★亜紀と史郎のその後①
ここから終わりに向かって行きます。
Bエンドフラグにチェック済
「史郎ぉ……やっぱり陽性みたい」
「やっぱりそうか……ここの所ずっと体調崩してたもんなぁ……」
「うん……覚悟してたつもりだけど実際こうなると……困っちゃうねぇ」
俺の部屋で妊娠検査薬を中心に向き合いながら、ぎこちなく微笑む亜紀。
愛しの恋人にそんな顔をさせてしまったことを後悔しつつ、少しでも安心してもらいたくて隣に座り直しその肩に腕を回した。
そして優しく抱き寄せると、亜紀は力なく俺に寄りかかってきた。
「ごめんな……やっぱり男の俺が考えるべきだったよ……本当にごめんな亜紀」
「ううん、私だってしたくてしてたことだから……大好きな史郎の子供だって欲しかったし……だけど本当に……こんなに早くできちゃうなんてね……」
亜紀の言う通り、俺たちはまだ中学三年生になったばかりだった。
尤も春休み中どころか、今日にいたるまでほぼ毎日それも一日中行為に耽っていたのだからこうなるのはある意味必然でもあった。
(わかっていたのになぁ……だけど亜紀が愛おしすぎて止まれなかった……俺は本当に馬鹿だなぁ……)
「そ、それでさ……し、史郎……私……どうしたらいいかなぁ?」
「……俺は亜紀の決定を全力で支えるよ、だから亜紀が好きなように決めてほしい」
「し、史郎……史郎はさぁ……あ、赤ちゃん……欲しいと思う?」
恐る恐る俺の顔を見上げてきた亜紀をしっかりと見つめ返し、強く抱きしめながら答える。
「正直に言えば亜紀には悪いけど……産んでほしい……俺と亜紀の子供だから二人で育てていきたい」
「ほ、本当っ!?」
「ああ……亜紀にばっかり負担が大きいからこうなって後悔しているところはあるけど……俺と亜紀の間に子供ができたこと自体は物凄く嬉しいんだ」
はっきりと言い切ってから、俺はそっと亜紀の下腹部へと手を伸ばして触れてみた。
まだ見た目にも何の変化も出て居ないそこに、だけど俺は何故か温もりを感じてしまう。
そんな俺の手に亜紀もまた自らの手を重ねてきて、二人で優しく何度もそこをさすった。
「そ、そっかぁ……えへへ……じ、実は私も……史郎の赤ちゃんができて嬉しいんだ……だ、だから産みたいけど……産みたいんだけど……」
「わかったよ亜紀、安心して……俺が全力で支えるから……亜紀の母親にも俺の両親にもちゃんと頭を下げて説明して……説得して見せるから」
もちろんそう上手く行くとは思えないし、ひょっとしたら無理やり俺たちの仲を引き裂こうとしてくるかもしれない。
(負けるもんか……この選択は間違ってるのかもしれないけど……俺の亜紀への想いは本物なんだっ!!)
だからどんなことをしてでも亜紀を……そして産まれてくる子供を守ろうと決意を固めた俺はようやく笑顔を浮かべることができた。
そんな俺を見て亜紀の方も、僅かに不安を残しつつもいつも通り俺の大好きな笑顔を見せてくれるのだった。
「ありがとう史郎……私信じてるから……だから私も全力でこの子を守る……絶対に産んで史郎と一緒に育てていくからねっ!!」
「ああ、俺も全力で頑張るさっ!! もし周りが認めなかったら駆け落ちしてでも……どうにかして俺が金を稼いで食わせていくからっ!!」
「うんっ!! 私も史郎にどこまでも付いて行くから!! 二人……ううん、三人で絶対幸せに成ろうねっ!!」
「ああっ!! ずっと一緒だっ!! 結婚しよう亜紀っ!!」
俺の言葉を聞いて、亜紀はいつぞやのように嬉しそうに叫び返してくるのだった。
「うん、私……史郎と結婚するぅ~っ!!」
*****
Ⅽエンドフラグにチェック済
「うぅ……こ、これは一体……?」
「あらぁ、お目覚めかしらぁ?」
「あ、亜紀……っ!?」
目を覚ますと何故か身体がベッドに縛り付けられていて、困惑していたところに悪魔のコスプレをした亜紀が近づいてきた。
どうも前にコスプレした際に俺の反応が良かったためか、それ以来亜紀はこうして自発的にコスプレすようになったのだ。
もちろん俺としても非常に嬉しい限りなのでむしろ喜んで受け入れていて、だから今も亜紀の仕業だと分かるとノリノリで相手をすることにした。
「あ、悪魔めぇ……一体何が望みなんだぁ……」
「ふふ、どうしたのかしらぁ聖騎士様ぁ……そんなに子犬みたいに震えちゃってぇ……」
「っ!?」
(せ、聖騎士に悪魔……ま、まさか亜紀の奴あれを読んだのかっ!?)
