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陽花ちゃんと美瑠さん

本編終了後の話です、時系列が紛らわしくてすみません。

前回の話と順番を逆にすべきでした。

「おじゃましまぁすっ!!」

「失礼するよ」

「どーぞどーぞぉ、遠慮なく上がって上がってぇ」

「いらっしゃい二人とも」


 我が家へとやってきた直美の友人二人を出迎えると、後からついてきたゆきなも真似をして頭を下げた。

 

「いらっしゃいませぇ、どーぞごゆっくりぃ」

「ああ、ゆきなちゃん久しぶりぃっ!! 陽花のこと覚えてる?」

「えっとねぇ、ええとねぇ……うんおぼえてるよたぶん……」

「その言い方は忘れちゃったんだねぇ……うぅ、陽花悲しいよぉ……しくしく……」

「わ、わわっ!? ご、ごめんねようかおねえちゃんっ!! おもいだすからなかないでぇっ!!」


 泣き真似をし始めた陽花ちゃんを見て、慌てて頭をひねらせるゆきな。


「こんな子供を困らせるな……久しぶりだねゆきな、元気にしてたかい?」

「う、うんげんきだよぉ……え、ええと……」

「覚えてなくても無理はない、最後に会ったのはまだ君が幼稚園に入る前だったからね……私は美瑠だ」

「み、みるおねえちゃん?」

「そうだとも、以後よろしく頼む」


 美瑠さんの方は、さわやかな笑みを浮かべてゆきなの頭を撫でてあげている。


(しかし初めて会った時から何度も思うが、本当にこの三人は同い年なのか……全く印象が違いすぎる……)


 背筋をピンと伸ばし、大人の俺ですら気後れしそうなほど堂々と振る舞う格好良い美瑠さん。

 どこか幼さを感じさせる無邪気にはしゃぐ可愛らしい陽花ちゃん。

 そして俺の妻になりながらも、この二人と居る時は相変わらず悪戯めいた様子になる直美。


(これだけ性格が違うのに仲が良いってのも不思議だなぁ……いや俺と亮みたいなもんか……)


「ほらほら、玄関で立ち話しても仕方ないでしょ……入った入った」

「よぉし、ゆきなちゃん居間まで競争しよぉっ!!」

「え、ええっ!? だ、だめだよようかおねえちゃん……ろうかははしっちゃだめなんだよぉっ!!」

「ゆきなはお利口さんだな、どこぞの馬鹿陽花と直美に見習わせたいものだな」

「わ、私の娘だからねっ!! 私の教育のたまものなのぉっ!!」


 わいわい騒ぎながら居間へと移動する女性四人。

 俺も玄関を施錠してから居間へと戻ると、皆が守幸の寝ているベビーベッドへと近づいていくところだった。


(せっかく久しぶりに友人と過ごすんだ……邪魔しないようにしよう……)


 直美達が俺を気にしなくてもいいように、敢えて近づかず食卓の椅子に座って彼女たちを見守ることにした。


「わぁ、この子が守幸ちゃん……男の子なんでしょ?」

「まあねぇ……ゆきなと同じぐらい可愛いでしょぉ?」

「確かに可愛いが……顔立ちから判断してこの子は将来素敵な男子に育ちそうだ」

「しぃ~だよ、おねえちゃんたち……もりゆきおきたらないちゃうからね……」


 ゆきなに注意されながらも、陽花ちゃんと美瑠さんはほっぺをプニプニしたり手のひらに指を置いて握らせたりして守幸の可愛さを堪能している。


(守幸よ、その歳で美女と美少女に囲まれてちやほやされるとは……そんなに早くモテ期が来たら後が大変だぞぉ……)


「ふぇぇ……」


 そんなどうでもいい心配をしていると、不意に守幸の泣き声が聞こえてきた。

 

「あっ!? ご、ごめん起こしちゃったっ!?」

「いや、これは……オムツ交換の時間のようだ」

「あらら……じゃあ俺がやるから直美は……」

「大丈夫、ちゃちゃっと交換しちゃうから……二人ともちょっと待っててねぇ」

「ママぁ、ゆきなもおてつだいするよっ!!」


 俺が立ち上がる前にササっと守幸を抱えて移動してしまう直美、その後をゆきなも付いて行く。

 こうなると俺が追いかけたところで邪魔にしかならないだろう。


(俺がまだオムツ交換に全然慣れてないからなぁ……下手したらゆきなのほうが上手いんじゃ……駄目なパパだぁ……)


