。
「降りさせてください」
やる気満タン! なオレたちはその後良いカンジに20階層まで降りて配信を終えた。
動画で見るのとは全く違う臨場感と生々しさがフラッシュバックする。
あんなふうにオレも戦えたらいいのに。
……やれるのか。オレに?
自分の部屋のベッドに寝転がりながら、大剣を握るイメージをする。
あんなふうに……
あんなふうに、やれたら、
オレは
❖
「彩木さんってこんなに強い人だったんだ!!」
お風呂上がりの自由時間にパッと動画サイトを開いたら、配信を切り取られた動画がオススメに出てきた。サムネにいたのは最近話した見覚えのある人だったので見てみたらびっくり!
「ケンタウロスをこんな簡単そうに倒せるなんて……私もー早く武器強くしてばこーんって倒したーい☆」
ちょっと倒し方グロめだけど、手足と胴体、首を丁寧に切り落としていく様子を見ていると、マグロの解体ショーを思い出した。
……マグロ、というかお刺身が食べたい。
お腹すいたぁ。
ふふふ……こういう時のために〜おまんじゅうを買っておいたのよ〜
泊まっている宿の近くに道の駅があったからそこで買ったご当地系のおやつ!
本当はしょっぱいものが食べたいけど、もう夜だしガッツリ食べてたら視聴者に“太った?”ってノンデリされちゃうからな……
明日のために今日は我慢!
食べるのは1個だけだから!
明日のラーメン楽しみだな〜
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「ひとりです」
ダンジョンに潜る前に腹ごしらえ。
ネットで探しまくり、美味しそうなラーメン屋さんを見つけた私は、この町滞在5日目にしてやっと来ることができた! うれしい!
カウンター席に案内されて、メニューを見る。
うーん、ここは気になってたご当地? のラーメンにしよ。
「これのチャーハンセットでお願いします!」
私の頼んだラーメンの名前が厨房のほうで響いてるなあ、と思いながら店内を見回した。
12時前だからか、お客さんはわりと少ないっぽい。
平日だからサラリーマンっぽい人とかが多めかな。
?
私の1つ席を挟んだ隣の人になんだか見覚えを感じた。
同い年くらいの男の子がケータイを触っている。多分この人もラーメン待ち?
うーん、同級生でもないし、クランも違いそう。
どこで見たんだろ?
テレビで見たとか?
それとも動画サイト?
「お待たせしました。しょうゆラーメンです」
「、ありがとうございます」
「ハッ!」
彩木さんだ!
目も隠れてないし、服も和服じゃないしで全然気づかなかった!
は、話し掛けたいけど、迷惑かな~?
とりあえず席近づいてみて嫌がられたらここに戻る?
近くを通りそうな店員さんがいる!
「すみません、ちょっと席変えてもいいですか?」
「どうぞ~」
よっしゃ!
「あの、彩木さんですか?」
スープを掬おうとした手が止まって、私の方を見た。
「え、あ、どうも……」
目がものすごく泳いでる!!
ごめん、やっぱり声掛けるのNGだよね!
「……千夏さんのご活躍は配信で観させていただいてます」
迷惑じゃなさそう!
「私も彩木さんのご活躍見ました! ケンタウロスをスパスパ切っててちょ〜すごかったです!」
「いや、あの、あ、ありがとうございます……」
耳赤くなってる! 可愛い!
「気にせずラーメン食べてください」
美味しそうだなぁしょうゆラーメン!
次来るときはしょうゆにしよう。
彩木さんは結構慎重にふーふー冷ましている。猫舌なのかもしれない。
というか、目の布は普段着けてないんだ?
てっきり目が視えないかすごい傷があるとかだと思ってたけど。
彩木さんの眼はいたって普通の綺麗な眼だ。
やっぱりおしゃれで着けてたのかな。
「お待たせしました」
「ありがとうございます! いただきまーす」
きたきた!