ついこの間の授業に冗談半分でノートに書いた小説を思い出した。
そして同時に、そのノートを勉強しようとする亜紀に貸し出したこともだ。
(そ、それでこんな……だ、だとするとこの後はっ!?)
この先の展開を思い出した俺が亜紀の顔へと視線を移すと、とても妖艶な笑みを浮かべてこちらを見つめている彼女と目が合ってしまう。
「さあてぇ聖騎士様ぁ、これから自由に成りたければ私と契約を結んでいただきますわぁ」
「け、契約って……」
「うふふ……ご安心なさぁい、とっても気持ちの良いことですのよぉ……」
チロリと舌なめずりしながら、俺の服の上から身体をなぞり始める亜紀。
そのまま俺が……いや聖騎士が心の底から屈服するまで虐め続けるつもりなのだろう。
「あ、亜紀っ!? ちょ、ちょっとこれは……んぷっ!?」
「ふふ、どうしたのかしらぁ……続きを聞かせてほしいわぁ」
「んぅっ!?」
しゃべろうとした俺の顔を亜紀が抱きかかえて、その豊満な胸でもって無理やり口封じしてくる。
そしてそのまま俺の服の中に手を滑りこませて、慣れた手つきでこちらの弱点を刺激してくる亜紀。
(ちょ、ちょっとぉっ!? げ、原作だともっとこう物理的な拷問であってこういうエッチなのじゃ……あ、ああぁっ!?)
「ほらほらぁ、聖騎士様ぁ……素直に私の僕になると誓えば……直接刺激して差し上げますわよぉ~……」
「むぅぐ……んぅ……」
「んぅ……史郎ぉ……じゃ、じゃなかった聖騎士様ぁ、そんなに抵抗しないのぉ……」
物凄く嬉しそうに笑いながら、俺の身体を優しくこすったりくすぐったりしてくる。
それでいながら、一番大事な部分だけは絶対に触れようとせず焦らしに焦らして虐めてくるのだ。
(ああもう……本当に亜紀は……悪魔……いや淫魔だよ……)
「うぅ……あ、亜紀さぁん……そろそ……んぐぅっ!?」
「まだまだ苛められ足りないみたいだしぃ、じゃあこっちで攻めてあげるわぁ」
亜紀が身体を離した隙に、素直に降参しようとした俺の顔へ今度はお尻が乗っかってくる。
そして再び何も言えなくなった俺に焦らし攻撃が再開されるのだった。
(あ、あああっ!? ま、マジで我慢の限界がっ!? だ、誰だよ亜紀にこんなプレイを教えた奴はぁって俺だよっ!! 過去の俺の馬鹿ぁっ!?)
「ほらほらぁ……あはは、やっぱり史郎ったらコスプレ大好きなんだねぇ……こんな目にあってるのに……すっごいことになってるよぉ……」
何だかんだで嬉しそうな亜紀の声を聞きながら、俺もまた可愛い彼女のコスプレ姿に興奮を隠しれない。
(あ、亜紀の奴……亮だか新しい友達だか知らないけど……いつの間にか裁縫教わって自力で衣装を用意するようになりやがって……最高なんだよぉっ!!)
おかげでここの所、亜紀と行為をする回数が増えつつある……というかほぼ毎日してしまっている。
もちろんゴムも足りなくなることも多くて、このままいくと冗談抜きに子供までできてしまいそうだ。
それでも俺も亜紀もこの新しい遊びが楽しくて仕方なくて、こうして今日もまたプレイに興じてしまうのだった。
(うぅ……あ、明日は亜紀に女騎士のコスプレさせて俺が虐めてやるぅうう……あ、亜紀そ、そこを足で刺激しちゃ……あぅっ!?)
