学校に行きたくない女
住谷莉音は女子高生だ。
しかし彼女は2週間ほど前から家に引き篭りっきりで、その間一度も学校へ行っていない。
病気というわけでもなく、ただただめんどくさいという理由で、2週間登校拒否をしていた。
「莉音ー! そろそろ学校行きなさいよ! 出席日数が足りなくなって、卒業できなくなっちゃうよ?」
莉音の母は寛容にも2週間はズル休みを許したが、風邪を引いてるという言い訳がそろそろ苦しくなってきたことや、出席日数などの問題もあり、我が子を学校へ送り出そうとしていた。
「む〜。昨日徹夜でゲームしていたせいで2時間しか寝てないの〜。起きられない〜」
2週間怠惰な生活を送っていたことで、完全に生活リズムが崩れ、学校へ行くタイミングを見失っていた。
* * * * *
莉音はいつも通り、深夜3時になってもゲームをしていた。
「学校って面白くないんだよね〜。私って休みのためだけに生きてるわ〜。平日は誰かに学校へ行ってもらって、休日だけを謳歌したい」
などと引きこもりの鑑のようなことを呟いていると、
バッ
一瞬脳が揺れる感覚に襲われた。
「寝不足すぎておかしくなっちゃったかな〜〜」
* * * * *
翌朝起床して、莉音は異変に気付いた。
「あれ? 今日土曜日? 昨日は休みパラダイスに入ってからちょうど2週間。つまり今日は金曜日のはずだけど。休みすぎて曜日感覚なくなっちゃったわ……。んー? 本当に末期ね」
あくびをしながら1階へ降りると、食器洗いをしていた母親が言う。
「昨日せっかく学校に行ったのにまた休みに入ったね」
母の言葉に莉音は怪訝な顔をする。
「昨日学校へ行った? 私が?」
「行ったじゃない。何寝ぼけたこと言ってるの。そーやって誤魔化してまた休み始める気ね。もうサボりはダメよ!」
「私学校行ってないよ!? 昨日は深夜3時まで一日中ゲームしてたんだから!」
「はいはい……」
莉音の母は呆れている。
「どうなってるの!?」
しばらく考えたが、莉音は頭の悪い女の子なので、「あ、お母さんの策略か〜。そうやってこっちがボケたことにして学校に行かせようとしてるのね」という考えに落ち着いて、また休み中ゲームをしまくっていた。
* * * * *
休みが終わる。
珍しく早起きしてしまった莉音は、布団にくるまって登校拒否の構えをとっていた。
「今日月曜か〜……。嫌だなあ。また学校行きなくない行きたくないでお母さんと喧嘩しなきゃだ〜〜。ま、お母さんが起こしに来るまで布団で寝たふりしときますか」
……。
……。
一向に起こしに来る気配がないので、莉音は飛び起きて1階のリビングに突撃した。
「お母さん起こせよー!」
台所に立つ母が莉音に目をやる。
「あ、莉音。起きたのね。おはよ」
「おはよって……。あ、そうゆうこと! ついに私は母親公認の不登校娘になったのね! もう学校行きなさい!って強制されることもなくなったのね! わーーーーーい!」
莉音の母はあっけらかんとしている。
「何言ってるの? 今日土曜日でしょ?」
母の言葉に莉音の頭の中は「?」マークで埋め尽くされる。
「え? 今日土曜日って? 今日は月曜日でしょ!?」
「はぁ〜何言ってるの? 平日を土曜日って言い張って休みたがるのはあなたらしいけど、休みの日を月曜日って言い張るなんて。久しぶりに学校に行き始めてから1週間経ったから今度は学校行きたい行きたい病になっちゃったの?」
「学校行き始めてから1週間!? 私が? このニートの私が学校に行くはずないでしょ!?」
「え? ほんとにおかしくなっちゃったの? 大好きなスマホで曜日を見ればいいじゃない。お母さん忙しいからからかうのはもうよして」
ポケットから出したスマホには『土曜』の文字が書かれていた。
* * * * *
莉音は急いで部屋へ戻り、自分のカバンの中を探る。
ノートを見ると莉音の字で、この1週間の授業ノートが取られてあった。
「誰かが私の体を使って、学校に行っている」




