◇精霊たちの完全なる顕現 ― 第二契約・魂の共鳴
◇精霊たちの完全なる顕現 ― 第二契約・魂の共鳴
深き森の奥。
精霊の神域――《結びの大樹》のもとに、イリス、アリシア、セイルの三人は立っていた。
夜の闇は静まり、風はささやき、空は蒼く輝く。
その中心にそびえる白銀の大樹の根元に、三人はそっと手を重ねた。
> イリス:「私たちの想いを――重ねよう」
アリシア:「誰かを守りたい気持ちも、自分が弱いって思うことも、全部」
セイル:「隠さずに。精霊たちに、心を渡す」
瞬間、大樹の根が光を放ち、三人の心に宿る精霊たちが姿を現す。
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●ミュレナ ― 風の精霊《共鳴・完全体》
淡い桃色の羽根が白銀と空色に染まり、
ミュレナの姿は、人の少女の姿からさらに成長し、
風の巫女のような神々しさを帯びた存在となった。
その背に広がるのは六枚の“記憶の翼”。
それぞれが過去・現在・未来・感情・希望・運命の風を象っていた。
> ミュレナ:「イリス……あなたと出会った日、私は“風”から“心”になった。
今ここで、あなたと共に吹く風でありたい」
その声は風のように優しく、世界を包む。
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●フィリュア ― 葉の精霊《共鳴・完全体》
金の葉が舞い上がり、
フィリュアは温かく力強い光をまとい、
女神のような大地の姿へと進化した。
背に宿すのは“季節を紡ぐ環”――春夏秋冬の彩が彼女を包み、
その目にはすべてを受け入れる優しさと芯の強さが宿っていた。
> フィリュア:「アリシア……あなたの中にある慈しみが、私を育てた。
ゆえに、私はあなたの“根”であり、“未来を宿す枝”であろう」
その声は、地を癒し、命を芽吹かせる祝福だった。
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●ゼオル ― 剣の精霊《共鳴・完全体》
紫と銀の刃が解けるように光となり、
ゼオルは黒銀の戦神の姿を現す。
鎧は星のようにきらめき、双剣は光と影を映していた。
その瞳には迷いも恐れもなく、ただ信じた主を守る誓いが映っていた。
> ゼオル:「セイル。お前の“揺るがぬ想い”こそが、私を完全な剣とした。
私はお前のために斬り、守り、進む道を切り開く」
その声は静かにして鋭く、だが確かな温かさを帯びていた。
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◇三重契約の完成
大樹の根本に、三対の光が集まり、重なった。
風、葉、剣。
それぞれが精霊としての“真なる名”を呼び合う。
> ミュレナ:「風は、未来を運ぶもの」
フィリュア:「葉は、命を抱くもの」
ゼオル:「刃は、誓いを刻むもの」
三人の主が、同時に手を重ねた。
> イリス:「共に生きて」
アリシア:「共に笑って」
セイル:「共に、未来へ行こう」
その瞬間、空が開き、光が降り注いだ。
三体の精霊と三人の契約者は、完全な共鳴を果たした。
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◇後に語られる伝承
この瞬間は、後に「三重の契約・真なる絆の儀」として、
精霊たちの歴史に刻まれ、数百年後も語り継がれることとなる。
それはただの契約ではなく――
想いと想いが織り成す、“共に在る”という誓いの物語だった。