★史郎と亜紀のその後②
Bエンドフラグにチェック済
「亜紀……調子はいいか?」
「うん、順調に育ってるよ……史郎こそあんまり無理しないで……」
「俺は大丈夫、亜紀との未来のためだ……幾らでも頑張れるよ」
窓越しに見つめ合いながら、不安そうな亜紀を落ち着かせるため笑顔を見せる。
本当は傍に駆け寄って支えたいし触れ合いたいけど、それは許されないのだ。
(やっぱり駆け落ちを……いや、条件付きとはいえ認めてもらえたんだから……それに何だかんだで出産するまでは亜紀を安静にさせてあげないといけないからな)
俺と亜紀の家族に子供ができたことを告げてから、それなりの時間が過ぎた。
最初は当たり前だがどちらも物凄く怒り俺はボコボコにされたが、それでも亜紀と二人で本気であることを伝え続けて何とか出産自体は条件付きで許可してもらえたのだ。
その条件の一つが、成人するまでの間は許可なしでの亜紀との直接的な接触の禁止と言うことであった。
(まあどうせお腹の子供のことを思えば過激な行為は出来ないし……だけど触れ合うこともキスもできないのはやっぱり辛い……)
窓越しにお互い身を乗り出せば触れ合えないことはないが、身重の亜紀にそんな真似をさせて万が一にもけがをさせるわけにはいかない。
「史郎……本当に無理はしないでよ……」
「わかってる……亜紀の方こそ身体を大事にしてくれよ……」
「はぁい……じゃあ私寝ちゃうけど……史郎も寝てよ……」
「ああ、これが終わったら寝るから……ね」
だから亜紀の笑顔だけで我慢すると、俺は手元のテキストに改めて挑み始めることにした。
これも条件の一つだ、要するに俺が亜紀を養えるような人間であると証明しなければいけないのだ。
そのために今から国家資格を複数取り、それこそ最悪の場合中卒でも確実に就職できる状態になる必要がある。
(めちゃくちゃきつい……もう遊ぶ暇もない……けどそれでも……亜紀と結婚して家族になるためならいくらでも頑張れるっ!!)
亜紀の方も出産のために今後の人生において自分の時間を犠牲にすることになるのだ。
なら男の俺はもっともっと頑張らねばいけないだろう。
何より最後の最後には俺なんかのことを認めてくれた霧島の母親に報いるためにも、これぐらいの甲斐性は見せないといけない。
(世間体とか色々と気になることも多かったはずなのに……あの人が認めてくれたからこそだもんなぁ……)
亜紀が俺へ非常に依存してることと、同時にそのおかげで生活態度がまともになっているのを誰よりも傍で見ていて知っていたからだろう。
そして女である亜紀の側の親が折れた以上、男である俺の両親としては受け入れざるを得なかったのだ。
そんな亜紀の母親へ報いるためにも、俺はこの条件をやり切って見せなければならない。
(待ってろよ亜紀、それにお義母さんっ!! 俺が立派になって、誰からも後ろ指刺されない程度に偉くなって……むしろ皆に自慢できるぐらいの男になってみせるからなっ!!)
覚悟を決めながら、俺は今日も半ば徹夜するぐらいの勢いで勉学に取り掛かるのだった。
(……ん? 亜紀からメール……っ!? こ、これで頑張ってって半裸の写真っ!? ち、違う意味で頑張りたくなっちゃうよこれぇっ!?)
*****
Cエンドフラグにチェック済
「す、すごいなこのチャイナ服……」
「ふっふぅん、史郎が良くやってた格闘ゲームの奴だよぉ……良く出来てるでしょ?」
「ああ……いや本当に凄いけど……こんなに作ってお小遣い持つのか?」
物凄く興奮して亜紀の姿を上から下まで嘗め回すように観察しつつも、その懐具合が心配になってくる。
あれから亜紀が自作したコスプレ衣装は数知れない、しかもそのデータを取るためという名目でゲームにもハマりつつある。
おかげで俺としては毎日楽しくて仕方がないが、だからこそ亜紀が無理してないか気になってしまう。
「それだけどねぇ、ちょっと前に嵐野君と相談して作った衣装をネットで売ってみたことあったでしょ? あれが盛況で結構儲かってるから余裕あるんだぁ~」
「そ、そうなのか……意外だなぁ」
「うん、自分でもびっくりしたけどどうも私そういう才能はあったみたいなの……それに史郎と遊ぶための衣装作りのついでだと思えば全然苦にならないしねぇ~」
本当に嬉しそうに笑いながら、机の引き出しから通帳を取り出して俺に見せてくる亜紀。
「お母さんにも話して口座も作ってもらったんだぁ……ほら、結構溜まってるでしょ?」
「け、結構というか……ろ、六桁超えそうじゃないかっ!?」
中学生のお小遣いとしては大したものだ、何より実際に幾つも衣装を作った上でこれだけ余っているのだから相当だ。
「ふふふ、頑張ってるでしょ? お母さんも驚いてたけど、最後には喜んでくれちゃった……これも史郎のお陰だよ」
「い、いやこれはどう考えても亜紀の頑張りでしょ?」
「ううん、史郎が私の目を覚ましてくれなかったら……だらしないままだったらこの才能にも気付けなかったよ……全部史郎が愛してくれたおかげなの……だからぁ、たぁっぷり愛情をお返ししちゃうんだからぁっ!!」
「あ、亜紀っ!?」
そう言って亜紀は俺に飛びつくと強引にベッドへと押し倒してくる。
(さ、最近は亜紀のほうが積極的と言うか過激と言うか……しかも俺を虐めて楽しんでるっぽいし……じ、実はSなんじゃないか亜紀はっ!?)
