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4 かぐや②
4 かぐや ②
少女は、血を吐き捨てるような思いで、出撃命令を告げる。
感情を抑え、内心を一切感じさせない、凛とした声で。
君の出番よ。今回もお願いね。
『君』を、どうにかして使わずに済ませられないの。
少しでも気を抜くと、舌が勝手に動いて、そう叫んでしまいそうだった。
だから少女は、想いの全てを胸の内にしまい込む。頭の片隅にもう一人の自分を……物わかりがよくて、最善手を迷わず選ぶことができて、軟弱な感情に惑わされずに動くことができる自分を作り上げて、『世界を存続させる』という自身の存在意義にのみ注力して、そいつにすべてを喋らせ……ようとするが。
えっ! 今から学校。そんなの休みなさい。
私(の役目)に付き合って先週休んだばかり。この世界における最優先事項なんだから当たり前でしょ。
遅刻するからもう行く。ちょっ、ちょっと待ちなさいって……。