表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

171/319

史郎お兄ちゃん⑰

「あっ!? だ、駄目駄目駄目ぇえ……えぇええっ!?」

「うわぁ……銃がたくさん……あははっ!! 怪物倒しちゃったよぉっ!!」

「うーん、相変わらず良いシーンだ……」


 私たちの家の居間で、史郎お兄ちゃんお勧めのB級映画を鑑賞しているがこれがなかなか面白くついつい大声で笑ってしまう。

 しかし私たちのお母さんは元より、隣の史郎お兄ちゃんの両親もお出かけ中だからもっと騒いだところで咎められる心配はないだろう。

 

(ほんとぉはぁ……きょぉこそ亜紀お姉ちゃんと協力して史郎お兄ちゃんを押し倒してチューしてやる計画だったのになぁ……まあこれはこれで楽しいからいいけどさぁ……)


 最近の史郎お兄ちゃんは態度も堂々としていて頼もしく、とても男らしいのだけれど私たちとの恋愛に関しては相変わらずヘタレている。

 尤もこれに関しては亜紀お姉ちゃんも似たり寄ったりで、この間もせっかくキスの話題を振ったのに二人のせいで有耶無耶で終わってしまった。


(直美が何かしたらたいこぉするみたいに関わってくるけど……二人ともそんなに現状を維持していたいのかなぁ?)


 史郎お兄ちゃんも亜紀お姉ちゃんも同じ学校に通っていて、直美より遥かに一緒に居る時間は長い。

 なのに不思議なぐらい二人の関係は進展していない。

 亜紀お姉ちゃん曰く、史郎お兄ちゃんに迷惑をかけないために勉強に集中しているというけれどそれが本当なのかは分からなかった。


「えぇっ!? そ、そんな魚釣りみたいな方法で退治されちゃうのぉっ!?」

「あはははっ!! このおっさんと奥さん脇役なのにすっごぉいっ!! 何でもありだぁっ!!」

「まあ続編で別れちゃんだけどねぇ……しかもこっちのおっさんは人気あり過ぎて最終的に主役になるんだよ……ああこれで終わりだ」


 再生が終わった洋画のDVDを回収する史郎お兄ちゃんの背中を見つめながら、亜紀お姉ちゃんは呆れたような声を洩らした。


「うぅ……最初の方は怖かったのにぃ……変な映画ぁ……」

「まあ直美的には面白かったからよぉしなのっ!! これ続編幾つまで出てるのぉ?」

「四までは出てるけどそれは過去の話だからねぇ、この話の続きは三までだよ……五が出たら話は別だろうけど……出るのかなぁ?」

「出たらみんなで映画館に見にいこっかぁっ!!」

「うぅ~ん……確かに楽しかったから別にいいけどさぁ……もっと普通に怖……楽しいのはないの?」


 何だかんだで楽しめた私に対して、亜紀お姉ちゃんは少し不満そうだ。

 最初にパニック映画と聞いたときは何か期待するような感じだっただけに、肩透かしを食らったような心境なのかもしれない。


(ひょっとして恋愛シーンとか期待してたのかなぁ……もしくはホラーシーンで怯えたふりして史郎お兄ちゃんに抱き着きでもしようと思ってたのかも……直美ならしたいときにしちゃうけど消極的なお姉ちゃんだもんねぇ……)


「もっと楽しいのねぇ……じゃあシンプルにエイリアンが出てきてカウボーイと戦うやつでも……」

「ちょっとちょっとぉっ!? 全然シンプルに聞こえないんだけどぉっ!? 何でエイリアンとカウボーイが争ってんのぉっ!?」

「エイリアンは何とでも戦うからなぁ……忍者や列車を乗っ取ろうとするテロリストだとか……だけど意外にもサメとは戦わないんだよなぁ……いや俺が知らないだけでどこかで戦っているのかもしれないなぁ……」

「あはははっ!! 訳わかんなぁ~いっ!!」


 深刻そうにつぶやいた史郎お兄ちゃんを見て私は思わず笑ってしまう。


(史郎お兄ちゃんってば、いつの間にこんなB級映画好きに……やっぱりレンタルショップで働いてるとそぉなっちゃうのかなぁ?)


 尤も私もそう言うお馬鹿で笑えるのは好きなので幾らでも付き合ってあげられそうだ。

 その点は亜紀お姉ちゃんより有利かもしれない。

 ただでさえ時間と年齢というアドバンテージ差があるのだから、こういう小まめな利点を生かしていきたいと思う。


「もぉ史郎も直美も変わり者なんだからぁ……でもまあ二人が楽しいなら私は幾らでも付き合うけど……次は何を見るの?」

「いや亜紀が嫌なら映画鑑賞は止めて違うことしようか? 俺も亜紀と直美ちゃんの二人が楽しめることをしたいからね」


 お互いに気遣い合う二人、だけどやっぱりそれは私の目には今の関係を崩さないように遠慮しているようにすら見えてしまう。

 だからこそこの隙を逃すまいと、私は二人の間に割って入るのだった。


「はぁいっ!! じゃぁ直美が決めていいってことねぇっ!! 直美はねぇせっかくだからちょっと大人向けの表現がある映画観たいなぁ~っ!!」

「えっ!? お、大人向けってっ!?」

「そりゃあもちろん濡れ場というかぁ、直美が見て史郎お兄ちゃんの好みをはぁくできそうな作品というかぁ……史郎お兄ちゃんがムラっと来た奴でもいいよぉ~」

「ちょ、ちょっと直美ぃっ!? 史郎がそう言う映画観るわけ……観るわけが……み、見たりする?」

「の、ノーコメントぉっ!!」

 【読者の皆様にお願いがあります】


 この作品を読んでいただきありがとうございます。

 

 少しでも面白かったり続きが読みたいと思った方。


 ぜひともブックマークや評価をお願いいたします。


 作者は単純なのでとても喜びます。

 

 評価はこのページの下の【☆☆☆☆☆】をチェックすればできます。


 よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今日も面白かったです! [一言] 「カウボーイ & エイリアン」はB級っぽいけと、キャストとスタッフは超一流。
[一言] B級映画づくし、かあ。サメ映画っていうのもジャンルが確立されるぐらいに、ダメなものがいっぱいあるらしいけれど… 呪術回戦だかをプライムビデオで流し見してたんだけれど、丁度B級映画で盛り上がる…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