第2章:初めての街と、魔法より強い“羞恥心”。
「…………これ、私の服、じゃないですよね?」
夢音は半泣きだった。
初めて訪れた異世界の街――ルオーネ。
石畳、露店、魔法の光が灯るランタン、ちょっとファンタジーな匂いの漂う賑やかな大通り。
そしてそのど真ん中で、彼女は……
露出度高めの、踊り子みたいな服を着せられていた。
「似合ってるわよ。可愛いわ、夢音ちゃん」
微笑むクラリッサは、完全に悪気ゼロ。
「だって、もとの服はボロボロだったし。それ、宿の人が貸してくれたの。感謝しなきゃ」
「で、でもこれ、スースーするし、胸が、胸がっ……!」
夢音は自分の谷間を押さえながら叫ぶ。
ホルターネックのトップスに、へそ出し、ミニスカ。
男子校生だった頃の自分には刺激が強すぎる仕様だった。
(いや、これ夢か!? 夢だよな!? でも胸の揺れがリアルすぎるっっ!)
◆ ◆ ◆
その後も、街の洗礼は容赦なかった。
パン屋のオジサンに「姉ちゃん、ええケツしてんなぁ!」と叫ばれ、
薬草店では「肌きれいねぇ~。処女?」とババアに耳打ちされ、
挙句の果てに、酔っ払いエルフに「ウチの嫁になれや!」と口説かれる始末。
「この世界、性別感覚どうなってんのぉおおおお!!?」
ついに宿へ帰る途中、夢音はつまずいて転んだ。
しかも、クラリッサの胸元に顔面から突っ込む形で。
むにゅっ。
「……え?」
「…………夢音ちゃん?」
あまりの衝撃に、しばらく二人とも動けなかった。
「い、いまのは事故です!! 完全に不可抗力でっ……!!」
「…………顔、赤いわよ」
「クラリッサさんもっ……っ!!」
沈黙。
見つめ合う二人。
その距離、10センチ。
(ダメだ、これ以上近づいたら……気持ちがバレる……!)
そのとき――
ドアが破られた。
「不明転移者の反応ありッ! 王都直轄監察隊だッ!」
「……ええぇぇえええええええええっっっっ!!!???」
裸足のまま、夢音の逃走劇が始まった。
To be continued…