 落ち込んでいる俺の視界の中で、美瑠さんも陽花ちゃんも何やら感慨深そうに直美の立ち去った方向を見つめていた。


「あぁ……赤ちゃんいいなぁ……」

「悪くはないが実際に面倒を見るのは大変なのだぞ」

「美瑠さぁどの口でそんな……いや、やっぱ何でもない……」


 何事か言おうとした陽花ちゃんだが、何やら疲れたように首を振ると俺のほうへとやってきた。


「おじさんさぁん、最近お仕事どーですかぁ?」

「まあ、それなりに上手く行ってるよ」

「座らせてもらうよ……それは何よりだ、今後もちゃんと直美だけでなく子供も養っていけるよう頑張ってほしい」


 陽花ちゃんに続いて美瑠さんもこっちへ来ると、二人とも椅子に座りこちらへと向き直ってくる。

 恐らく直美も子供もいなくなって手持ち無沙汰なのと、俺がしっかり旦那としてやっているか確認しに来ているのだろう。

 年下なのに生意気、などとは全く思わない……心の底から直美のことを心配して言ってくれているのがわかるからだ。


(本当に良い友達だよ直美……この子たちに失望されないよう頑張らないとなぁ)


「もちろんだよ、最近部長にも出世したし……出来るだけ家事も手伝ってるつもりだから……」

「そっかぁ……凄いな部長さん……陽花のお兄ちゃんなんか未だに下っ端なんだよぉ……しかも結構危ない仕事してるしぃ……」

「そ、それは何と言うか……転職するなら多少力になれると思うけど……」

「ありがとぉ……けど大丈夫、お兄ちゃん何故かモテるからヒモになるという選択肢があるのですっ!!」


 満面の笑みで自慢げに宣言する陽花ちゃん。


(ほ、本当にそれでいいのか陽花ちゃん?)


「全く、それでもブラコンか……大事な兄のことは独占すべきではないのか?」

「陽花のことが一番だって言ってるからそれでいいのっ!! 美瑠みたいにほぼ監禁状態にしてるほうがどうかしてるのぉ」

「監禁などしていないさ、私が兄さんの意思を尊重しないわけがないじゃないか……あれは兄さんが自発的にしてくれているのだよ」

「そう言う状況に追いやっただけじゃないのぉ……美瑠はさぁ……まあ幸せそうだったからいいけどさぁ……」


 何だかシャレにならない会話をしている二人。


(み、美瑠さんって意外とヤバい人なのか? そう言えば前に直美が変態だとか言ってたもんなぁ)


「もちろん幸せだとも……話を戻すが、おじ様もまた何かあれば相談してほしい」

「そうだよぉっ!! 陽花たちも大学生活に慣れて落ち着いてきたし、これからはまた時間取れそうだからねっ!! 幾らでも遊び……手伝いに来れるからねっ!!」

「あ、ありがとう……そしてごめんね、結局一緒の学校には行かせられなくて……」

「仕方がないさ、あのような理由で子供の面倒を見ることになった以上はこうする他なかったのはよくわかる」

「まぁ直美ちゃんが学校卒業したら即座に妊娠しちゃったのはびっくりしたけどねぇ……」


 陽花ちゃんが呆れたような目で俺を見つめてくる。


(ち、違うんだ……たまたま時間が出来て……卒業もしたしゴム代がもったいないって直美が……まさか一発で当たるとは思わなかったんだよぉ……)


「ふふ、愛する男女ならば自然とそうなるものだ……いずれお子様の陽花にもわかる日が来るとも……」

「あのねぇ美瑠……いやもういいや……陽花このことには突っ込まないって決めてるし……」


 逆に納得したように俺に頷きかける美瑠さん……よくわからないが確かに深入りしないほうが良さそうだ。


「あ、あはは……まあともかく本当に困ったら相談させてもらうよ」

「その時は喜んで協力させてもらうよ、初めて会った時のようにね」

「あー、あったねぇそんなこと……」


 美瑠さんの言葉に俺は過去を懐かしむように、彼女たちと初めて顔を合わせた時のことを思い返すのだった。


(あれはたしかまだ引っ越してなくて……ちょうど亜紀が姿を現す少し前の……)


