史郎と亜紀①
IFルートのため、亜紀との関係の掘り下げから入ります。
分岐点になる箇所については何か目印をつけたいと思います。
となりにすんでいる亜紀ちゃんはとってもおくびょうだ。
はじめてあったときもおかあさんのうしろにかくれてて、ぼくのことをみておびえてた。
はなしかけてもちゃんとへんじもしてくれないし、だからぼくはあまり亜紀ちゃんのことがすきじゃなかった。
「史郎……亜紀ちゃんはお隣さんで女の子なんだから男のお前が守ってあげるんだぞ」
だけどおとうさんはそういうし、おかあさんもうなずいているからいうとおりにしようとおもった。
おなじようちえんで亜紀ちゃんはよくおとこのこにいじわるされてたから、そのたびにあいだにはいってたすけたんだ。
「へんっ!! おんなのみかたなんかするやつはなかまにいれてやんねぇっ!! いこうぜみんなっ!!」
「あ……」
そのせいでぼくはおとこのこからなかまはずれにされちゃって、おんなのこもなかまにいれてくれないからひとりであそぶしかなかった。
そんなぼくにはなしかけてくれるのは、たすけてあげた亜紀ちゃんだけだった。
「あ……ありがとう史郎くん……」
「いいよ、これぐらいおとこなんだからとうぜんだよ……」
ほんとうはおまえのせいでひどいめにあってるっていってやりたかった。
けどそんなかっこうわるいことなんかできなくて、ぼくはいつだってそういってやったんだ。
「で、でもわたしのせいで史郎くんひとりで……」
「こんなのへいきだよっ!! だってぼくおとこのこだもんっ!!」
「……すごいね史郎くん……わ、わたしなんかひとりだとさみしくて……うぅ……」
うつむいてないてしまう亜紀ちゃん。
こういうときどうすればいいんだろう。
まもってあげなきゃいけないからどうにかしないといけないんだろうけど……ぼくにはむずかしくてわからないよ。
「な、なかないでよ亜紀ちゃん……」
「う、うん……ぐす……し、史郎くん……こ、これからもわたしといっしょにいてくれる?」
「うぅ……わ、わかったよぉ……わかったからなきやんでよぉ……」
「ほ、ほんとうに……え、えへへ……あ、ありがとう史郎くんっ!!」
なんとかなきやんでくれた亜紀ちゃんは、めをこすってなみだをふきとるとぼくにむかってはじめてえがおをみせてくれた。
いつもないてたりおびえてたりしてる亜紀ちゃんしかしらなかったけど、そのえがおの亜紀ちゃんは……すごくすてきだったんだ。
ずっとこのかおをしてればいいのにっておもった……ずっとみていたいなっておもったんだ。
「し、史郎くん……ど、どうしたの?」
「な、なんでもないよっ!!」
なのにぼくは亜紀ちゃんにはなしかけられると、とっさにかおをそらしちゃった。
このままみてたらぼくのかんがえてることがわかっちゃうんじゃないかっておもって……そしたらとてもはずかしくなっちゃったんだ。
「そ、そうなの……けど……」
「だ、だいじょうぶだからっ!! ほら、いっしょにあそぼうっ!!」
「う、うんっ!! なにしてあそぼうかっ!?」
「亜紀ちゃんのすきなことでいいからっ!!」
「す、すきなこと……え、えっとぉ……おままごとか……にんぎょうさんあそび……あっ!! そうだっ!!」
きもちがばれないようにとっさにあそぼうといってみると、亜紀ちゃんはすこしかんがえてからうれしそうにりょうてをたたいた。
「けっこんごっこっ!! わたしおよめさんやるのっ!!」
「い、いいけど……けっこんってなんだっけ?」
ことばじたいはきいたことがあるけど、どういうことをするのかはよくしらない。
「あのねっ!! すきなおとこのことおんなのこがずぅっといっしょにいよぉってやくそくするのっ!!」
「そ、そうなんだ……でもそれならぼくたちもうけっこんしてるんじゃないのかな?」
「あっ!? そ、そっかっ!! わたしたちずっといっしょにいるってやくそくしたんだもんねっ!!」
そういって亜紀ちゃんはえがおのままとびはねだした。
そのしぐさもえがおもかわいくて、やっぱりぼくは亜紀ちゃんからめをはなせなくなった。
「えへへ、史郎くんもわらってる……うれしいなぁ」
「そ、そうかなぁ……」
亜紀ちゃんにいわれて、ぼくはじぶんがわらってることにはじめてきづいた。
やっぱりなんかはずかしくて、かっこうつけたかったからとめたかったけどどうしてもうまくいかなかった。
「そうだよぉ……えへへ……うんっ!! 私……史郎くんとけっこんするぅ~」
「そ、そうだね……ぼ、ぼくも亜紀ちゃんとけっこんするよ」
「わーいわーいっ!! 史郎くんとけっこんっ!! けっこんなのぉ~」
そのひから亜紀ちゃんはくちぐせのようにぼくとけっこんするっていうようになった。
とってもはずかしかったけど、だけどそのたびにほほえんじゃうぼくにはどうしてもとめれなかったんだ。
(だってしかたないよね……こんなにも……)
「私……史郎くんとけっこんするぅ~」
ぼくは亜紀ちゃんが……とてもいとおしい。
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