チャーシュー、ネギ、海苔私の好きな具材しかのってない! 最高。
スープは塩系! 最高。幸せの味がする。
麺もちゅるちゅる! 最高。
うーん、味がよく染みてるチャーシュー。
スープいくらでも飲めちゃうよ……ゴクゴク
……もうなくなっちゃった。
私は食べるのが早いらしい。友達と食べてても1番に食べ終わるし、今も彩木さんはラーメンを食べている。
早食いはよくないって分かってるけど、美味しいごはんを前にして正常でいられない。
頑張ってチャーハンをゆっくり食べたら良いカンジ……?
ちなみに私は三角食べみたいなのもできない。最悪な食べ方をしている。
ふぉーっ……!
お、おいしっ!
やっぱりラーメン屋さんのチャーハンは最高!
「ごちそうさまでした……」
食べきった。
またここに食べに来よう。
私は決意した。
彩木さんももう少しっぽい。
このあと少しお話ししてみたいので、隣をチラチラ見ながらゆっくり席を立つ準備をする。
今彼も食べ終わったみたいだ。
「あの、このあと時間ありますか?」
ラーメン屋さんを出た道すがら、捕まえた彩木さんと話す。見た感じ、ほぼ手ぶらっぽいからご飯食べに外に出ただけなのだろう。
「今日も配信ですよね。頑張ってください」
「頑張ります! 彩木さんって探索者歴何年ですか?」
「だいたい2年ですね」
その数字に私はギョッとして仰け反った。
「2年!? ちなみに彩木さんはおいくつですか? 私は今年で17歳です」
「俺も17歳になります。同い年だったんですね」
その数字にもギョッとして仰け反った。
私の想定していた数字よりも若い……!
大人っぽく見えたからせめてもう2年くらい上かと思ったのに。
一般的に探索者になるのは15歳以上。探索者育成もやってる高校にいく人は高校入学くらいで探索者登録をする。
私もそう。
しかし彩木さんは15歳になってすぐ始めてそうだ。
2年で上級モンスターを殺れるって、相当な実力者だ。そんな人が攻略できない渦潮ダンジョンって何?
「同い年ならそんなに畏まらなくてよくない?」
「そ、そうですか?」
「探索者仲間だし、地元じゃないとこで同年代と関わること滅多にないしさ!」
「うーん……」
「個人的に彩木さんと仲良くなりたい!」
「え!?」
「だめ? 一緒にラーメンを食べたよしみでどうか……!」
眉を下げたり目をキョロキョロさせたり驚いたりする彩木さんに押せ押せでいく。
仲良くすんのにそんな壁作ることある!?
「仲良く……はありがたいくらいなん、だけど圧が……! すみません、圧がすごい! 俺の心が弱いばかりにっ!!」
彩木さんが後ずさっていく。
「圧?」
彩木さんに言われて、はっと距離をとる。確かにちょっとぐいぐい行き過ぎたかも。
「ごめんねっ。連絡先だけでも交換しない?」
「それは、ぜひ」
快く受けてくれたことにニコニコしながら、携帯を出した。
ダンジョン用と私用の番号と連絡アプリを登録して、今日は別れることにした。
「彩木さん! いつか一緒にダンジョン攻略しましょ! 私早く強くなりまーす☆」
私の大振りの別れの挨拶に、戸惑いながらもペコと去っていった。
よーし、今日は40階層まで降りるぞー
❖
ダンジョン管理局から連絡がきた。
また異常が発現したらしい。
こんなにも異常が重なるということは、このダンジョンも限界かもしれない。
異常がただ起きるだけならともかく、最近の傾向として異常を抑えれば新たな異常が出てくるの繰り返しになっている。
過去、こんな状態に陥ったダンジョンが崩壊し、中にいる化け物が街に溢れ出した事故があった。
近隣住民や建造物など大きな被害をもたらした。
まるで災害が起きたかのような有り様だった。
ダンジョン災害が起きたらまず俺の家は壊されるだろう。もしかしたらあのラーメン屋さんやあの喫茶店、カフェレストラン、中華料理屋さん、さらに図書館までなくなるかもしれない。
……思ったよりひどいことになるぞ。
俺のメンタルが。
ダンジョン管理局とも話して、渦潮ダンジョン攻略にあたる探索者を積極的に募るようにしている。