 *****


「ふぅ……」

「いやぁ、助かりましたよぉ……雨宮課長が来てくれなければもっと長引いてましたよ」

「そうかい、まあ助けになれたなら良かったよ」


 隣で頭を下げる営業の人に首を振って見せる。

 今日は取引先への説明でちょっと専門的な話をする必要があったので同行していたが、上手く話がまとまったようで何よりだ。


(何とか役に立てたなぁ……まあこういうこともよくやらされてたからなぁ……)


 前にブラック企業で働いていた時は、何かトラブルがあると相手の会社に赴いて釈明と謝罪を良くしていた。

 だから仕事内容をかみ砕いて説明することはそれなりに慣れている。

 他のこともそうだが、本当にあの会社で働いて磨いたスキル自体はとても有用なものだったようだ。


(まあでもあの頃には二度と戻りたくないけどなぁ……はぁ……)


「お陰で予定よりだいぶ早く終わりましたし……どうですか、少し近くで休憩していきませんか?」

「うーん、そうだなぁ……」


 頭の中で今後のスケジュールを考えるが、元々今日は忙しくない日だからこそこうして取引先まで付き合ったのだ。

 だから早く会社に戻っても手持ち無沙汰になる可能性はあるが……それならそれでやれることを探していきたい。


「いやせっかくのお誘いで悪いけど俺は先に帰るよ」

「そ、そうですか……ではまた次の機会に……じゃあ俺は別の……」


 俺は申し訳なさそうにする営業の人を置いて、会社へ戻るため駅へと向かった。

 尤も急ぐほどのことではない、せっかくなので見慣れない周囲の光景を眺めながらゆっくりと歩いていく。


(うーん、心地のいい天気だ……少しぐらい休憩に付き合っても良かったかなぁ……いや気を引き締めていこう)


 せっかく新しい会社で良い調子でやってこれているのだ。

 ここで気を抜いて下手なミスでもしたら目も当てられない。


(もっともっと頑張って出世して、直美が自慢できる彼氏になれるよう頑張らないとっ!!)


 直美のことを想えば俺はもう幾らでも頑張れる。

 それにブラック企業に居たころとは違い、仕事へのやりがいも意欲も溢れている。

 だから俺はもっと努力していこうと自分に言い聞かせながら少しだけ足を速めた。


「あ、雨宮さんっ!?」

「んっ?」


 不意に誰かに話しかけられて、振り返ると何やら薄汚れた格好の男がこちらを親しみを込めた眼差しで見つめてきていた。


(声は聞き覚えがあるけど……誰だ?)


「ひ、久しぶりですっ!!」

「……申し訳ないけど、どちら様ですか?」

「い、嫌だな冗談止めてくださいよぉ……一緒に仕事してた仲じゃないですかぁ」

「…………ああ、君かぁ」



 言われてじっと相手の顔を見て、ようやくこいつが前のブラック企業にいた縁故採用されていた奴だということに気付いた。

 当時は高価なスーツやら装飾品やらを身に着けて小ぎれいにしていたから、全く分からなかった。


(うわぁ、思いっきり落ちぶれてるなぁ……そしてこんなところで何してんだ?)


 確か前に元部長がコンビニかなんかでバイトしていると言っていた気がする。

 それがどうして平日の昼間っから、こんなところでうろついているのだろうか。


「ほ、本当に忘れてたんすかっ!? ひ、酷いじゃないですかっ!?」

「酷いって……いやまあいいけど、それより何か用かい?」

「な、何か用って……お、俺のこの状況を見て何とも思わないんすかっ!?」

「この状況って……何してるの?」

「し、就職活動してるんすよっ!! 雨宮さんのところにも書類送ったでしょっ!? どうして採用してくれなかったんすかっ!?」


 そう言って少しだけ恨みがましい視線を送ってくる。


(何で俺が採用しなきゃいけないんだよ……あんな履歴書で受からせれるわけないだろうが……)


