休日⑤
「おじさーん、下ネタしりとりしよー」
「……脈絡がなさすぎるぅ」
「いいでしょぉ、エッチな単語でしりとりしてムラムラさせちゃおーっていう直美の完璧な計画なんだからぁ~」
「早速ボロが出てる……やりません」
自室の窓枠で頬杖をつきながら、窓越しに俺を見つめる直美。
可愛いけれど、余り褒められた仕草ではない。
「頬杖つくのは止めたほうがいいらしいよ……」
「だってぇ暇なんだモーン……じゃあ、可愛い直美のために相手してよぉ」
「はぁ……何かしたいことでもあるの?」
「だからスケベ尻取り……ワンタッチ千円でお尻触っていいんだよぉ」
「……脈絡なさすぎるぅ」
さっきからこんなやり取りばっかりだ。
ちらりと横目で直美を眺めれば、腕の隙間からピンクのレースが入ったブラが見えている。
自宅の中だから下着姿で過ごしているのだろうが、正直ムラムラするから勘弁してほしい。
「よーするにぃ、いい加減エッチしようよぉ……直美いつでもいいんだよぉ」
「……おじさんはお金がないからよろしくありません」
「ローンでもいいよぉ……どぉせ暇なんでしょぉ~、いけないお遊びしようよぉ~」
サラっと心臓に悪い発言をする直美。
正直したくないわけじゃない。
だけどやっぱり、俺のほうから頼むのは情けないプライドが邪魔をしている。
(何より……思い出しちゃうからなぁ……)
直美によく似た母親、俺の幼馴染だった霧島亜紀。
俺を心底見下して、馬鹿にしていたあの眼差し。
今でもトラウマだ……お陰で色々と精神的な障害も残っている。
(無いだろうけど、万が一直美ちゃんとエッチなことして……駄目だしされたら多分俺もう立ち直れない……)
だからどうしても、したくてたまらないけれど一線を越えることはできないでいた。
「もぉ~、じゃあおじさんが千円払って私に好きなところを触ってもらう遊びしようよぉ~」
「えぇ……何それぇ、ゲームになってないよぉ」
「好きなところ触ってもらえるんだよぉ……おじさんのオッパイとかぁ棒とかぁ……」
「……付き合いきれません」
俺はため息をついて窓を閉めた。
「……っ」
窓の外で直美が何か言っている。
このまま不機嫌になられても困る。
俺は表から回って直美を食事に誘ってご機嫌をとるのだった。
「まぁ~今回はこれで我慢してあげるぅ~……ケーキバイキング美味しぃ~」
「うぅ……ま、周りの女性の目が……目が痛いよぉ……」