あわよくば千夏さんたちが早く降りてきてくれないかな、なんて思ったり。
千夏さんなら俺が連れて現時点最下層に降りてもなんとかなりそうだとは思っている。彼女のやる気次第だ。
リミットは1ヶ月。
ダンジョンが消滅するころには、俺の元気もなくなってダンジョンに潜れなくなっているかもしれない。
これからのダンジョン漬けの生活を想像して、身が震えた。
武器の整備も念入りに行った。
母さんの朝ご飯もちゃんと食べた。
昼ご飯も持った。
愛犬の写真(精神安定剤)も懐に入れた。
「いってきます」
「いってらっしゃーい」
「ワンワンワンワンワンッ!」
母さんたちからの見送りを受け、家を出た。
家から徒歩1分もしない距離に、ダンジョンの口がある。そのままの名前だ。奥へ奥へと誘うように大きく開かれた“口”。
探索者はここに自らの意志で飛び込んでいくから恐ろしい。
ひとつ深呼吸をして、120階層まで降りた。
俺は結構影響を受けやすい。
知り合いが〇〇を始めたと聞けばちょっと試したり、かっこいい音楽を聞けば自分がかっこよくなった気分になって作業が進んだり。
ダンジョン攻略の進み具合も割と気分の上がり下がりが大きく関係する。頑張ってる探索者を見かけると、ちょっとダンジョン入るか……とは思うし、最近だと千夏さんとか問題児2人と池本さんグループを見たおかげで、しばらく進まなかった攻略も2階層分降りられたし。
とりあえず今日は5階層降りる。いきなり10進むとかイキったらもうここに行きたくなくなるので、マイペース大事に。
いつまで続くか分からないモンスターとの戦闘。
110階層からモンスターの出現量が多くなっている。小賢しい抵抗だ。早くくたばってほしい。
さらにこのモンスター全部殺さなきゃ下に降りられないときた。こんなんダンジョンに潜りたくなくなるだろう。
斬っては翻し斬っては翻し。
お昼タイムのレストランのホールかのような足取りだ。止まる隙もない。
モンスターは初級もいるから割と倒すだけなら楽。
しかし、向かってくるのは全部化け物なので楽じゃない。キモすぎる。
気持ち悪い造形を見たくないから目隠しまでしたのに、ベチャベチャ音立てられたんじゃ意味ない。音を立てるな。
目隠しでホラーゲームしてる気分だ。
やっとこさ最後の一匹を倒せた。ズズズと石が引きずられる音とともに階段が現れた。
121階層へ。
122
123
124
125!
よーし、当初の目標は達成できた。
さっさと帰ろう。
当てつけのように近くにいたモンスター数体を斬りつけて、120階層まで走った。
❖
【がんばれ♡】スターコアの活躍を見てニコニコするスレ207【がんばれ♡】
探索者クラン スターコアを応援するスレッドです。
関係のないクランの話題、
探索者への誹謗中傷等はやめましょう
過去スレ→
・・
27:ある一般人
問題児2人と池本さん、千夏ちゃんと同じダンジョン行ってたん?
28:ある一般人
せやで
問題児2人が対抗心むき出して頑張ってるで
29:ある一般人
彩木師匠ブーストは伊達じゃないな
30:ある一般人
本当にあの2人彩木師匠の戦い見てからの動き段違いでおもしろいよw
もともと強いんだけどさ
31:ある一般人
そりゃあんな本物見たらだれでもああなる
32:ある一般人
安心安定の池本
33:ある一般人
池本素質はあるのにな
やる気が中途半端で見てておもんない
34:ある一般人
池本応援してんだけどなあ
しなん程度にがんばってほしいわ
35:ある一般人
池本はしれっと探索者辞めて、知らない内にかわいい女と結婚してんだよ
アイツはそういう男
36:ある一般人
問題児2人から手離れたら辞めそうではある
37:ある一般人
千夏ちゃんまじでかわいいし強いの最強だよ
38:ある一般人
渦潮ダンジョンはよ攻略してもろて
39:ある一般人
あのダンジョン探索者要請出てたからスターコアチャンスだぞ
40:ある一般人
崩壊疑惑出てるらしいな
41:ある一般人
え?マジ?
