★亜紀と史郎⑱
亜紀好感度750未満
「急いで食べちゃいなさいよ……ごめんねぇ亜紀ちゃん、後で史郎のことは叱っておくから」
「う、うるせぇなっ!! た、たまには寝坊しても良いだろっ!!」
「何がたまにはよっ!? ここの所毎日じゃないのっ!! 全く、前は亜紀ちゃんを起こしてたのに完全に立場が逆転してるじゃないのよ……」
「気にしないでくださいよぉ、今までの恩返しの意味もあるし……ふふ、何より私が好きでやってることですから……」
そう言いながら亜紀は朝食を食べている俺の方へ向き直ると、自らの唇を指でなぞりながら意味深にウインクしてきた。
それだけで朝の光景を思い出して恥ずかしいようなくすぐったいような不思議な感覚に襲われてしまう。
(寝坊するに決まってるだろうが……こんな可愛い恋人がおはようのキスで起こしてくれるんだからよぉ……)
亜紀と結ばれた次の日の朝に、初めておはようのキスで起こされた時の衝撃は忘れられない。
思わず反射的に抱き着いた俺を優しく受け止めながら亜紀は、次からもこうして起こすと囁いてきた。
最初は泊りの日だけかと思っていたが、それから亜紀は毎朝律儀に俺の部屋まで通ってくるようになったのだ。
(起きてたら残念そうな顔するし、キスも帰るまでお預けだって言うからなぁ……ま、まあ普通にキスしたら止まらなくなるから仕方ないけどさぁ……)
「亜紀ちゃんは本当に良い子だねぇ、史郎大事にしてあげなさいよ」
「わ、わかってるよっ!! ご、ご馳走様っ!!」
これ以上母親に煩わしいことを言われたくなくて、俺はさっさと食事を終えると支度を済ませてしまう。
「……よし、行こう亜紀っ!! 行ってきますっ!!」
「はぁい……行ってきまぁす」
「行ってらっしゃい二人とも……ふふ……」
亜紀の手を取って家を飛び出す俺を見て母親は、何やら微笑ましいものを見るような笑顔で見送った。
「ふふ……お義母さん、もう私たちが付き合ってるって気づいてるかなぁ?」
「さ、さあなぁ……直接言うのは恥ずかしいから伝えてないけど……亜紀としては言っておきたいか?」
「もちろん……って言いたいところだけど、ちょっとねぇ……」
通学路を歩きながら、自然と腕まで絡ませ合わせてきた亜紀が俺を見つめて何か言いずらそうに口を動かした。
「な、何かあるのか?」
「ええとねぇ……す、少し言いづらいんだけどなぁ……し、史郎に変な目で見られちゃうかなぁって……」
「言いたくないなら無理に言わなくても良いけど……俺は亜紀が何を言っても引いたりしないよ……」
「そ、そぉ……じゃ、じゃあ言うけど……ほら私たちってまだ中学生でしょ?」
当たり前の事実に俺は素直に頷いて見せる。
「ああ中二だ、尤ももうすぐ春休みだしそれが終わればもう三年生だけどな……」
「だけどまだ未成年なわけでしょ? だからもし付き合ってるって分かったら……その、色々と警戒されて……やりずらくなるかなぁって思っちゃって……」
「や、ヤりずらくなるって亜紀っ!?」
「こうやってさぁ……手を繋いで学校に通うぐらいなら平気だろうけど、史郎の部屋に行き来したり……き、キスとかだって止められちゃうかもしれないし……」
(そ、そっちか……い、いやそうだよな……俺たちがもう関係を持ってるとは思わないだろうし……節度を持った関係とか徹底されても困るもんなぁ……)
少しだけ邪な事を考えてしまった自分を恥じるが、冷静に考えてみても亜紀の言葉通りだと思った。
まだ未成年で中学生なのに付き合っているなどと知られたら、間違いなく保護者として色々と干渉してきそうだ。
それがお節介を焼く方面であれ、逆に忠告を強いる方面であれ……とにかく俺たちの関係を他の誰かに邪魔されたくはない。
「そ、そうだよな……確かに俺もここまで築き上げてきた亜紀との関係に余計な横やりを入れられたくないよ……」
「う、うん……そ、それもそうなんだけどぉ……」
「……他にも何かあるのか?」
「え、ええとね……そ、そのね……よ、要するにぃ……親に警戒されてその……し、史郎とさ……え、え、エッチな……そ、その……しずらくなるの……嫌、だから……」
「っ!?」
しかし続けて亜紀がつぶやいた言葉に、改めて冷静さが吹き飛んでしまった。
見れば自らの発言が恥ずかしかったのか、手の甲までジワリと赤くなってきている。
(は、はは……なんだ同じこと考えてたのか……そ、そうか……亜紀も俺と……)
「……ふふ」
「な、何で笑うのぉっ!?」
「ご、ごめんなんか嬉しくて……俺も亜紀とそう言うことも含めて沢山したいことあるから……まだ親に伝えるのは止めておこうか?」
「う、うん……え、えへへ……やっぱり史郎も私と……」
「当たり前だろ……愛してるんだからさ……」
そう言って亜紀に笑顔を見せてやると、向こうもまた照れくさそうにしながらもにっこりと笑い返してくれるのだった。
「わ、私も史郎の事愛してるから……だ、だけどキス以上するときはちゃんと……し、しようね?」
「わかってるよ、休日の親がいないときだけ……いや亜紀の気が向いたときだけでいいよ……俺はキスだけでも満足だからさ……」
「えっ!? あ、う、うんそれもそうだけどその……ご、ゴムもその……ね?」