 あのバイトは辞めたのか、或いは食っていけないほど給料が安いから転職しようとしているのだろう……尤も詳しく知りたいとも関わりたいとも思わない。


「あんな履歴書で受かるわけないだろ……コネとか利用しようと考えないでちゃんと自分の実力をしっかり記して提出しなさい」

「あ、雨宮さんだってあの会社の社長に気に入られて入社したんじゃないっすかっ!? 自分ばっかりズルいっすよっ!?」

「あのねぇ、社長が気に入ったのは俺の能力だからね……実際に幾つも仕事をこなしているから受け入れられているだけで、仮に君が入っても実力がなければすぐに……」

「い、一度入っちゃえばそうそう首になんかできないっすよっ!! だ、だからほら雨宮さんが口きいて俺のことも入れてくださいよっ!!」


 見栄も外聞もないとばかりにすり寄ってくる元同僚の姿に俺は呆れ果ててしまう。


(この期に及んで努力も何もしようとしないとか……どうしようもねぇなこいつ……)


「悪いけどそんなことしてやるつもりはないよ……じゃあ俺はこれで……」

「ま、待ってくださいよっ!! も、もしも俺を入れてくれたら可愛い子紹介しますからっ!! 」

「あのねぇ……別に俺はそう言うの興味ないから……」

「ち、違うでしょっ!? 雨宮さん女性が苦手でモテないからあきらめてるだけですよねっ!! け、けど見てくださいよっ!!」


 俺の前に回り込んで何か操作した携帯電話の画面を見せつけてくる。

 そこには俺と同い年ぐらいの、そこそこ可愛い女性達の写真が映し出されていた。

 よく見れば中には前の会社の女性社員も含まれている。


「ど、どうですかっ!? 俺を採用してくれるならこの人たち紹介しますよっ!! 雨宮さんこんな可愛い女性と付き合えるチャンス他にないですよっ!?」

「あのねぇ……そもそも俺、彼女いるからね……」

「またまたぁ……雨宮さんが俺の仲介なしで女性と会話できるわけないじゃないですかっ!?」


 彼は全く俺の言葉を信じていないようだ。

 尤も実際に前の会社に居た時の俺は、女性恐怖症全開だったから無理もない話だ。


「いや本当だからね……まあ信じなくてもいいけど……」

「そんな見栄はらないでくださいよっ!! それとも変な女で妥協したんすかっ!? 駄目ですよ、どうせ付き合うなら可愛い子と付き合いましょうよっ!!」


(可愛いも何も俺にとっては直美が世界で一番魅力的だからなぁ……)


 尤も私情を抜きにしても写真の女性より直美のほうが可愛いと思う……少なくとも若いのは確実だ。


「そう言うの良いから……じゃあもう行くからね」

「だ、だから待ってくださいよっ!! じゃあ実際に呼びますよっ!! 目の前で見れば絶対に雨宮さんだって見惚れて……」

「おっじさぁ~んっ!!」

「っ!?」


 不意に第三の声が……俺にとって世界で一番魅力的な声が聞こえてきた。

 声の主は俺が振り返る前に勢い良く抱き着いてくる。


「えへへぇ~、おじさぁんぐぅぜんだねぇ~」

「直美……どうしたんだいこんなところで?」


 学生服姿の直美を見て、俺も笑顔になりながらもこの場にいることを不思議に思う。


(今日は平日……まさかサボって遊び歩いて……けど直美がそんなことするとは思えないけどなぁ)