あの彩木さんがいて?
42:ある一般人
上級並の深度らしいし、いくら強くてもゴールが遠けりゃ意味ねぇよ
43:ある一般人
千夏ちゃんが攻略しないかなー
44:ある一般人
20年くらいあのダンジョンあるイメージだけど、中級のくせに全然攻略されないの不思議なんだよな
45:ある一般人
ホラーっすか?
46:ある一般人
ヒェッ
47:ある一般人
みんな頑張れー^_^ノ゛
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【未来】強い探索者を語るスレ190【希望】
強い探索者、成り上がりそうな探索者について語りましょう!
弱い・有名な探索者の話題は別スレへ→
過去スレ→
・・
104:ある一般人
スターコアの千夏
初級上がりにして中級で50階層まで到達した期待の新人。今回のダンジョン攻略できたら中級パスできそう。棍棒で殴る戦い方も爽快!
105:ある一般人
それを言うならスターコアの千春・颯太郎もだな
短剣で身軽に戦える千春と、大剣での火力ブッパ颯太郎の連携は初級上がったばかりにしては強すぎる
パーティーで組ませたら最強なんじゃないか
106:ある一般人
スターコアは将来性のある若手を捕まえるのが上手いんだよな
どうやって見つけてんだ
107:ある一般人
探索者育成学校の生徒漁りまくってる
今年から上級アタックしてる三星もなかなかにイカれてるよ
千夏ちゃんたちの一つ上で、何個も中級ダンジョンをソロでぶっ壊してる
てか学校行って人材探すだけで強い美少女探索者見つけられるかよ
ふざけんな
108:ある一般人
スターコアは顔採用もしてそうだから強い部類に入っててもこのスレで紹介するのはちょっと考える
109:ある一般人
顔良いだけで配信みる奴はいるからな
それで金稼いでメンバー強くできるならいいんじゃない?
110:ある一般人
>>109
有名探索者スレ行きな
小春・颯太郎で思い出したが、そこの配信で出てた彩木って人はどうなん?
このスレ的には強い?
111:ある一般人
聞かんでも強いって分かるだろアホか
112:ある一般人
言葉強いよ111
>>110
強いね。
上級のケンタウロスをあんな倒し方できるのはなかなかいない
刀使いの中だったら源次郎クラスかも
113:ある一般人
何の話か分からなくて調べて動画観たが、こりゃすげぇな
あと源次郎のガチ孫っぽいぞ、その人
114:ある一般人
孫!!??wwww
源次郎クラスとかのレベルじゃなくて草
源次郎ママやないかいwww
115:ある一般人
孫!?
息子はあんまりってのは聞いたが、そうか孫か〜
孫にはゲンジロウが受け継がれてんのね
116:ある一般人
源次郎の孫の話題なんて一切耳に入らなかったが、もう高校生?くらいなのか
117:ある一般人
よかったな父親の血が受け継がれなくて
118:ある一般人
目隠してケンタウロス易易と倒せてる時点で源次郎超えてる気がするんだけど
119:ある一般人
ダンジョン攻略歴とか分かればちゃんと最強スレ入りできるでな
❖
―130階層―
ここまで降りたが、モンスターとフィールドに変化はない。
あんまり見えないから確かじゃないけど100より下からずっと洞窟型フィールドだと思う。変わり映えしない地形と増えるモンスター。
これはいつまで続くんだ?
