第6章:夢音、魅せる!封じられたチートスキル、今こそ解放!
「――もう、誰かに守られるだけじゃ終われない!」
夢音の叫びが、神殿跡に響き渡る。
クラリッサとちっパイ、そしてジイカを襲うのは、
異界から召喚された魔獣――高位魔導種だ。
本来、A級以上の討伐隊が必要な脅威。
にもかかわらず、仲間たちはピンチに追い込まれていた。
「くっ、動きが速すぎる……!」
クラリッサが剣を構えるが、視線が逸れる。
「夢音、下がってっ!」
だが――
夢音の目が静かに光る。
その体から、淡いピンクの魔力が立ち上がり……胸が、ぶるん、と揺れた。
\ドンッ!!/
魔獣の動きが、ピタリと止まる。
目を見開いたまま、石像のように固まる。
「……い、今の、何?」
ちっパイが呆けた顔で問う。
夢音「これ、多分……転移時に得たスキルのひとつ――」
> ◆スキル:魅了
自身の身体的魅力に反応した対象を一時的に拘束する。
夢音「私の、胸に釘付けになった瞬間――動けなくなるらしい……!」
ジイカ「えっ!? えっ!? じゃあボクも……(チラッ)――ぐふっ!?(崩れ落ち)」
ちっパイ「や、やばい、目を合わせたら……いや胸を見たら……ッ!」
夢音の前に立つ者、すべて石化級の硬直。
まさかの天然拘束兵器と化す。
◆
そこに、トドメの魔獣の爪――
夢音を狙って振り下ろされる。
だが!
「――クラリッサさん、お願い!」
夢音が一歩踏み出し、クラリッサに――キスをした。
「……え、な、何……を……!?」
その瞬間――
眩い光が、夢音を包む。
柔らかな髪が短くなり、身体が引き締まり、
美少女だった夢音が――凛々しい美少年へと性転換!
> ◆スキル:性別反転
好きな相手とキスを交わすことで、一時的に性別が反転する。
そしてさらに!
> ◆スキル:トレース
キスを交わした相手の能力の一部を一時的に模倣できる。
夢音の腕に、クラリッサの魔法剣がトレースされる!
男夢音「――私だって、守れるんだ!」
\ズバァァァァンッッ!!!/
魔獣、真っ二つ!
◆
戦闘後――
クラリッサは呆然と立ち尽くしていた。
「……今の、夢音……本当に、あの夢音?」
「うん。……男だけど、夢音だよ」
クラリッサ「……」
クラリッサ「……………………ばか」
そして、顔を真っ赤にしてうつむく。
夢音「……怒ってる?」
クラリッサ「……ちがう。ちがうけど……」
「…………もう一回、キスしたら、戻っちゃうんでしょ?」
夢音「う、うん……」
クラリッサ「……じゃあ、しない」
夢音「えっ!?」
クラリッサ「もうちょっと、そのままでいて……バカ」
To be continued…