休日③
「おじさーん、暇だよー」
「いい子だからお外で遊んでおいでー」
「やぁー、悪い子の遊びするー」
下着姿で窓越しに俺に話しかける直美。
せっかくの休日だというのに勿体ない限りだ。
最も部屋掃除で時間を使っている俺のほうも人のことを言えたもんじゃないが。
「限りある青春を無駄にしないほうがいいと思うよー」
「だからこそエッチしようよー……おじさんもしたいでしょー」
「……したことないからしたいかどうかもわかりませーん」
「おじさんこそ青春を無駄に使ってるじゃーん、ほら取り戻そーよー」
相手をしていると本当に理性が飛んで襲いかねない。
俺は無視して掃除を続けることにした。
「えーいっ!!」
「ちょっとぉ、何を投げ入れた……っ!?」
掃除した場所に何かが落ちる音がして、拾おうとして固まった。
ピンク色のレースが入ったブラジャー……先ほどまで直美が身に着けていたものだ。
反射的に直美のほうを見るとワザとらしく両腕で胸を押さえて俺にウインクしていた。
「イヤン、エッチぃ~」
「あ、あのねぇ……」
口で文句をつけながらもどうしても手元にあるブラジャーに目が行ってしまう。
手のひらから仄かなぬくもりが伝わり、軽い香水か何かの匂いがしている。
「あららぁ~興味津々じゃ~ん……そっちはサンプルとして好きに使っていいよぉ……」
「な、何がサンプルなのっ!?」
「おっぱいの~……それでしたくなったら一万円で本番コースをご予約ください、電話番号はぁ~……はうっ!?」
調子に乗って自分の携帯番号を口にしていた直美にブラジャーを投げ返して窓を閉じた。
「……っ!!」
窓の外から声が聞こえるが無視して俺は掃除に戻る……前にブラジャーを握っていた手を顔に当ててみた。
香水の匂いに交じって何か、とても良い匂いを感じた。
更に舐めようとして、ぎりぎりで落ち着くことができた。
(……はぁ……俺はどうしようもないなぁ……)
頭を振って今度こそ掃除の続きに取り掛かった。
『ピリリン』
何か画像データが送られてきたようだ。
差出人は……直美。
嫌な予感しかしないが開いてみて……指で乳首だけ隠した直美の自撮り写真がドアップになる。
(っ!?)
胸の谷間と、股間を包むピンク色のレース入りパンティに目がくぎ付けになる。
『ワンクリックしたことで契約が成立しました、後3時間以内に昼食を振り込まないと大変なことになります』
物凄く安い詐欺だ。
こんなのに逆らえる奴がいるだろうか。
俺は掃除を諦めて昼食代を下ろしに近所のコンビニに向かうのだった。
『振り込みが遅かったので利子が追加されます……アイス大福買ってきて~』
(文章考えるの飽きたんだな……)




