寝取られてビッチになった幼馴染の子供も見事ギャルビッチ?になりました……だけど物凄く……します
「私、好きな人ができたからもう近づかないでね」
高校に入学して一年が過ぎたころ、唐突に幼馴染である霧島亜紀は俺こと雨宮史郎に別れを告げた。
青天の霹靂とはこのことを言うのだろう。
ずっと共に過ごしてきた相手の唐突な別れに頭が付いてこない。
『史郎くんとけっこんするぅ~』
ただ不思議と幼いころに交わした他愛のない約束が思い出されて仕方がなかった。
「じゃあね……もうこの窓も開けないでね」
隣同士で並んだ住宅、向かい合った窓を開けばいつだって幼馴染の姿が見えていた。
寝坊するからとよく窓を開けて寝ていたことを思い出す。
何度も起こしてあげて、そのたびに彼女が口にしてた感謝の言葉は何だったのだろうか。
どうしても納得できなかった俺は、朝を待ってもう一度声をかけようと思った。
「おはよう霧島……」
「……」
彼女は返事をすることもなく、早足で俺の前から立ち去って行った。
「なあ、急にどうしたんだ?」
「……」
「話ぐらいしてもいいんじゃないか?」
「……っ」
後ろから追いかけて声をかけて、ようやく振り返った霧島。
その顔には嫌悪感しか浮かんでいなかった。
「話しかけないで……」
その言葉を最後に俺たちの関係は終わりを告げた。
幼馴染からただのお隣さんへ。
「あはは、嗤えるーっ!!」
高校生活が二年目に突入したころ、大人しかった霧島はまるで別人のように変わっていた。
髪の毛を染め上げ、色んな小物で着飾り化粧も始めて……地味から派手に変貌していった。
皮肉にも見た目は美しくなったが内面は歪んで友好関係も変わっていき、オタク気質な俺には近寄りがたい人種になって行った。
「たっくぅーん、早く入ろぉ」
高校生活の終わりごろ、霧島は色んな男を家に呼び込むようになった。
時に窓を開けて嫌がらせのように、耳障りな声を辺りに響かせた。
もう俺の知っている幼馴染は、好きだった子はどこにもいなくなっていた。
「うっせーんだよ、ばばぁっ!!」
俺が大学生活を始めたころ、隣の家からは頻繁に怒声と泣き声が聞こえるようになった。
時折すれ違う霧島は煙草を口に咥え、露骨に不機嫌そうに顔を歪めて……嫌そうに赤ん坊が乗ったベビーカーを押していた。
そしてスポーツカーに乗った男とよく出かけて、帰ってこない日も多くなった。
「……ごはん」
俺が就職して疲れ切って帰ってくるようになると、小さい子供が座り込んでいることが多くなった。
隣の家を見ても明かりはついていなくて、誰も住んでいないようにすら見えた。
気が付けば俺はその男の子の……霧島直人の面倒を見るようになった。
「おじさん、この間の本おもしろかったぞー」
二十歳も半ばを過ぎてきたころ、直人は当たり前のように俺の家を出入りするようになっていた。
育児放棄されたこの子をずっと面倒を見てきたお陰で、結構懐かれてしまった。
ただ、親子故か見た目が幼いころの幼馴染に似ていて……俺は息苦しさを感じていた。
「おじさぁんさぁ、また一人で遊んでるのぉ?」
俺もついに三十台になった、直人は……何故かとても美しく成長していた。
そして俺の前では幼馴染が残していったであろう派手な格好をして悪戯めいた笑みを浮かべて構ってくるのだ。
余りにも色っぽくて、最近の俺はたまに魅入ってしまうときがあるほどだ。
「何なら私が相手してあげようか?」
それほどまでに……彼の仕草は、とても妖しい。
ルート④【史郎と直人君】へ(嘘です)
【読者の皆様にお願いがあります】
大変長くなりましたが、この作品もこれで終了となります。
最後の最後にこのような話を投稿したのは、史郎が直美ちゃんを助けたのは性別が女の子だからではないと言うことを描写したかったから……でしたが何故か変な終わり方になってしまいました。
本当にここまでお付き合いいただき、またこの作品と登場人物を愛していただき作者として感謝の想いしかありません。
ブックマーク、感想、レビューにファンアート等々、たくさんの反応本当に嬉しかったです。
いずれまたちょろっと外伝やらおまけやら書くかもしれませんが、現時点ではこれにて終了です。
本当にありがとうございましたっ!!




