who is he?
ピーンポーンッ!
ミサの家に着き、莉音はインターホンを押す。
……。
反応がない。
ピーンポーンピーンポーンピンポンピンポンピンポンピーンポーーーーン!
連打してみる。
……。
……。
「やっぱり出ないか〜」
莉音は家のドアまでの階段を上り、ドアを開ける。
ガチャッ
「おっ開いてる。お邪魔しま〜す」
莉音が家に入ると、廊下には段ボールやゴミが溢れかえっていた。
「相変わらずぐっちゃぐちゃだね〜」
莉音は廊下を渡り、奥へ進む。
つきあたりに、『ミサの研究室』とかわいらしい文字で書かれたドアがあった。
コンコン……
ノックをしても反応がない。
いつものことだ。
部屋のドアを開ける。
ガチャッ
部屋に入る。
部屋には実験器具やパソコン、普通に生きていれば絶対に見ることはないであろう機械で溢れかえっている。
莉音は、部屋の奥にパソコン3台を同時に処理しているミサの姿を見つけた。
「ミサ〜!!!! やっぱりいるじゃん!!!!」
「えっ莉音!? また勝手に入ってきた!」
* * * * *
ミサは天才女子高生研究者である。
幼少の頃から学会を震撼させるような研究成果を次々と発表してきた。最近は機械学習関係の研究に凝っている。
研究のことしか頭になく、世の中の常識を知らなすぎるため、親に言われて莉音と同じ高校に編入してきた。
ただいま一人暮らし中である。
しかし、研究ばかりしているせいで、学校をサボりまくっている。
体育の授業が嫌いなので、莉音と一緒にサボりまくっている。IQには天と地の差がある2人だが、サボり者同士仲良くなっていた。
「え!? 体が乗っ取られた!?」
莉音が現状を話すと、ミサが驚く。
「というか話を聞きに来る人間違えてない? 私も学校サボり勢なのに」
「だってミサしか友達いないもん」
莉音が得意げに言う。
ミサは笑みを浮かべながらも呆れた様子で。
「まあ今週は1回だけ学校に行ったけど、確かに莉音おかしかったなあ〜」
学校での莉音を振り返る。
「おかしかった?」
「そう。男子トイレでおしっこしようと」
莉音の手がミサの口をふさぐ。
「それは聞いた。やめて」
ミサは笑みを浮かべ、続ける。
「いつも仮病でサボってばっかの体育の授業で走り回ってたし〜」
「え〜」
「なんかやたらと男子と仲良く喋っちゃったり〜」
「ありえね〜」
「周りキョロキョロ確認して自分の胸触ったりとか〜」
莉音が固まる。
「はい?」
「だから胸を」
……。
……。
「男じゃん!!!! 間違って男子トイレ入ったり体育で走り回ったり男子と仲良く喋っちゃうとか!!! 私の胸まで……よくも!」
莉音の中で、怒りという名の炎がメラメラと燃え上がる。
「確かに男が莉音の体を使って学校に行ってると考えると、そのへんの行動にも説明がつくね。学校サボりすぎて頭おかしくなっちゃったのかと思ってたけど」
ミサが「うーん」と頭をひねる。
莉音がわめく。
「女が私の体を使って学校行ってくれるのなら、ありがたく永久休日ライフを享受してたがなあ! 男は許せねえよなあ!? 大っ嫌いな学校に行ってでも、私の体を取り戻さねえといけねえなあ!!!!?」
「でもどーやって取り戻すの」
ミサが冷静に突っ込む。
「そこはミサさんの研究でなんとか」
「それは無理」
* * * * *
帰宅後、ベッドの上で寝ころびながら、莉音は考える。
「やっぱりあの日、“バッ”って脳が揺れたのは寝不足だからおかしくなったんじゃなくて、超常的な現象が起こる前触れのようなものだったのかな……。もう一度あれを起こせられれば! あの時、私は休日だけを謳歌したいと切実に願った。今度は学校に行きたいと切実に願えば体を取り戻せるはず! 学校行きたい! 学校行きたい! 学校行きたい! 学校行きたい!」
……。
……。
「ま、今日は土曜でどちみち明日は休みだし寝よ……」
* * * * *
翌日、日曜日。
「その1、今日寝ると次の土曜に飛ばされるので寝ない。そして月曜の朝まで起きて学校に行く。その2、今日一日『学校に行きたい』と祈り続ける。その3、私の授業ノートに私の体を使って学校に行ってる何者か……以下こいつをXと呼ぶ……当てに「あなたは誰?」「胸は揉むな」などのメッセージを書いておく。その4、ミサに学校に行ってもらってXを問いただしてもらう。これで私の勝ちです」
「莉音、やっぱり病院行こっか?」
「お母さ〜ん」




