史郎お兄ちゃん㉒
「ただいま直美ちゃ……んんっ!?」
「史郎お兄ちゃんおっかえりぃっ!!」
窓を開け放ったお部屋でお勉強していると、帰ってきた史郎お兄ちゃんがすぐに声をかけてくれる。
(こんなのさいっこぉの環境じゃんっ!! 亜紀お姉ちゃんたらこんないい場所独り占めしてたなんてぇ……今までの分たぁくさんとりかえしちゃうんだからねっ!!)
そう思いながら私はとりあえず史郎お兄ちゃんに笑顔を向けると、すぐに窓の近くへと駆け寄った。
「な、直美ちゃんっ!? な、何で下着姿なのっ!?」
「えへへ~、お部屋だから寛ぎたくなっちゃってぇ……ほら直美ってお胸さん大きいから洋服来てるときゅーくつなんだぁ~」
「っ!?」
ニヤニヤ笑いながら自分の胸を軽く揉む仕草をして大きさと柔らかさをアピールしてみる。
果たして目論見通りというか、史郎お兄ちゃんは息をのむと顔を真っ赤にしながらも私の胸を穴が開くぐらい見つめてくる。
(やっぱり史郎お兄ちゃんも男の子だけあってお胸にきょーみあるんだねぇ……にひひ、ゆーわく作戦だいせーこぉっ!!)
もちろん好きな男の人に下着の上からとは言え胸を見られて恥ずかしさは感じてしまうが決して嫌ではなかった。
何より私だって色々と知識も身についている、その上で史郎お兄ちゃんの恋人になりたいと思っているのだからこの程度で怖気づいていては何も始まらない。
だからこの調子で史郎お兄ちゃんを誘惑しまくって、もっともっと私を女として意識してもらおう。
「どぉしたのぉ黙り込んじゃってぇ……ひょっとして史郎お兄ちゃん直美を見てこぉふんしちゃったぁ?」
「あっ!? ご、ごめんっ!? つ、つい……け、けど直美ちゃんそう言う格好の時は窓を閉めないと見えちゃうから……」
「別に史郎お兄ちゃんならいくらでもみていーんだよぉ……なんならぁ、直接触っちゃう?」
「っ!?」
再度息をのんだ史郎お兄ちゃんに向かい、私は窓から上体を突き出して距離を縮めた。
これで史郎お兄ちゃんが同じように身体を乗り出し手を伸ばせば私の身体に触れることができる。
この状態でさらに軽く身体を揺さぶり振動でお胸をフルフルと震わせて、アピールしながらそっと呟く。
「ほらぁ、これとぉっても柔らかいんだよぉ……触ってみたくないのぉ?」
「うぅ……な、直美ちゃん……ふぅはぁ……あ、危ないから身体を戻しなさいって……」
「あららぁ、ノリ悪いなぁ史郎お兄ちゃんはぁ……」
軽く呻きながらふらふらと窓際に寄ってきた史郎お兄ちゃんだが、ギリギリのところで頭を振ると私から視線をそらしてしまった。
(ぬぅ、ぎりぎりで理性が勝っちゃった感じかぁ……ざぁんねん……けどこのちょぉしで攻めまくれば……よぉし次の策だぁっ!!)
「の、ノリとか何とかじゃなくて……お、俺はその……そう言うことはちゃんとしてから……じゃ、じゃなくてええと……」
「はいはい、わかったからぁ……それより史郎お兄ちゃんお腹空いてない?」
「えっ? あ、ああ……そりゃあバイト帰りだし……それがどうかしたの?」
「うふふ、そぉいうと思ってぇ……お仕事頑張ってる史郎お兄ちゃんの為におやつをよぉいしてあったのだぁっ!!」
そう言って私は細長い形状のスナック菓子を取り出して見せた。
「あらら、ありがとう直美ちゃん……けどもうすぐ夕食だからあんまり食べれないよ」
「けどけどぉ、一本とか二本ぐらいならいーでしょぉ……せっかく買ってきたんだから食べてよぉ……」
「そっかぁ……うん、ありがとう頂くよ……本当にお腹ペコペコだから正直助か……っ!?」
「ん~っ!!」
史郎お兄ちゃんから頂くという言質を取った私は、ニヤリと笑いながらスナック菓子を口にくわえると史郎お兄ちゃんに顔ごと突き出して見せた。
「な、直美ちゃんっ!?」
「んぅ~? んんぅ~んんぅ~ん~~っ」
「な、何言ってるかわからないけど食べないからね……ほら取るよ」
「んんぅっ!! んぅーっ!!」
しかし史郎お兄ちゃんは呆れたようにため息をつくと、私が咥えていたスナック菓子を指でつまみ引き抜いてしまうのだった。
「あぁん……もぉ史郎お兄ちゃんったらぁ……口移しで食べさせてあげたかったのにぃ……」
「食べ物で遊ばないの……ほら、アーンしてあげるから自分で食べなさい……あーん」
「えぇ~、せめて食べてよぉ……直美みたいな美少女が咥えたレアも……むぐっ!?」
付き合いきれないとばかりに私の口にお菓子を押し込んできた史郎お兄ちゃん。
(むぅ……意外と史郎お兄ちゃんノリが悪いなぁ……こぉなったらぁ……指を噛んじゃうんだからっ!!)
「むぐ……むぐ……あむっ!!」
「ちょぉっ!? な、直美ちゃんそれ俺の指ぃっ!? 痛いってばぁっ!!」
「むぐぅ……おひぃひゃんがたへないからでひょぉ……あんむ……ちゅっ……」
「あ……な、直美ちゃん……そ、そんな風に指を舐めたら……うぅ……」
ついでに指を舐めて見たら、何故か急に史郎お兄ちゃんは前かがみになってしまった。
(あれ、何か効ぃてる? よぉしじゃあもっともぉっと厭らしく舐めちゃうんだからぁ……)
「はぁ……んちゅ……」
「あうっ!? ちょぉっ!? な、直美ちゃんだ、駄目だっ……ひぃっ!?」
「んぅ?」
急に史郎お兄ちゃんが私の後ろを見つめたかと思うと、物凄く怯えたような表情になった。
不思議に思い一旦口を休めてから後ろを振りむくと……鬼が居た。
「……うふふ……直美ぃ、史郎ぉ……なぁに楽しそうなことしてるのかなぁ? かなぁ?」
「あ、亜紀っ!? ち、ちがっ!? こ、これはその……」
「あ、あ、あ、亜紀お姉……お、お、おち、おちつ、落ち着い……」
「落ち着くのはぁ……あんたたちでしょがぁあああっ!!」
「「ひぃいいいいっ!!」」
物凄い形相で怒鳴りかかる亜紀お姉ちゃん、その恐ろしさに私も史郎お兄ちゃんも小さくなり震えることしかできないのだった。
(ああ、きょぉはひどい目にあったなぁ……史郎お兄ちゃんにも悪いことしちゃったかなぁ……謝っといたほうが……ってあれ? 窓もカーテンも閉まってる……もう寝ちゃったってこと? まだ十時前なのに珍しいなぁ……仕方ない、明日朝一で謝まろうっと……ついでにそれを口実に……にひひ、楽しみ楽しみぃ……)
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