区切りのいい数字の階層はダンジョンの最奥になりがちらしい。どこかにあるダンジョンコアに触れるか壊せば攻略なんだけど、今までそんな影も形もない。それに下への階段も出現するから最奥ではないと考える。
131階層へ招くような階段ももちろんある。
だけどさすがに俺は疑うしかなかった。
ダンジョンの階級は基本的に人間が決めるわけじゃない。ダンジョンの口に嵌められた宝石のような輝く石の色から難易度を把握している。
緑は初級。黄は中級。赤は上級。
原初に現れたダンジョンに果敢に潜りこんだ英雄たちが法則を発見し分類してくれたから階級があると分かったんだ。
それでも潜るのは人間の探索者だから、ダンジョンが勝手に決めた難易度でもこちらが探索者向けに階級を変えることもある。
渦潮ダンジョンは黄色の石がデカデカと主張しているが、実際に入ってみれば階層の数がとんでもないときた。だから攻略難易度として上級に上げようという話が出ていた。
まあ実際120以降のモンスター・パニックはモンスターが弱いとはいえ初級から上がった探索者には酷いものだろう。
だけどもしこれが意味のない潜りだったら、俺は萎える。というか今ダンジョンの口近くで夕焼け空を眺め何も考えられずにいる。
「あーあ……」
あの時、130階層の壁や床に変なところはないか一応調べ、131階層に降りた途端、50階層に来ていたのだ。
俺も何がなんだか分からない。
というか教えてほしい。
俺がいたのは131階層だったはずだ。ワープ系の罠に引っかかったっていうのか?
今までそんな罠なかったくせに?
ダンジョンは特有の力を持つ。モンスターを中に抱えてるし、探索者の意思で自由に階層に入らせるし、不思議なことは多い。未知の力を多く抱えている存在だ。その内の一つが罠魔法、ワープだ。
別の階層に移動させるのも、階層内で移動させるのもあるらしい。
今回俺が掛かったのはそれかもしれない。
50階層は俺の記憶にあるままで何の変哲もない。
神殿のようなフィールドだ。神殿は半壊状態だけど。
あからさまに何かありそうだが、本当に何もない。
俺が思いつく限りの行動はしたけど、何も起きなかった。
ダンジョンから出ることにした俺は上に上がる。
いったい何階層登ればいいんだと思ったが、外はすぐだった。
もう一度入ってみて131階層を見ようとした。しかし、もうそこには行けなくなっていた。
行ける最下層は60。
「あーあ……」
全く分からない。どうなるんだろう俺。
1ヶ月後、俺は大人しく崩壊に巻き込まれて死ぬんだきっと……
ちょうどお昼寝とかしてる時にスライム(ゼラリウム)に襲われて最後の景色がそれになっちゃうんだ……
人生最後に食べるならオムライスがいい。ふわとろたまごのオムライスだ。
……ぐぅぅ〜〜
お腹が減ってきたから家に帰ろう。
そうだ。今日あったことは夢だから、寝て起きたら全部今朝の状態に元通りだ。
また130まで降りるのはしんどいけど、明日も頑張ろう!
頭を抱えた。
夢ではありませんでした。
すべてふりだしです。
すごろくじゃねーんだよ。
俺は涙を流しながら携帯を出した。
❖
「おいし~っ!」
「ここランチもおいしーよー」
たまたま小春と会った私は、近くの喫茶店のモーニングに舌鼓を打っていた。
小春は何回かここに来ているらしい。
こんなおいしいサンドイッチがあるなんて、早く知りたかった!
よく焼かれた分厚い食パンとたっぷりの卵!
冷たいオレンジジュース!
うまうま……
デザートに小倉トーストもいっちゃおうかなっ……☆
「……やっぱりよく食べる探索者は強いのかな」
「? 何か言った?」
小春はゆるゆるとした子だけど、たまにブツブツと独り言を話す。微妙に聞こえないから反応しなくていいんだろうけど、目の前でなんか言ってたら気になるよ!
