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10.隣国には親戚がいるので

「あの令嬢はどうなったの?」


 サラがふと思い出したように言う。


「あぁ、イアン殿下の隣にいたっていう?」

「えぇ、あの後一切話を聞かないから」


 無事だといいのだけれど、そう続いたサラの言葉に、パトリシアが険しい顔で頷いている。


「……西の修道院に行ったと聞いたわ」

 私の言葉に二人の顔が曇る。

「西なのね」


 問題を起こして貴族社会からはじき出された元貴族の行く先はいくつかある。その中の1つが西の修道院。正確に言えば、西にある療養施設である。

 心を乱し、日常生活を送れなくなった人が療養をするための施設、と名目上はなっている。しかし、実際は厄介ごとを起こした元貴族を幽閉する施設である。あそこに入れば自力で出てくることは難しいだろう。

 

「家も爵位をはく奪されたみたい」

「ラクシフォリアに喧嘩を売って、国王陛下まで動かしたとはいえ、ここまで早かったわね」

「イアン殿下派を一斉につぶすチャンスだったから。ルーク殿下派がかなり動いていたわ」

 パトリシアの言葉に頷きながらサラが答えた。

「第二王子派は野心が強い方々だったものね」

 合点が行った様子のパトリシア。

 イアンは傀儡にするのにぴったりの精神性だったので、裏で政治を操りたいと考える貴族たちのいい隠れ蓑になっていたのだ。

「かなり大変だったわ」

 第二王子派の貴族たちの圧力や嫌味を思いだす。私は相当嫌そうな顔をしていたのだろう。サラとパトリシアが私の顔を見て、励ましてくれた。


 ********

 

「トリトニアから技術視察が来る話、どうきいた?」

 話題を変えるつもりでそう言うと、パトリシアが口を開く。

「市井では期待感が大きそうね。トリトニアの技術が入ってくると暮らしが豊かになるって印象が強いみたいだから」

「えぇ、このタイミングだからラクシフォリア家がかなり関わってるだろうって噂になってるわ」

「確かに兄さまとレイは忙しそうにしてるわね。うちの屋敷にも立ち寄ると言っているし……」

「シャーロットのおじい様も一緒に来るの?」

「えぇ、おじい様はうちに泊まるって言って聞かなくて……そしたら、滞在を一日伸ばして大使も来ることになったわ」

「大使って……たしか」

 サラの言葉に頷く。


「トリトニアの王子よ」

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