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史郎お兄ちゃん③

パソコンのモニターが故障しましたが、旧式のモニターを物置から見つけて何とか応急処置を施せましたので投稿します。

お騒がせして申し訳ございませんでした。

「皇帝の名のもとに集え連合軍っ!! 逆賊史郎を討伐せよぉっ!!」

「と、亮ぅううっ!? てめぇ皇帝を保護したのはこのためかぁあっ!?」

「おぉおおおっ!! 暴虐の徒である史郎軍はこの直美ちゃんが打ち滅ぼすぅっ!!」

「な、直美ちゃんっ!? 君とは同盟組んでたでしょっ!? あんなに支援物資あげたのにぃいいいっ!?」


 休日ということで史郎おにいちゃんの部屋に集まった私たち三人は、歴史シミュレーションゲームに興じていた。

 その中で全ての国を敵に回して情けない悲鳴を上げた史郎お兄ちゃんを満足げに見つめながら、私は嵐野さんとハイタッチして煽ってあげる。


「ぐぬぬぅ……お、お前ら見てろよぉ……」

「ふはははっ!! 無駄だ無駄だぁっ!!」


 必死で巻き返そうとする史郎お兄ちゃんは物凄く色々な手を打ってくるけど、嵐野さんが負けじと同じようにやり返しているおかげで逆転は出来なさそうだ。


(えへへ~、ついに史郎おにいちゃんに勝てそうだぁっ!! ついでに油断してる嵐野さんも……うぷぷ、天下は直美の物なのだぁっ!!)


 異様にゲームが上手い史郎お兄ちゃんが新しく連れてきたお友達の嵐野さんは、同じぐらいゲームが上手だった。

 それに対して私はそこまでゲームが上手じゃないから真っ向から挑んでも絶対に勝てなかった。

 だからこそそんな二人がぶつかり合うようにして、その隙に勝利を目指すのだ。


「よぉしっ!! これで史郎のお城は最後の一つ……これでお前の負けが……なぁっ!? な、直美ちゃんっ!?」

「うふふ~、隙ありなのだぁっ!! ええい、こーていさんのいる都とったぁっ!! そしてぇ……逆賊嵐野ぉをとーばつせよぉっ!! 史郎お兄ちゃんも参加していいよぉ~」

「うぐぐ……し、仕方あるまい……長い者には巻かれよう……亮ぅっ!! せめてお前だけは叩き潰すぅっ!!」

「うおぉっ!? な、なんだとぉっ!!」


 連合軍が解散する期日を狙っての私の作戦は見事に成功して、今度は嵐野さんを他の勢力と共同して叩いていく。

 嵐野さんも慌てて抵抗を始めたが、こちらには史郎お兄ちゃんもついているのだから逆転は不可能だろう。


(あははぁっ!! これで直美の勝ちは決定ぇ~っ!! やっぱりみんなでワイワイ盛り上がってゲームやると楽しいなぁ……まあ史郎お兄ちゃんと遊べてるのが一番大きいんだろうけど……亜紀お姉ちゃんも来ればいいのになぁ……)


 盛り上がっている史郎お兄ちゃんと亮さんに戦いを任せて、私はちらりと部屋の窓から亜紀お姉ちゃんの部屋を見つめた。

 恐らくもう少ししたら私たちの騒がしい声を聞きつけて、困ったような顔を見せてくるだろう。

 いつだってそうなのだ、そして仕方ないと言わんばかりの態度でこちらに合流してくるのだ。


 せっかく隣に住んでいるのだから私みたいに朝一で遊びに来ればいいと思うのだが、何故かそうしようとはしないのだ。


(こっちに来てもそんなにゲームやらないで後ろから見て微笑んでるだけだし……一緒にやりたいのになぁ……)


 おかげでここの所、嵐野さんが来てばかりと言うこともあるが亜紀お姉ちゃんと史郎おにいちゃんの三人で遊ぶことが殆どない。

 もちろん私としても嵐野さんと遊ぶのは好きだが、やはり昔みたいに物心知れた二人と甘えながら遊びたいとも思ってしまう。


(よくわからないけど、亜紀お姉ちゃんは大人になったってことなのかなぁ……直美も来年中学生になったら……変わっちゃうのかなぁ……変わりたくないなぁ……)


 今度は史郎お兄ちゃんに視線を戻すが、嵐野さんと無邪気に争っている姿は昔とまるで変わらないように見えた。

 尤も亜紀お姉ちゃんに対しては及び腰と言うか、昔より気を使ってる姿をよく見るようになった。

 また私にも基本的な態度こそ変わらないが、抱き着いたりして身体同士を触れ合わせると途端にぎこちなくなるのだ。


(ひょっとして史郎お兄ちゃん直美と触れ合うの嫌なのかなぁ……直美は史郎お兄ちゃんに抱き着くの好きなんだけどなぁ……直美も中学生になったら史郎お兄ちゃんと触れ合うの……嫌になっちゃうのかなぁ……?)


 そんな自分が全く想像できなくて……何より考えたくもないと思った。

 今だって毎日一緒に居て遊んでいる、そんな大好きな史郎お兄ちゃんから距離を取るようになるならむしろ大人になんかなりたくない。

 だからこそ最近徐々に周りの女の子がゲームなんか子供っぽいとか言い出しているが、私は気にせずにこうして史郎お兄ちゃんたちと一緒に遊び続けようと思うのだった。


「直美様ぁ、あなた様の番でございますよぉ~」

「どうぞ直美姫ぇ~、我らに見事なプレイを見せてくださいませぇ~」

「はぁい~、じゃぁ勝利宣言をぉ……にゃぁあああっ!? な、直美の軍勢がぁああっ!? あ、あんたらいつの間にどーめい組んでんのよぉおおおっ!?」

「もぉ……史郎に直美、それに嵐野君もちょっとうるさいよぉ……またゲームやって……」

「あ、亜紀お姉ちゃぁああんっ!! 二人が直美を虐めるのぉおおおっ!!」

「えっ!? ちょ、ちょっと直美泣いてるのっ!? し、史郎っ!? 嵐野君っ!? 私の妹に何してくれてんのっ!? 今そっち行くからねっ!!」

「あ、亜紀さんっ!? こ、これは誤解だぁああっ!! 直美ちゃんも泣き真似止めてぇええっ!!」

 【読者の皆様にお願いがあります】


 この作品を読んでいただきありがとうございます。

 

 色々と不手際がありました、申し訳ございませんでした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 少女としての直美の内面は、これまで描かれていなかったので楽しみです。 史郎や姉の亜紀に対してどう思うのでしょうか。 [一言] モニター使えてよかったですね!
[良い点] やっぱり直美と結ばれた方がうまくいきそうですね [一言] 無事モニターある意味なんとかなってよかったです 1日の楽しみですよ本当
[一言] どの史郎も亜紀と仲良くするためにゲームを止める選択肢が無いな(笑
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