◇《最後の門》― 契約者と精霊たちの決戦
彼らが辿り着いたのは、《虚無の門》。
世界を蝕む“無き者”たちの本拠。
かつて精霊の主たちが敗れた因縁の地でもあった。
歪んだ空間が蠢き、闇と怨念が形を取り、かつての記憶が咆哮をあげる。
だが、イリス、アリシア、セイル――そして彼らと完全契約を結んだ精霊たちは、一歩も退かない。
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◆ミュレナ ―《風律の巫女》の全力
ミュレナが舞うと、空が震える。
風が渦を巻き、数千の魔弾が嵐となって闇を切り裂く。
> ミュレナ:「わたしの風は、“想い”を導く風。
消えそうな希望に、光を吹き込むために!」
敵の群れが迫っても、彼女は優雅に舞いながら風刃を解き、
空間を切り裂く“六翼の風陣”を展開。
それは、記憶と想いを束ねた風の刃だった。
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◆フィリュア ―《季律の守り手》の全力
フィリュアは地に手をかざす。
大地がうねり、金葉の樹々が生まれ、
仲間たちを守る結界と再生の祝福が広がる。
> フィリュア:「痛みを知っても、なお歩もうとする心にこそ、力を貸そう」
彼女が生み出した“命樹の盾”は、ナンナの呪いさえも浄化し、
仲間の傷を癒やしながら、精霊の根を大地に刻みつけた。
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◆ゼオル ―《誓剣の戦神》の全力
ゼオルは双剣を構え、ただ前を見据える。
その眼差しは、主セイルの信念と重なっていた。
> ゼオル:「我が剣は迷いを断ち、進む意志を貫く。
お前が望む限り、何度でも立ち上がろう」
“破煌・二律双閃”――ゼオルの必殺剣が空間を斬り裂き、
虚無そのものの本体へと到達する。
重なるようにセイルが剣を引き抜き、最終の一閃を放った。
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◇三重共鳴 ― 心を重ねた最終奥義
イリス、アリシア、セイルが互いの手を取り合い、
精霊たちと心を一つに重ねた瞬間。
空に、三つの記章が浮かび上がる――
《風》《葉》《剣》が重なった光は、ひとつの巨大な紋章となった。
> イリス:「この世界に――希望を残す!」
アリシア:「私たちの想いは、誰にも壊せない!」
セイル:「行こう、最後まで――共に!」
三重の契約により放たれたのは、
【《契ノ輝環》】――魂の共鳴によって生まれた最終魔法。
それは、空間そのものを浄化し、無き者の根源を焼き尽くした。
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◇決着と静寂
敵が消え去ったあと、辺りに残ったのは静けさと風、そして光。
精霊たちは少しだけ微笑み、契約者たちのもとに寄り添う。
> ミュレナ:「風は吹いた。あなたの想いと共に」
フィリュア:「命は巡る。あなたが選んだ未来へ」
ゼオル:「剣は折れず、信念は残った。……見事だった、我が主」
そして三人は、互いの手をそっと重ね、
静かに、温かく微笑み合った。
それが、戦いの終わり――
そして、新たなる旅の始まりだった。