尤も女騎士プレイをした際はノリノリで虐められてたので、単純に俺と愛し合えればそれでいいという感じだろうが……それでも亜紀の意地悪そうな笑顔を見ているとやはりドSなのではないかと思いたくなってしまう。
「さぁ史郎ぉ……大人しくするアルネっ!!」
「え、ええいっ!! そうそうやられてばかりでなるものかぁっ!!」
「あぁん、抵抗しちゃ駄目ぇっ!!」
そんな亜紀から主導権を取り戻そうと、体勢を入れ替えようとするが向こうも負けじと抵抗してくる。
「亜紀ぃ……ぐふふ、ついに捕まえたぞぉ~」
「やぁん、シャチョさん意地悪ねぇ~」
「ど、どんなキャラなんだ……ま、まあいいこれからたっぷりと調教してやろうじゃないかぁ」
それでも何とか亜紀を組み敷くことに成功すると、俺はノリノリで期待に満ちた目を向けてくる亜紀に身体をかぶせていくのだった。
「あんぅ……史郎ぉ……隙ありねっ!!」
「なぁっ!? て、手錠なんかどこに隠してっ!?」
「ふふん、実は亜紀ちゃんは国際警察だったのだっ!! さあ尋問タイムあるよぉ~」
「お、お手柔らかに……あ、あうぅ……そ、そんなところ舐めたら……あ……っ」
*****
フラグ無し
「ど、どう史郎……?」
「……うん、これなら合格点だよ」
「よ、よかったぁ……はぁ……疲れたぁ」
志望校の過去問を模擬試験的に解いてみた亜紀だが、努力の甲斐あってついに合格点をとれるまでになった。
進路を決めてからずっと勉強を頑張ってきただけのことはあったようだ。
「この調子なら問題なさそうだね……ちょっと休憩しようか」
「うん……えへへ、じゃあ史郎の腕の中に……お邪魔しまぁす」
「はいはい、いらっしゃい……」
俺の脚の上に座った亜紀を正面から抱きしめてあげると、本当に幸せそうに目を細めながら体重を預けてきた。
「はぁ……やっぱりこうして史郎と触れ合ってる時が一番落ち着くなぁ……えへへ、幸せぇ」
「俺も凄く幸せだよ……よしよし、いい子いい子……」
「もぉ子ども扱いしてぇ……んぅ……もっと撫でてぇ……」
「わかってますよお姫様……よぉしよし……」
「えへへ……」
気持ちよさそうにしている亜紀を見ていると、俺の方も心の底から穏やかな気持ちになってくる。
(本当にいい息抜きだこれは……ああ、幸せぇ……)
いつまでも時間を忘れて亜紀とこうして居たいと心の底から思う。
だけどそう言うわけにもいかない、流石に両親にこんな姿を見せるわけにはいかないからだ。
「……亜紀、そろそろ……」
「うぅ……も、もう少しだけぇ……」
「だけどそろそろうちの両親が帰ってきちゃうから……」
「そ、そっかぁ……じゃ、じゃあ仕方ない……ね」
名残惜しそうに離れようとする亜紀と顔を見合わせる。
「も、もぉ……史郎だってそんな顔しちゃってぇ……や、やっぱりもう少しくっついて居ようよぉ……」
どうやら俺も未練がましい顔をしていたようで、亜紀は困ったような声を出して再度抱き着いてきてしまう。
「お、俺だって離れたくないけど……で、でもなぁ……」
「……じゃ、じゃあそろそろ……お義母さんたちに私たちの関係……言っちゃおうか?」
「そ、それは……わ、悪くはないんだけど……」
「私たちちゃんと節度あるお付き合いできてるしさ……え、え、エッチなことだって気を付けてるし……言っても平気じゃないかなぁって最近思ってるんだぁ」
亜紀の言う通り俺たちは意外と年相応なお付き合いができていると思う。
確かに時々過激な行為まで発展することもあるが、基本的に笑顔を見たりこうして抱き合うだけで十分満足できているのだ。
(高校に入学したらもう少し羽目を外すつもりだけど……実際に我慢出来てるもんなぁ……)
だから別に両親に伝えても何も問題はないような気はする。
むしろ一度伝えれば、この程度のスキンシップなら親の目を気にせずに出来るようになるはずだ。
「そうだな、そろそろ俺たちの親にも伝えようか……結婚を前提としたお付き合いをしていますってね」
「う、うんっ!! そうだよっ!! 私たち将来結婚するんだもんねっ!! じゃ、じゃあやっぱり早めにそう言っておいた方がいいよっ!!」
「その通りだな、じゃあ近々亜紀のお義母さんのところに行ってお願いしてくるよ……娘さんを俺にくださいってね」
「えへへ、もうとっくに史郎のものだけどねぇ」
そう言う亜紀は実際に俺の腕の中でずっと笑顔で居てくれている……俺の一番好きな顔を見せ続けてくれているのだ。
(絶対守らないとな……俺の愛する亜紀が笑っていられるように頑張らないと……そのための第一歩だ……ちゃんと親に言わないとなぁ)
俺は大好きな亜紀を優しく抱きかかえながら、両親に挨拶する言葉を考えるのだった。
「えへへ、史郎大好きぃ……ねぇキス……してぇ」
「ああ、俺も亜紀が大好きだぞ……んっ」
「んぅ……ふぅ……史郎好きぃ、もう一回……んっ……」
「……はぁ、亜紀ぃ……大好きだ亜紀……もう一……」
「ごほんごほん……キリがないからそれぐらいにしてくれないかい?」
「お、お袋っ!?」「お、お義母さんっ!?」
「はいはい、ただいまただいま……それでどういうことか説明してくれるかい、史郎に亜紀ちゃん?」
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