セットで付いてくるサラダもモシャりながら、互いの近況を話す。
「50階層まで行ったの見たよ〜やっぱり千夏さんはさすがですな〜」
「いえいえそれほどでも……ありますけどぉ! てか小春たちも50階層行ってたじゃんマジで早いよね〜」
「まーねー……中級ってだいたいそこらでコアあるって聞いてたけど全然ないじゃんね〜」
「フィールドはすっごい怪しいんだけどねー彩木さんは118が最下層って言ってたけど、私はなんかギミックがあるのかなって思ってんだよね。小春はどう思う?」
「まーこんな中途半端な強さで100あるって“何か”あるよねぇ〜分かんないからそこまで降りるしかないんだろうけどさ」
小春はりんごジュースの氷をストローでぐるぐるとかき混ぜる。
小倉トーストのあまりのおいしさに私は幸せが爆発する。
「そういえば、三星先輩こっち来るんだってね」
小春は机に置いていたケータイを見ながら思い出したように呟いた。
「そうなの?」
「うん。渦潮ダンジョン面白そうって」
「三星先輩頭良いから、私たちより遅く来たのに攻略しちゃいそうだよねー」
「うざぁい」
小春、そこまで言わないであげて。
三星先輩は私たちと同じクランの一つ上の先輩だ。
去年の今頃は中級ダンジョンを壊しまくってたヤバイ人。
ちょっと意地悪な先輩だけど、いい人だと思う。うん。
ブブブと私の携帯が震えた。
「え何〜、クランからじゃないよね」
「えー、違うと思うよ」
メッセージアプリの通知だ。
開いて見てみると、彩木さんからだった。
『助けてください』
「彩木さんだった」
「連絡先交換してんるんだぁ〜50階層おめでとう、とか?」
「違う違う」
これは一大事なのでは?
わざわざ彩木さんが助けを求めるなんて、それも私に。
(何かあったんですか?)
『ダンジョンが』
ダンジョンが?
文字を打っているのか、間があく。
「ダンジョン関係だ」
「へ〜」
『一緒にダンジョンに入ってもらえませんか』
「ンンン!??」
私は混乱した。
まさかこんな機会が回ってくるなんて!
喜びかけたけど、文面的に面倒ごとっぽいなぁ。
アプリだと彩木さん伝えにくそうだし、直接会うか電話で詳しく聞きますって言お。
それにはすぐ返事が来た。
『家に来てください』
「彩木せんせーのおうちカッコい〜」
なぜか付いてきた小春とともに彩木さんちまで来た。
「彩木さんいますかー?」
「いますかぁ〜」
インターホンどこだろ、とキョロキョロしながら彩木さんに呼びかける。私の声はよく通ると視聴者からの評判だ。
木造のThe・古い家な彩木さんの家の庭をウロウロする。
「千夏さん……すみませんわざわざ……」
斜め後ろくらいから現れたのは、中型犬を抱えた疲れた顔の彩木さんだった。
「彩木せんせー、こんにちは〜」
小春の存在を目に入れると、彩木さんは一瞬顔が固まった。
「……こんにちは」
キョロ、キョロ、と私の方を見るけど私は私で彩木さんにツッコミたいので無視した。
多分この人はスイッチが入ってないと相当の人見知りだ。
「なんで犬だっこしてるの?」
軽く手を鼻の前に出すと、クンクンとワンコは嗅いでくれた。見ての通り暴れるような子ではなさそうだ。
可愛いなー、雑種かな。
「HPを回復してます」
ほーん、とよく分からなかったので生返事をしながら本題に入る。
座るところをと気遣ってくれたのか、縁側に案内してくれた。
ワンコは彩木さんのそばにお座りした。可愛い。名前はハナちゃんらしい。可愛い。
小春もハナちゃんにメロっている。
「渦潮ダンジョンの攻略に同行させてもらいたいんです」
「全然いいよ! でもなんで?」
同行してじゃなくて、させてなんだ。
この人ほっといたら自分のことを地中深くまで下げていきそうだ。
「前提として、俺はあまり頭が良くなくて」
「あ、はい」
今地面を掘り出した。
「今までとりあえず下に行けばダンジョンは攻略できると思ってたし、そう教えられてたんです」
「間違いではないと思う」
横槍かと思ったけど、彩木さんの思い詰めていたような、シワを寄せた顔が少し和らいだ気がする。
「なにより渦潮ダンジョン以外のダンジョンをまともに攻略したことがなくて」
「エッ!?」
側で聞いていた小春が思わずといった感じで反応する。
わかるよ、私もちょっとビビってる。
上級モンスター倒せるくせにダンジョン攻略歴はないわ、探索者は2年しかやってないわ、同い年だわで頭は混乱中よ。
「渦潮ダンジョンの130階層まで昨日降りたんです。そうしたらいつの間にか50階層にいました」
「50階層に……」
小春は口元に手を当てて自分の世界に入り始めた。
「ワープ?」
「分かりません。131階層に降りた途端移動しました。一度外に出て130階層に行ってみようとしたんですが、入れませんでした」
入れない?
