史郎と亮とオタク少女な直美ちゃん㊿
「とぉ~っ!! 久しぶりの史郎おじさんのベッドも~らいっ!!」
「はいはい、分かってますよお姫様……」
俺の部屋に入るなり、直美はベッドに飛び込んでゴロゴロし始めた。
その可愛らしい仕草に癒されつつも、俺は少しだけ疲れが出て来てその場に腰を下ろしてしまいそうになる。
(はぁ……全く直美ちゃんは我儘で手が掛かって……可愛くて愛おしくて仕方ないなぁ……)
あれから三人でしばらく遊んでいたが、流石にお風呂が冷めそうになり交代で入ることになった。
すると直美は一番風呂が良いと飛び込んで行き……その際に俺の手を引いて一緒に入ろうと駄々をこねて来て、これを断るのにまず一苦労だった。
しかし代わりにお風呂から出た後、髪の毛にドライヤーするのを手伝わされて……バスタオル一枚しか纏っていない直美がじゃれつく中で色々とごまかしながら髪の毛を弄るのでまた一苦労。
最後にお着替えを手伝ってと甘えて来る直美を何とか諫めて、代わりにお姫様抱っこで部屋まで運べと言われるままに運び……おかげで疲れ果ててしまったのだ。
ここまで我儘放題されてなお叱るどころか可愛いとしか思えないのだから、意外と俺は親バカと呼ばれる類なのかもしれない。
「えへへ、史郎おじさんの匂……むむぅ……まさかおか……もここで寝て……むぅぅっ!!」
そんな俺の前で直美は顔をベッドに押し付けて満足げな表情を浮かべていたが、急に何かに気が付いたように不満そうな声を洩らし始めた。
そしてバタバタと暴れながら毛布や布団に身体を押し付け始める。
「ちょ、ちょっと直美ちゃんっ!? そんな暴れたらベッドが壊れるからっ!?」
「やぁんっ!! しろぉおじさんのベッドには直美の匂いを刷り込むのぉっ!! 邪魔しないでぇっ!!」
流石に止めようと毛布に手を伸ばすが、直美は嫌々するように抵抗して逆側から毛布を引っ張ってくる。
こんな引っ張り合いに毛布が耐えられるはずがなく、ピリっと何かが避けるような音が聞こえてきた。
慌てて力を抜いた俺は、そこで直美に手ごと掴まれて引き寄せられて……ベッドの中に連れ込まれてしまう。
「うわっ!? ちょっ!?」
「にゃぁっ!? し、史郎おじさん急にだいたぁんっ!? う、嬉しいけどまずはキスからっ!!」
「あ、あの……楽しそうなところ悪いんだけどお風呂空いたから史郎入っ……えぇっ!?」
結果的に俺は直美の身体に上からかぶさる形となり、何やら興奮したのか恥ずかしいのかで顔を真っ赤にした直美がそんなことを叫びながら唇を尖らせて……そのタイミングで霧島が入ってきてしまう。
果たして霧島は俺達の状況を見るなり、驚愕に目を見開いたまま固まってしまった。
「も、もぉっ!! こんないいタイミングで来ないでよぉっ!! せっかく史郎おじさんが覚悟……もがっ!?」
「へ、変なこと言わないのっ!! 直美ちゃんがベッドで暴れるから壊れないように抑えてただけでしょっ!!」
変なことを言おうとする直美の顔を枕で抑えながら、誤解されないよう必死で霧島に弁解する俺。
「そ、そうなんだぁ……そ、そうだよね史郎がそんな真似するわけないもんね……ふぅ……び、びっくりしたぁ……」
おかげでか霧島は俺の言葉を信じてくれたようで、安堵したように胸を撫でおろした。
(はぁぁ……ま、まさかこんなところを見られるとは……いや本当に誤解なんだけど……ちゃんとした母親をやろうとしてる今の霧島からしたら、自分と同い年の男と高校生の……かつて過ちを犯した自分と同じ年頃の娘がこんな関係になったりしたら心労でぶっ倒れてもおかしくないもんなぁ……もし直美ちゃんと付き合うならその辺りも考え……何を考えてるんだか俺は……)
「むぐぐぅっ!! ぷっはぁっ!! 史郎おじさんの馬鹿ぁっ!! 可愛い直美をこんな扱いしていーと思ってんのぉっ!?」
「うわっ!? ご、ごめんつい……じゃ、じゃなくて直美ちゃんが変なこと言うからでしょっ!!」
「変な事じゃないもんっ!! 直美は史郎おじさんが大好きだから、こぉしてきせー事実を作ろ―と頑張って……むぐぐっ!?」
「だからそれは止めなさいっての……はぁ……じゃあ俺はお風呂行くからね……大人しくしてなさいよ……全く……」
今度は毛布を頭まで被せて直美を黙らせると、俺は今度こそ疲れをいやすべくお風呂場へと向かおうとするのだった。
「……ふふふ、本当に二人は仲良しなんだね……だけどそっか……あの子は本気で史郎を……なら私は……」
「……どうかしたか霧島?」
「ううん、何でもない……それより史郎……な、なんなら日頃のお礼を兼ねて……わ、私が身体洗ってあげても……ひゃんっ!?」
「あぁああっ!! ま、また抜け駆けしようとしてぇっ!! 史郎おじさんの身体を弄んでいいのは直美だけなのぉっ!! 直美がやるぅっ!! 史郎おじさんの裸を隅から隅まで素手でゴシゴシし……にゃぅっ!?」
「いい加減にしようね二人とも……」




