土曜日
「おっじさ~ん、履歴書かけたぁ?」
「今書いているところ……久しぶり過ぎてどうも勝手が……」
「直美が採点先生してあげちゃうんだから……だからは~や~くぅ~」
「あのねぇ、遊びじゃないのよ……」
ついに転職する覚悟を決めた俺は机に向かい、早速履歴書を書き始めていた。
しかし直美は暇らしく、書類を書いている俺の頭に胸を押し当てて邪魔してくる。
(うぅ……柔らかい……物凄く気になるぅ……)
理性が飛びそうだ。
だけど新しい職場が決めるまでエッチなことはしないと心に決めている。
「ほらほらぁ……しゅーちゅーしゅーちゅーっ!!」
「な、なにこの音……ってポンポンなんかどこから見つけてきたのっ!?」
「じゃじゃん、①演劇部から借りたぁ②チア部から借りたぁ③おじさんの部屋で見つけたぁ……どれだ?」
「……良く見つけ出したねぇ」
確か何かの折にかつての幼馴染が残していったような気がしなくもない。
「全くぅ、おじさんったらこーいうのが好きなら言ってくれればせんよーの衣装も用意したのになぁ~」
「いや、好きってわけじゃぁ……っ!?」
「フレフレ……頑張れ頑張れおっじっさーんっ!!」
わざとらしく小さく飛び跳ねたりしてスカートと胸を揺らしながら応援する直美。
もちろん無視できるはずもなく、上下に動く布と胸に視線がくぎ付けになる。
「あれあっれぇ~、どうしたのかなぁ~……手が進んでないよぉ~?」
「ぐぐぅ……こ、この間は頑張らなくていいっていったくせにぃいいっ!!」
「いいよぉ、頑張らなくてぇ……代わりにぃ……ベッドの上で頑張っちゃう?」
直美が俺のベッドに飛び乗って、スカートをめくりピンクの下着をチラ見せして挑発する。
物凄くエッチで、目が離せなくなりそうだったが何とか顔を前に戻した。
「うぅ……我慢我慢……お願いだからもう少し待っててね……」
「ぶぅ……せっかくのきゅーじつなのにぃ~」
「これ終わらせたら証明写真撮りに行くついでにどこか連れてってあげるから……」
「はーい、直美ねぇお城みたいな休憩所に行きたいなぁ~」
「行きません……よし、下書き終わり……後はなぞるだけ……」
書き損じないように集中して書いていく。
(これ以上待たせたら何をされるかわかったもんじゃ……っ!?)
何かが顔に掛かって視界が妨げられる。
手に取って避けてから観察するとそれは直美が上半身に着ていた上着と下着だった。
思わず固まってしまう俺の後ろから、直美の嬉しそうな声が聞こえてくる。
「頑張れ頑張れおっじさぁん」
「な、直美ちゃ……せ、背中に直接当たってっ!?」
「えぇ~なんのことぉ~?」
背中に柔らかくて突起のあるものが押し当てられている。
いますぐにでも振り返ってその正体を明らかにしたい衝動に駆られてしまう。
しかし一度それを直接見てしまったら、もう直美の誘惑を振り切ることはできないだろう。
(た、耐えろ……耐えるんだ俺ぇっ!!)
興奮で目の前がくらくらしてくる。
しかしせめて履歴書を書き終えてしまおうと必死で手を動かす。
先を急ごうと努力したその甲斐あって俺は見事に……書き損じた。
「あぁああっ!?」
「ほらぁ、頑張って早く直美と遊ぼうよぉ~」
「くぅぅっ!!」
俺は血が出そうなほど唇をかみしめながら、欲情を堪えて履歴書と格闘し続けるのだった。




