平日の夜⑰
「おじさんおかえりぃ~」
「ただいま……何見てるの?」
「ん~……友達に勧められた動画ぁ~」
俺の家の居間に寝っ転がりながらテレビを見ている直美。
どうやっているのか携帯を繋いでアニメ動画を大画面で鑑賞しているようだ。
ちらりとテレビ画面に視線をやると可愛らしいマスコット風のキャラが動いている。
(直美ちゃんも女の子なんだなぁ……ちょっと幼稚かもしれないけど可愛いキャラが好きなんだなぁ)
俺も仕事で疲れた精神を癒そうと直美の隣に座って少し鑑賞することにした。
「とくとー席ぃ」
すると直美は俺の脚の上にうつ伏せでもたれ掛かり、そのまま顔だけ傾けてテレビを見始めた。
両足に直美の豊満な胸が押し付けられて、どうしても柔らかいその感触を意識してしまう。
(うぅ……き、気にしないで画面に集中して癒され……っ!?)
画面の向こうで可愛らしいキャラがバタバタと倒れていく。
「な、ななななぁっ!?」
「うわぁ……悪趣味ぃ……」
「こ、こっちのセリフだよぉっ!? なにこれぇっ!?」
「海外でゆーめぇなアニメなんだってぇ……見てれば病みつきになるってぇ」
「ならなくていいから……あぁっ!?」
可愛らしいキャラが自販機に押しつぶされて大変なことになっている。
どこか現実的にありえそうで、あり得ない展開に振り回されるキャラ達。
どんどん精神力が削られていく。
「うぅ……も、もう止めようよぉ……」
「そぉだねー……でももう一話ぐらい見てみよっかぁ~」
「だ、駄目だって……ひぃっ!?」
緑の熊が大暴れしている。
とても見ていられない。
俺は逆に直美の胸の感触に意識を集中して何とかその場をごまかそうとするのだった。
「うわぁ……スプーンで足をねぇ……」
「ひぃいいっ!? 痛い痛い痛いぃいいいいっ!!」




