史郎お兄ちゃん①
「なおみぃ……これ史郎にかえしてきてぇ……」
「ふぇぇ……おねぇちゃん……どぉして直美がいくのぉ?」
「だってぇ……もうさんかいめだからおこられちゃいそうなんだもん……いっしょうのおねがいだからっ!!」
「もぉ……しかたないなぁ……」
わたしは亜紀おねえちゃんにわたされたにもつをもっておとなりさんへとはしっていく。
インターホンをおしてでてきたおばさんにあたまをさげて、ささっとにかいにあるおへやへとむかう。
「こんにちわぁ……史郎おにいちゃんおきてるぅ?」
「あれ? どうしたの直美ちゃん?」
「あのねぇ……これ、かえしにきたのぉ」
「ああ、わざわざありがとう……よしよしいいこいいこ」
「えへへ……直美いいこだもんっ!!」
わたしのあたまをなでてほめてくれる史郎おにいちゃんは亜紀おねえちゃんのたいせつなひとみたい。
だからさいしょはじょうだんでおにいちゃんっていってたけど、わたしにもとてもやさしいしゲームとかでいっしょにあそんでくれるからいまじゃほんとうのおにいちゃんみたいにおもってる。
すくなくとも……わたしにようじをおしつけてばっかりのおねえちゃんよりはずっとそんけいしている。
それでも亜紀おねえちゃんのことだってきらいではない、だからこそいうことにさからえないんだけど。
「そうそう、直美ちゃんはいいこだよ……それにたいして亜紀ちゃんたら……亜紀ちゃんっ!! いるんでしょっ!!」
「うぅ……し、史郎……おおごえださないでぇ……」
「おおきなこえださないときこえないじゃないか……亜紀ちゃん、あんまり直美ちゃんにあれこれまかせちゃだめだよ……」
「だ、だってぇ……史郎におこられたくなかったんだもん……」
「ぼくが亜紀ちゃんにおこるわけないでしょ……まったくもぉ」
「え、えへへ……ありがとう……ごめんね史郎」
まどごしにおはなししてほほえみあうふたり、まいにちのようにみるすがただ。
(まったく亜紀おねえちゃんたら……どーせこうなるのにわたしや史郎おにいちゃんにあまえちゃってぇ……だけどやっぱりなかいいなぁふたりとも……)
いつだって亜紀おねえちゃんと史郎おにいちゃんはいっしょにいる、きっとこのまましょうらいけっこんするとおもう。
そうしたら史郎おにいちゃんはもれなくわたしのほんとうのおにいちゃんになる。
(そーなったら……まいにちあそんでもらっちゃうんだからぁっ!!)
「いいよもう……それより亜紀ちゃんもこっちきていっしょにあそばない? 直美ちゃんとさんにんでゲームでもしようよ」
「わぁーいっ!! やるやるぅっ!! きょぉこそぜったいかっちゃうんだからぁっ!!」
「うん、わたしも史郎とあそびたいっ!! いまそっちいくからぁっ!!」
そんなわたしのおもいにきづいているのか、きょうも史郎おにいちゃんはわたしたちとあそんでくれるみたいだ。
うれしそうにすぐにへやをとびだした亜紀おねえちゃんだけど、わたしもうれしかったから史郎おにいちゃんにだきついた。
「直美ちゃん、ゲームのよういするからはなれてよぉ……」
「えへへ、このじょうたいでじゅんびするのぉ……そーいうあそびなのぉ」
「もぉ、直美ちゃんはいいこなのにあまえんぼうなんだからぁ……しかたないなぁ」
わがままをいうわたしをえがおでゆるしてくれた史郎おにいちゃんのせなかにくっつきながら、わたしはしあわせをかんじるのだった。
「史郎きたよぉ……ああっ!! 直美ぃっ!! なんでわたしの史郎にくっついてるのぉっ!?」
「だってくっついていいっていってくれたもぉんっ!! ねぇ史郎おにいちゃぁん」
「もぉっ!! じゃあわたしもくっつくんだからぁっ!! 史郎だっこぉっ!!」
「ちょ、ちょっとふたりともはなれてよぉっ!? これじゃあゲームのじゅんびできないじゃないかぁっ!?」
「「やぁだもんっ!! ぜったいはなれないんだからぁっ!!」」
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