*****
フラグ無し
「史郎と嵐野君はどこの高校に行くか決まってるの?」
「いや別に……史郎と一緒ならどこにでも……」
「こいつのいない所ならどこでもいいわ」
「ちょぉっ!? し、史郎君っ!?」
「ふふふ……もうお二人とも騒がしいですよぉ」
俺の言葉に過剰な反応を示す亮をやんわりと窘めながら微笑む亜紀の友人である眼鏡女子。
春休みが終わった三年時に、ちょうど同じクラスになったのをきっかけにこうして一緒に昼食をとることになったのだ。
(よくぞまあ俺や亮と一緒に居て笑っていられるなぁ……いやぁ本当に良い子だわ……)
尤も本人曰く、元々大人しくて一人で孤立していることが多かったのでむしろ誘ってくれてありがたかったらしい。
だからこそというか、同じく友達が居なかった亜紀とは短い付き合いながらもとても親しくしているように見えた。
「お、おう悪い……けど史郎が俺を虐めるから……」
「別に虐めてるわけじゃないんだが……だけど急にどうしたんだ亜紀?」
「あのね、実は私たち近くにある公立高校に進学しようと思ってて……そ、それでね……えーと……」
「亜紀ちゃんは、大好きな雨宮さんと一緒に進学してほしいって思ってるんですよぉ」
「ちょ、ちょっとぉっ!?」
歯切れの悪い亜紀に変わって、友達の女子がにこやかに答えてくれる。
「そんな言い渋るようなことじゃないだろ……俺は全然構わないよ」
「うぅ……け、けどもし史郎が行きたいところがあるなら邪魔したく無いなぁって……べ、別に無理して一緒の学校行かなくても良いんだよ……行きたいけど……」
「俺だって亜紀と一緒の学校に通いたいよ、それに近くにある公立って偏差値も高いところだし何も問題はないと思うぞ……学力以外な」
「あー、確かにあそこはレベルが高いよなぁ……史郎ならともかく俺たちにはちょいきついかもなぁ……」
そう言って頷く亮だが、何だかんだでこいつは要領よく勉強できるたちなのでその気になればあっさり入学できそうなものだ。
ソレよりも問題は亜紀の方だ、成績が改善してきたとはいえそれは前に比べてというだけでまだまだ学力は俺たちに追いついていない。
「いや俺だってきついと思うぞ……まあ亜紀には考えがあるんだろうけど、もう少し入りやすいところでもいいと思うけどなぁ……」
「私も亜紀ちゃんとは一緒に入学したいけど……無理はしなくていいからね?」
亜紀の友達が少しだけ申し訳なそうにつぶやいたところを見ると、どうやら公立高校を目指すきっかけは彼女のようだ。
「わ、分かってるって……ちゃんと自分で考えて決めたことだから……」
「そうなのか……」
「う、うん……公立だとそこまで学費掛からないからねぇ……少しでもお母さんの助けになりたいし……」
恥ずかしそうにしながらも、後半部分は俺にだけ聞こえるようにつぶやいた亜紀。
(そう言えば亜紀の親父さん全然帰ってこないし、母親は仕事で忙しそうにしてるし……家計を気にしてるんだろうなぁ)
尤も本気で切羽詰まっているわけではないだろう。
もしそうなら間違いなく今の亜紀なら俺に相談しないはずがないのだ。
だからこれは純粋に母親の負担を減らしたいという亜紀個人の想いなのだろう。
「……分かったよ亜紀、俺もそこを目指すことにするから一緒に頑張って行こうな」
「あ、ありがとう史郎……だけど本当に良いの?」
「むしろそうしたいんだよ……亜紀と……恋人と少しでも長く居たいんだから」
「あっ……えへへ……うん、私も彼氏の史郎と少しでも一緒に居たいなぁ……」
はにかむように笑う亜紀に、俺もまた心の底から微笑んで見つめ合うのだった。
「おーい、俺たちを無視しないでくれぇ……」
「嵐野さん、邪魔したら悪いですよぉ……ふふ、恋する男女って傍から見てるだけでも胸が温かくなりませんか?」
「いやいや、これをすぐ近くでずっと見せつけられると結構きついんだぜぇ……まあすぐにでもわかるよ」
「そんなことないと思いますけどねぇ……だけどやっぱり美男美女のカップルは素敵ですぅ……」
「……美女はともかく、美男って……誰?」
「あれ、知らないんですかぁ? さいきん雨宮さんって女子の間で結構素敵だねぇって有名なんですよぉ」
「そ、そうなのかぁっ!? じゃ、じゃあ俺はっ!?」
「…………お二人ともとっても素敵ですぅ」
「ちょ、ちょっとぉっ!? 返事してよぉっ!?」
【読者の皆様にお願いがあります】
この作品を読んでいただきありがとうございます。
少しでも面白かったり続きが読みたいと思った方。
ぜひともブックマークや評価をお願いいたします。
作者は単純なのでとても喜びます。
評価はこのページの下の【☆☆☆☆☆】をチェックすればできます。
よろしくお願いいたします。