それはワープじゃない。
ワープは探索者を移動させるための罠であって、階層に入る権限まで取るようなものではない。今の段階ではそうなっている。
今まで見つかっていないタイプのワープの可能性が高い?
確かにわざわざ下まで潜ったのに上に戻されてさらにその記録までなくなったら、この上なく面倒くさい。
嫌がらせが好きそうなダンジョンならやるかもしれない。
「50階層までしか入れない感じ?」
「60階層には行けそうでした」
なんで60?
「やっぱ50階層怪しいね〜だから千夏と一緒にダンジョン行ってみようって思ったんだぁ?」
「はい」
「ねーねー、私たちも一緒に行ってい?」
小春の問いかけに彩木さんは少し逡巡した後、千夏さんが良いなら、と頷いた。
「やほー! みんな! 今日は同じクランの3人とそこら辺にいた人と渦潮ダンジョン攻略しちゃうよ☆ 告知急になっちゃってごめんねっ」
カメラに向かって手を振る。
しっかり映っているようで、元気なコメントたちが流れていく。
とりあえずメンバー紹介だ。みんなもよくわかっていないらしいし。
笑って自己紹介をしようとしやがらない人たちはほっといた。
「はーい、まずは問題児2人と池本サン! なぜか一緒のダンジョンを攻略してるらしいよ!」
小春は“アレ”の提案者なのだけど、珍しく大笑いしていて使い物にならない。
「よ、よろしくねー……っふ」
池本さんは横にいる“ソレ”を視界に入れる度耐えきれなくなって口を抑えている。
「っしゃあ! 千夏をアッと言わせてやるぜ!」
颯太郎はよくわかっていない。今日も元気だ。
そして、
「そこら辺にいた人です! ちょっとシャイだから着ぐるみの格好してるんだけど、悪い人じゃないよ☆」
微妙な顔をしたうさぎの着ぐるみを身に纏った、彩木さんだ。
棒立ちで手を振っている。
小春のせい……というか、彩木さんの要望から小春が提案してこの形になった。
彩木さんはあんまり配信とかネットに出たくないし、問題児たちの配信で目立ったせいでより表に出るのが気まずいらしい。その話を聞いて変装しようとなったのだ。
良いカンジに視界が隠れて身も隠せる……と考えた結果、大昔ダンジョン祭で使ったこの着ぐるみがたまたま手元にあったから使ったらなんか面白くてこうなった。
この着ぐるみは颯太郎が所有していて、たまに罰ゲームで着ているやつだ。颯太郎から借りている。
武器は刀だとあからさまかもと思って私の棍棒を貸してみた。彩木さんは問題なく使えると言っていた。
私はもう一つ自分の武器があるから大丈夫!
名前はうさぎさんで通すことにしている。
間違えて誰かは本名で呼んじゃいそうだけど。
「情報提供者によると、このダンジョン深いだけじゃなくて特殊なギミックもあるみたいだから一つ一つ丁寧に攻略しちゃいます☆」
「人数いた方が探し物も見つけやすいからね」
正気に戻った池本さんが合いの手を出してくれた。
「オレが一番先に見つけてオーブぶっ壊す!」
颯太郎はすごくやる気を漲らせている。
「50階層でーす」
前と何も変わらない、廃れた神殿とモンスター。
各個撃破でモンスターを狩り尽くし、中央に集まった。
「何もないね」
「やっぱり下に降りた方がいいかな」
「さっさと行こうぜ」
探索に向かない颯太郎が階段に向かう。
先に下のモンスターを潰してもらったほうが楽かな。
「小春と池本さんはギミック探索中心で、私と突っ走りくんとうさぎさんはモンスター殲滅中心で行こう!」
「いいよー」
小春たちの頷きを得て、私とうさぎさんは颯太郎に付いて行く。
変なチーム構成だけど、多分なんとかなる。
「51階層、今までの階層となにか違う気がするんだけどなんなんだろ?」
なんの変哲もない洞窟型フィールド。岩の色とか?
