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5.即、死からその日暮らし

 採取品を抱えて村に戻ってみると、まだ陽は高い。もう少し採取をしていたかったが、持ち切れなかったのだ。素手で運ぶしか手段が無いのでやっとこなんだ。


 村に着いたので早速オルタさんのところに行こうと思う。他にやることも無いから換金だよ。


「こんにちは~。シンです。オルタさんいますか?」


「はいよ。いるよ。ちょっと待っとくれ」


 奥で何やらゴソゴソやっていたようで、暫く立ってからオルタさんが現れた。


「今、ちょうど薬草を磨り潰していた処でね。なんか採れたかい?」


「ええ、キリュウ、ムカ、ダダが5束。サロメは4枚です。あとヨウ茸が1つです」


 オルタさんがどれどれとい感じで検分に入るからちょっと焦る。何も考えずにただ採って来ただけなのでまさか検分されるとは思わなかった。採取は体が勝手に動くので気にしていなかったんだ。


「うむ。流石はエルフと言ったところか。キレイに採れているね。ヨウ茸はまあ大きい方だね。150ってところか。合わせて348リュームだよ。お金が良いかい? 他の物が良いかい?」


 1日働いて348リュームって日本円だと348円そのままなんだよね。厳しいな~。他の物価も安いだろうから一概には言えないけど大丈夫かな。


「じゃあ、ズタ袋と水筒それに小袋をお願いしたいです」


「中古で良いよね? ズタ袋と小袋は10でいい。水筒はこれなら40、いや、38で良いよ。食料なんかは良いのかい?」


「あ、オルタさんのところでも良いんですか? じゃあ、お塩を少々と食材は、イモか黒パンありますか?」


「はいよ。イモは10個で20リュームね。黒パンは1個10リューム。塩はこの塊で100リューム」


 塩はやはり高かった。ビー玉くらいの塊で100リュームだ。さて、塩は確定として残りは……。


「じゃあ、塩と黒パンは4つ、イモは20個下さい」


「じゃあ、これね。はい、120リューム。干し肉もあるけど、まだ早いかい?」


「ええ、高いでしょ? もう少し採取が軌道に乗るまでは手が出ないですね」


「だろうね。キリュウ、ムカ、ダダはもう少し引き取れるけど、あまり多くても困るね。今日と同じくらいまでにしておくれ」


「はい。他は適当でもいいですか?」


「そうだね。特に足りない訳じゃないから、色々織り交ぜてちょうだい」


 さて少し加工をしておかないと、このままじゃ厳しい事になりそうだ。今のところ前世の記憶はほとんど役立たず。知識の泉での常識が命綱だ。


 森で暮らすエルフの知識は役に立っている。お陰で簡易的な武器も作れるし、採取も出来る。これ知識の泉さんが無かったら詰んでたんじゃないだろうか。


 今日も辛かった。水なしで採取を1日中とかどんな拷問だよって感じだ。水筒を買えたことが本当に大きい。ズタ袋があれば採取をもっと増やせるだろうし、問題は引き取れる量か。


 帰り際オルタさんが何か言いかけたが、そのまま首を振ったので辞去して村長の納屋に戻った。荷物を納屋の片隅に置いて、ズタ袋を持って薪集めに行く。


 今日明日分くらいの薪を集めてからチルの蔓をどうしようか考える。自分で煮出すには鍋が1つしかない。それも借り物なので流石に食材以外は憚れる。


 オルタさんに相談してみよう。薪を抱えたまま、もう一度オルタさんの家を訪ねるとちょっと嬉しそうだった。


「おや。どうしたんだい。何か買い忘れたのかい?」


「えーと、チルの蔓から繊維を取り出したいのです。鍋が無くて……」


「ああ、そう言う事かい。ふむ。なら半分くれるなら、あたしがやってやるよ。どうする?」


 まあ、選択の余地はないかな。自分で出来ない段階で報酬と引き換えにしなければならないんだから大分おまけしてくれたと思うし。


「すいません。お願いします」


 チルの蔓を渡して、薪を抱えてまた納屋に戻る。次は水汲みだ。火を熾す準備をして共同井戸に向かう。この時間だとまだ奥様方と鉢合わせすることも無い。


 水をいっぱいに汲んでから、また火を借りに行く。あとは待ちだ。この間にシーナの木を加工して弓を作る準備をしよう。


 シーナの木を何分割かして、薄板に加工する。それを重ね合わせて行き持ち手部分を厚く端の方は棒状のまま仮に固定する。


 おおよその形状を決めて曲げ加工をを施して行く。地面に何本か杭を打ってそこを利用して曲げを行う。大きく曲げる場合には火で焙りながら曲げて行く。


 大まかに曲げたところで重ね合わせ結合部をしっかりと固定し、地面の杭にあてがいぐっと力を入れて最後の杭を打って固定しておく。このまましばらく放置だ。


 成形がしっかりと馴染むまで固定しておく必要がある。次は槍だな。大雑把に削っただけなので皮を剥きしっかりと棒状に加工する。石附側には穴をあけすり割り加工を施しておく。


 ここで取り出したのが、採取中に拾ってきた黒曜石。こいつを大まかに割って少しづつ他の石と磨り合わせながら削っていく。目標は六角錐だ。他端はやや薄い板状、すり割りに挟んで固定する部分だ。


 黒曜石の加工はちょい時間がかかりそうだ。いくらキレイに割れやすい黒曜石でもその後の研磨には時間がかかる。


 おっと、そろそろ湯が沸くな。鍋を火から降ろしてコップで一杯飲む。やっぱり美味い。朝飲んだだけで後は水分補給なしだからな。


 湯が冷めるまで、黒曜石の研磨を続ける。湯が冷めたところで、一旦研磨を止め、水筒を一杯にしておく。これが明日の飲み水だ。


 再度共同井戸で水を汲んで来て火に掛けておく。今度はイモを煮るのだ。ふふふ。今日は3個食べちゃおうかな。

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