 見た目こそギャルっぽいが、それこそ学校には友達もいるし何より最近は勉強への意欲も増しているようだから不良めいた行動をするとは思えない。


「がっこぉ行事でちょっとお外で社会見学みたいなぁ……おじさんこそ何してるのぉ?」

「まあ営業に行った帰りってところだよ」

「へぇ~、そっちの人は?」

「え、あ……えっとお、俺は……」


 学生服姿の直美に見つめられた元同僚は、露骨に困惑した様子を見せた。


「前の会社の同僚……前に電話で声聞いたでしょ?」

「……ああ、あの……んで私の彼氏に何か用ですかぁ?」

「か、彼っ!? え、な、何で君みたいな子が雨宮さんなんかと……?」

「すっごい素敵な人だからに決まってるでしょぉ~、少なくともあんたなんかよりずぅっと素敵なんだからぁっ!! ねぇそうでしょ二人ともぉっ!!」

「えっ!?」


 直美の言葉に頭を上げようとしたところで、さらに二重で衝撃が走る。


「うんうん、こんな素敵なおじさんさんそうそういないよねぇ~」

「全くだ、これほど素敵なおじ様と出会えて私は幸せ者だ」

「な……あ……っ」


 新しく現れた見覚えのない制服姿の女の子二人……直美に勝るとも劣らぬ美少女たちが俺の両腕を取り肩に体重を預けてくる。

 そんな様子を見せつけられた元同僚はもう声を出すことも敵わないようだった。


「せっかく会えたしあっちでイチャついちゃおうかぁ……じゃあついてこないでねぇ~、ばいばぁい~」

「ほらぁ、いこぉよおじさんさぁん」

「では失礼するよ……では行こうではないかおじ様」

「あ、ああ……じゃ、じゃあね」

「う、嘘だぁ……な、何で雨宮さんなんかがこんな……くぅぅ……っ!!」


 呆然としていた元同僚だが、直美たちに露骨に邪険にされると悔しそうに走り去っていった。


「行っちゃったぁ……全くぅ、あいつ本当に嫌な奴だねぇ」

「まあ、甘やかされてきたからだろうけどね……そ、それより君たちは……?」

「陽花は陽花だよぉっ!! 前にゲームでお話ししたよねおじさんさんっ!!」

「こうして顔を合わせるのは初めてだなおじ様、私が美瑠だ」


 そう言って本当に素敵な笑顔を浮かべる二人、これが俺と直美のお友達との初めての出会いだった。


 *****


「あの時は助かったよ、あいつどこまでもついて来そうだったからねぇ」

「どーいたしましてぇ……まあ直美ちゃんだけでも追い払えただろうけどねぇ~」

「なぁに大したことはしていないとも」


 あの頃と同じ様に笑う二人、だけど見た目はさらに美しくなっている。

 俺も直美が居なければ見惚れてしまっているかもしれない。


(そんな子達に邪険にされたあいつが居たたまれなくなる気持ちもわかるなぁ……まあどうでもいいけど……)


 あれから既に数年が過ぎた。

 直美と進路が分かれてしまってなお、かわらぬ友情で俺が居ない所で直美を支えてくれているであろうこの子達には本当に感謝している。


(直美はいい友達をもったよ……俺も羨ましいよ……)


「はぁい、お待たせぇ二人ともぉ……何話してたのぉ?」

「ちょっと初めて会った時のことを思い出してたんだよ……」

「ええとぉ、それってゲームやってた頃のことぉ?」

「それは初めて話した時じゃないかなぁ……?」

「初めて話したのは電話越しだな……ふふ、本当に懐かしいな」


 守幸とゆきなを抱いて戻ってきた直美を、二人は温かく見守ってくれている。


(本当に、この子たちに失望されないよう俺はもっともっと頑張らないとなぁ)


「へぇ……じゃあママとはじめてあったのはいつだったのぉ?」

「直美と初めて出会ったときか、あれは確か中学生の頃だな……」

「懐かしいなぁ、あの時の美瑠は尖ったナイフみたいでぇ……」

「陽花だって人のこと言えないぐらい腹黒かったじゃん……」


 ゆきなの質問に、学生時代を懐かしむように昔話に興じる三人。

 そんな穏やかで幸せな光景を、俺は子供達と一緒に静かに見守るのだった。


「……そーいえばおじさんさんとあの変態ゴリラはどういう知り合いだったの?」

「うむ、あのドMで変態で喧しいゴリラとはどのような経緯で知り合ったのだ?」

「……その節は誠に申し訳ございませんでした」

「あはは、あの時は大変だったもんねぇ……けどあのゴリラも今じゃ彼女持ちなんだよぉ」

「う……うっそおおおぉおおおおおっ!?」

「あ、あれを許容できる女性が居るのかっ!? お、お相手様はどこの菩薩様なのだっ!?」

 【読者の皆様にお願いがあります】


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― 新着の感想 ―
[一言] 直美の友達が陽花と美瑠だったからこそ史郎と付き合うことに反対しなかったという面も強いわけですが、ゆきなに対してはこの二人は完全に悪影響ですねw 高校の時の亜紀の周囲が史郎を否定してばかりだ…
[一言] その昔話は、ほほえましく見守っていいものでもなさそうな。やっぱり、その二人も相当に闇が深そう。 まったく、ゴリラの評判は、何処に行ってもさんざん。彼女がオンラインゲームとかやって、そこでの…
[良い点] その菩薩、肉食系。 [一言] なるほど、ゆきなのブラコンを後押ししていたのはこの二人だったのですか~。 それにしても二人とも業が深い……。 例の後輩は曰く付きのコンビニを辞めてしまったの…
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