前髪切った? と聞きたくなるような微妙な雰囲気の違いに私は頭を捻った。
「うさぎさん? どうしたの?」
うさぎさんが腕を擦る動作をしている。
「痒い?」
ほぼ無理矢理着ぐるみ着せちゃったから彩木さんの負担になってるかも、と今更な心配をした。
「……寒いんじゃね?」
なるほど!
「このフィールドさっきまでより少し寒いんだ?」
そうだよ、というように腕で大きく丸を作ってくれた。
彩木さん着ぐるみ向いてるよ!
「っ、つめたぁい! 壁もひんやりしてる」
見た目は岩なのに、手触りはツルツルの氷だ。触った冷たさの割には空間はそこまで寒くないほうだ。
時たまに鳥肌が立つ寒さが来るけど。
これまでフィールドは変わっても気温とかの変化は一切なかったので、すごく違和感がある。
「お、スライム出てきたぜ」
「ゼラリウムね」
……いや、今までこのダンジョンがおかしかったのかもしれない。普通、フィールドが変われば人の周囲の環境も変わるはずなんだ。
「モンスターは変わってない?」
今倒したゼラリウムの様子を思い出しながら、変なところがなかったか探す。
「変わんねーなーこんなのが100階層まで続くのかよ。頭おかしくなんぜ」
先頭は颯太郎、その次に私、最後尾に彩木さん(うさぎ)で進んでいく。
◯うさぎマジで誰?
◯ここからが本番……ってコト!?
◯颯太郎つよ!
◯即席メンバーで攻略すんのスゲー!
◯初の中級ダンジョン攻略がここなのは運がいいのか……
◯千夏ちゃんかわいい
◯特殊ダンジョンかも
「きた! スライム!」
颯太郎の声と共に、右手に握った武器を解放する。
パンパンパンッ
3体のゼラリウムを撃ち倒した。急所に上手く当てると一発で倒れてくれるから楽だよねー
「ナイス!」
残りにゾロゾロと蠢く3体のゼラリウムを、颯太郎は大剣で殴り倒した。
パフパフパフと後ろでうさぎさんが拍手してくれている。
「どうもどうも」
素直に照れた。
後ろに彩木さんがいるという安心感がヤバイ。
私のいつも使ってる武器は棍棒だけど、適正は銃だ。棍棒使ってる時は、腰にとりあえず一丁下げてるけど、今日は棍棒無しなのでもう一丁用意している。
いつでも両手で構えられるようにしてるけど、今は3人パーティーだから颯太郎の後ろで撃つだけで済みそう!
その後、何もなく60階層まで降りてしまった。
❖
「小春どうだ?」
ギミックトラップはない。
仕掛けのきっかけになりそうなものもない。
ただ“それっぽい”神殿のフィールド。
ギミック本体はここ以降の階層にあるのか、それとも今までヒントがあったのか。
だけど後者はあまり考えられない。ただでさえこれまでの階層のフィールドはランダムだ。ランダムに変化するフィールドに“なにか”を共通して持たせるのは難しい。
……ダンジョン生成学の話になってくるのか。もっと知っとけばよかった。今学校で勉強してる途中なんだよねー
「なーんにもないよー」
池本さんと50階層をかれこれ数時間探索してたけど意味なかったなぁ。
下に降りたフィジカル組が何か見つけてくれたらいいけど。
「この文字も俺たちじゃ読めなかったしなあ」
「一旦外に出てダンジョン文字辞典で調べるしかないよねー」
“ダンジョン文字”
ダンジョンに現れるダンジョン特有の文字。
もちろんわたしの通う学校でも英語みたく教えられる。
ダンジョン文字にはそのダンジョン特有のヒント文だったり謎解きだったりが記されていることが多い。