第3章:逃亡中に、美と小と勘違いが襲ってきた。
――夢音、全力逃走中。
王都監察隊に追われ、パン屋の裏道、雑貨屋の屋根、路地裏のゴミ箱に身を隠しながら逃げ回っていた。
(胸が揺れてつらい! こんなときまで重いとか!)
そして――とある神殿の裏庭で、夢音は息を切らして膝をつく。
「……ふふ、見つけたわよ。“謎の爆乳転移者”さん♪」
その声に振り向くと、そこには――
登場! 小悪魔神官
・神官服がブカブカに見える、スレンダーな少女。
・胸元の布が無駄に余っている。
・どこかで聞こえた。「神の加護より、育乳サプリを……」
「わたくしは、神聖癒光教会の若き巫女、《ティーパイ・ルルリカ》。通称“ちっパイ”。」
「あなた……その胸、なに詰めてるの? 詰めてるでしょ? 詰めてるよねッ!!」
「詰めてませんッ!!」
(っていうか名前!? 通称それでいいの!?)
「くっ……っ、この下乳自慢めっ!! その存在が罪なのよぉおお!!」
「そんな言われよう初めてなんですけど!?」
逃げようとした夢音を、**神聖バインド(=もやしみたいな光の縄)**で拘束するちっパイ。
だがそのとき――上空から爆音。
「待てッ! 夢音ちゃんにちょっかい出すなっっ!!!」
天井をぶち破って降りてきたのは――
登場! 美少年《自意識過剰》
・光り輝く銀髪。自信に満ちた微笑。
・白のコートをはためかせながら着地。
・ただし――なぜか夢音のことを“前世で自分を救った天使”と勘違いしている。
「君は……僕の運命そのものだッ!! 君の瞳に、未来を見た!!」
「えっ、誰?」
「……知らないの?」
「初対面です!!!」
ジイカは勝手に名乗った。
「僕は“未来視”の異能を持つ者――『予言の申し子』ジイカ・フォルシス! この世界を導く光!」
「いやだから誰!?」
◆ ◆ ◆
こうして、夢音は
“胸で勝負”を仕掛けてくる小悪魔神官
“運命のヒロイン”に仕立てようとする勘違い美少年
というめんどくさいWライバルと出会ってしまったのだった。
そして、その一部始終を――
クラリッサが、屋根の上から見ていた。
「……ふーん」
彼女の目が、少しだけ鋭くなる。
恋も、陰謀も、始まりだした――!
To be continued…