「え……あ、ああっ!! す、するときは俺の方で用意しておくからっ!!」
亜紀好感度+20
*****
亜紀好感度750以上
「急いで食べちゃいなさいよ……ごめんねぇ亜紀ちゃん、後で史郎のことは叱っておくから」
「う、うるせぇな……たまには寝坊しても良いだろ……疲れてんだよぉ……」
「あんたねぇ……そう言いながらここの所毎日じゃないの、全く春休み前だからってだらけ過ぎよっ!!」
「まあまあ、史郎はここの所色々と勉強を頑張ってて大変なんですよ……それに私が好きでやってることですから……ねぇ史郎ぉ?」
そう言いながら亜紀は食事を食べている俺の方へ向き直ると、自らの唇を舌で軽く舐めまわしながら妖艶に笑いかけてきた。
それだけで朝の衝撃を思い出して、俺の心臓はドクンと跳ねてゾクリと快感に似た感触が全身を走り抜けた。
(ね、寝坊するに決まってるだろ……あ、あれから毎日亜紀と……朝だって起きたら亜紀がお口で……た、体力が尽きるわ……)
亜紀と結ばれた次の日から、彼女は保健の勉強等何かしらの口実を作っては毎晩俺の部屋に通ってきている。
そしてこんな可愛い恋人と部屋で二人きりになれば自然と行動は過激になっていく。
まして亜紀自身が乗り気なのだ、お陰で俺は毎日体力を使い果たしてはベッドにぶっ倒れるように横になっているのだ。
(流石にそろそろ倒れそうだし回数を減らしたいところだけど……い、一度興奮してスイッチが入ると俺も亜紀も止まれないからなぁ……)
何だかんだで思春期と言うこともあり、どうしても一度行為を始めたら没頭して止まれなくなってしまうのだ。
だから今だって朝亜紀にされた後遺症で思いっきり興奮しているほどだ。
それでも学校に行くからと亜紀にお預けを喰らわされて渋々下に降りてこうして食事をとっているのだ。
(流石に幾ら何でも亜紀の意志を無視して襲うわけにはいかないからなぁ……はぁ……亜紀は良く平気だよなぁ……むしろなんか活き活きというか艶々してるし……)
「どうしたの史郎ぉ、お手手が止まってるよぉ?」
「あ、ああ……い、今食べちゃうから……」
ついつい亜紀の仕草に気を取られてしまって動きが止まっていた。
慌てて食べ始める俺を見て、亜紀はどこか嬉しそうにしながらそっと隣に座りなおしてきた。
「何なら……お手伝い、するぅ?」
「っ!?」
俺の太ももに手を乗せながら亜紀は、意地悪そうでいてどこか厭らしい響きのする声を出した。
(て、手伝うってっ!? あ、亜紀さんっ!?)
そしてゆっくりと亜紀の手が俺の脚の付け根のほうへと移動し始めた。
頭のどこかで止めなければと思うが、それでも俺は何も言うことができなかった。
むしろごくりと生唾を飲み込みながら、どこか期待を込めて亜紀を見つめて……こくりと小さく頷こうとした。
「あ、亜紀……その……頼……」
「全く亜紀ちゃんは史郎に甘いんだから……ほらほら、さっさと食べきっちゃいなさいよ」
「っ!? わ、わかってるよぉっ!!」
そこで母親がこちらに近づいてきてしまい、俺は弾かれたように食事へと戻った。
亜紀も無理に続ける気はなにようで、残念そうにそっと手を戻してしまった。
(ぐぅぅっ!! い、いやこれでよかったんだ……勿体ないけど……うぅ……は、早く亜紀と二人きりになろう……)
俺はさっさと食事を終えると支度を済ませ、亜紀の手を取って家から飛び出した。
「い、行ってくるからっ!!」
「行ってきまぁすっ!!」
「はいはい、行ってらっしゃい二人とも……」
母親のどこか呆れたような声を背中に受けながら、二人きりになれる場所まで走り抜ける俺たち。
「こ、ここまで来れば……ふぅ……ま、全く亜紀あんな場所であんなことするなよ……」
「えぇ~でも史郎すっごく嬉しそうだったよぉ……本当に嫌だったのぉ?」
「い、嫌じゃないけど……お、お袋にバレたら流石に……」
「その時はその時だよぉ……それよりぃ、どうするの史郎ぉ?」
「ど、どうするってっ!?」
腕を絡ませながら亜紀は再び妖艶に笑うと、そっと顔を俺の耳元に近づけて呟いてくる、
「つぅづぅきぃ……したくないのぉ?」
「し、したいさっ!! け、けど流石に外じゃ……」
「うーん、じゃぁ……学校でしちゃう?」
「っ!?」
反射的に亜紀のほうへ顔を向けると、瞳を潤ませながら俺を見つめていた。
「使ってない教室とかぁ、屋上の手前の踊り場とかぁ……人が来ない場所探してさぁ……駄目ぇ?」
「うぅ……そ、それは……あ、亜紀が嫌じゃなければ……」
「ふふ、さっきも言ったでしょ……私が好きでやってることだから……ね?」
そして亜紀は軽く周りを見回したかと思うと、片手で俺の頭を固定するとさっと唇を奪ってくるのだった。
「…………ふぅ、これも私がしたいからしたこと……だから史郎もしたいことがあったら遠慮なく……あっ!?」
「……急ごう亜紀、早く学校に行って……人目のつかない場所探そう……」
「はぁい……ふふ、史郎……春休みもいっぱぁい愛し合おうね……」
亜紀好感度+100
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