休日①
「あははっ!! くくっ……ぷぷ……っ」
「足をバタバタさせない……パンツ見えてるよ」
「だ、だってこれ面白い……あははっ!!」
直美は俺の部屋のベッドに横たわり漫画を読んで転げまわっている。
そのたびにワンピース風の寝間着が捲れあがって赤く面積の小さいパンツがちらちら見えている。
「はぁ……おじさぁん、続きとってぇ」
「少し体を起こせばとれるでしょ……全くもう」
「いいじゃん、この間面倒見てあげたんだからぁ~今日はおじさんが私の面倒を見る日なの~、ありがと~」
漫画を渡してやると一瞬だけこっちを見て、またすぐに本の虜になった。
せっかくの休日なのに若い者とは思えない勿体ない時間の使い方をしている。
「あははっ!! きゃはははっ!!」
「だからバタバタしないの……またパンツ見えた……靴下脱げたよ……」
「あげるぅ……ただで嗅いでいいよぉ……ぷぷっ!!」
これ以上相手をしても仕方がない。
俺は諦めて据え置きゲーム機を起動してネットワークにアクセスする。
オンラインでチーム対抗戦形式のFPSゲームをやろうと思ったのだ。
結構前に出てからずっと続けている。
楽しいから……というより惰性でやっている。
お金を使わずに時間を潰すのにちょうどいいのだ。
「くぅっ!? ああ、畜生……ヒーラーしっかりしてくれぇ……うぉぉい、タンク役割放棄すんなぁっ!?」
「……おーじーさーんー、ちょっとうるさいよぉ」
「あぁ、ごめん……負けすぎて熱くなっちゃったよ」
「はぁ……いい年してゲームに夢中になっててどうするのよぉ……それより一万円で気持ちいい遊びし・よ・う・よ・ぉ」
俺のせなかに直美がのしかかってくる、当然胸が背中に当たって頂点の感触も伝わってくる。
お互い薄い寝間着を着ていることもあり、ぬくもりまで伝わってきそうで俺はどうしても興奮を隠せない。
(む、胸……ああ、揉みたい……けど……お金がないぃい)
最もお金があっても俺のほうからは恥ずかしくて頼めないのだが。
子供相手に自分からそういう真似をすることに抵抗がある……プライドもちょっぴりある。
(我慢我慢……ゲームに集中集中……)
「おーじーさーんー、ねぇったらぁ……おーなーかーすーいーたーっ!!」
「えぇ……だってまだ朝の十時……こんな半端な時間に食べたら昼ご飯食べれなくなるよ」
「だって朝ごはん食べてないんだモーン……ごーはーんーごーはーんー」
主張しながら胸を執拗に背中に擦り付けてくる。
振り返れないからわからないが、多分物凄く嬉しそうに笑っている気がする。
「はぁ……この試合終わったらパンでも探してみるよ……」
「今食べたいのー、これ何分ぐらいかかるのー?」
「大体三十分ぐらい……すぐ終わる……うわっ!?」
コントローラーを強引に取り上げられてしまった。
「ほらほら行った行った……続きは適当にやっておくから」
「いや、あのね一応ランクポイントが掛かってる試合だから素人がやると他のメンバーに迷惑が掛かるから……」
「……うぅ、お、おじさんはこのゲームと飢えた私とどっちが大事ぃ?」
目を潤ませて涙を零しながら訴える直美。
嘘泣きだと分かっていて、俺はこれに逆らう術を持たない。
「わかったよ……説明書は置いておくから最低限の仕事はしてやってくれ……」
「はーい、じゃあ急いでねぇ……始まったぁ」
テレビにくぎ付けになり身体を動かしながらゲームを始めた直美を置いて、俺は台所で食事を探した。
(食パン……バター……砂糖……これでいっかぁ)
フライパンで食パンに焦げ目をつけ表面にバターを塗りつけて砂糖をまぶす。
身体にいいとは言えないが、たまの朝食になら十分だ。
直美は甘いのが好きだから喜んで食べるだろう。
「よーし、これでいいな……できたぞーっ!!」
俺の部屋に向かい声をかけるがまるで返事が返ってこない。
仕方なく皿に乗せて部屋まで持っていくことにした。
「おーい、朝食……」
「あぁあああっ!! 何でよぉおおおっ!! これ絶対バグってるぅううううっ!!」
「な、直美ちゃん?」
「お、おじさんっ!! このゲームおかしぃいいっ!! 相手絶対チート使ってるぅううっ!!」
涙目で俺に訴えてくる直美だが、画面から顔をそらしている間にあっさり操作キャラがやられていた。
「このゲームは必殺技があるんだよ……教えなくてごめんね」
「もぉ、こんなゲームは禁止ぃっ!!」
そう言いながらもう一回コントローラーを握る直美、どうやら食事をとる気はなさそうだ。
せっかくなので俺は自分で作った食事に齧りつきながらゲームのやり方を指導してあげることにした。
「その紫色の女はスナイパーだからやめたほうがいい、その鎧男は誰かが使わないと大変なことになる……回復役はその天使のコスプレしているおばさんを選んでおけば無難かなぁ」
「ああ、またやられたぁっ!! これ絶対クソゲーだってばぁああっ!!」