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「誰かが私の体を使って、学校に行っている」
……。
……。
「やったぁーーー!!!!!! 願いが叶ったああああ!!!!」
莉音は超絶頭の悪い女の子なので、普通焦るところをめちゃめちゃ喜んだ。
「ということは今日、明日、ニートみたいに一日中ゲームしまくってても、月曜を意識することなく金曜の夜の気持ちで日曜の夜を過ごせるってこと!? 休日の永久機関完成だぁあああ!!!」
莉音は頭の悪い女の子です。
* * * * *
「今日は日曜日だけど、明日は土曜日!」
莉音はウキウキでゲームをしながら徹夜していた。
「よく考えたらこのままずっと起きてたらどうなるんだろうね」
莉音は珍しく面白いところに気が付いた。
「休みの日しか私の意識がないと言っても、いつまで“休みの日”なんだろうね。この日曜の27時は土曜の午前3時なのか、月曜の午前3時なのか、どっちなんだろー」
莉音はふと疑問に思い、スマホで曜日を確認する。
するとそこには……『月曜』の文字が。
「やばい! このまま起きてると学校行かなきゃいけなくなっちゃうかも! 早く寝よ!」
“砂山の砂を一粒ずつ取っていくと、それはいつまで砂山か”的な問いの境地に辿り着きそうになったが、学校の行きたくなさには勝てず寝てしまった。
* * * * *
莉音が翌朝起きると、土曜日だった。
月曜〜金曜の日付が飛ばされていた。
「やっぱりなんかの間違いなんかじゃない。願いが叶ったんだ……」
……。
……。
莉音はカバンの中を探り、ノートを見る。
やはりそこには、この1週間の身に覚えのない授業ノートが莉音の字で取られてあった。
流石に頭の悪い女の子の莉音でもここで疑問が生じる。
「私の体を使って、学校に行ってるのは誰なんだろう」
* * * * *
莉音は母親に色々聞いたが、頭がおかしくなっただとか、からかってるだとか言われてしまい、まともに話を聞いてもらえなかった。
「1か月ぶりに外へ出ますか〜!」
莉音は重い腰を上げた。
* * * * *
1か月ぶりの太陽の光に、莉音は眩しそうにしている。
「うぅ……、目指すはミサの家よ……」
ミサとは莉音の唯一の友達だ。
莉音はズル休み中、同級生から「学校に来い」などとごちゃごちゃ言われるのが面倒だったので、自分のLINEのアカウントを消去していた。なので、自分の体を使って学校に行っている何者かの手がかりを掴むため、同級生のミサに話を聞こうと思った。
ミサの家に向かう途中、
「お! 住谷じゃん!」
面倒なことに、莉音はクラスの男子に見つかってしまった。
クラスの男子は言う。
「この前、男子トイレの小便器で何してたの?www」
……。
……。
「は?」
「お前が男子トイレの小便器でおしっこしようとしてた時に、俺がトイレに入ったらびっくりして逃げて行ったじゃん。なかったことにするつもり?ww」
「いや、何言ってるのか分からないです」
「あ、ごまかす感じね。まあいいや。もう学校中に広めといたから」
……。
……。
「もう学校行きたくないわ。せっかく行こうと思ってたのに」