24.事情聴取?
ミーシャとシャーラに風呂場で色々されて、もちろんされただけじゃないぞ。俺だって既にオルタ姉さんに鍛えられてる。やり返したさ、もちろん。ぬふふ。
「ふ~。やっぱり幼子は心と体のバランスが整っていませんね。でも大丈夫ですよ。幼子の粗相を処理するのも年長者の仕事ですから」
「ああ、そうだぞ。それにしても近年稀に見る……だぞ。二人係りでどうにかとかお前ならエルフの少子化もどうにか出来てしまうかもしれんな。あっはっは」
何てことを宣うが、デレてる。デレてるよね? 湯船に浸かりながらもしな垂れかかって来てるし、手もわさわさ動いてるもん。
「まあ、これで俺が一人前の男であることは認めて貰えるよな?」
「? 何を言ってるの? 幼子にはありがちですよ?」
えーー! エルフってどうなってんのよ。子作りしちゃったのよ? ……あっ、知識の泉発動した。エルフが淡白なのは年のせい。若年時はそれなりに性欲もあり、その時に子作りを行うらしい。
……異文化だな。基本的にこの世界の人間は自由奔放な傾向にあるが、エルフは特に若年時にその傾向が強いのか。
と言う事は逆に幼子であることを証明した感じか! 仕方ないじゃん高校生の男子なんてやりたい盛りなんだから。それもエルフなのでちょー美人なんだよ。
程々温まったところで、風呂から上がったが、これまで以上に甲斐甲斐しい。2人を両腕にぶら下げてリビングに戻ったが、先ほどの北方エルフが食事の準備をしてくれたようだ。
「もう上がったのか? ちょうど食事の準備も出来たところだ。思う存分食べなさい。育ち盛りなんだからな」
俺の腕を引っ張って、早速席に着いたところでシャーラが俺に食事をさせようとする。
「そら、ここに座ろう。どれが良い、シン? これ何か美味そうだぞ。俺が食べさせてやろう。アーン」
くっ。アーンは初めての経験だ。意外と照れる。モグモグ、まあ、こんなもだろう。美味くも無く不味くもない。この世界食文化の発展が今一つだ。
オルタ姉さんの料理もよくよく考えれば、美味くも無く不味くも無い感じだったしな。その前に食べてた物が酷過ぎたからまともな食事だけで感激したものだよ。
「それで、お前達がそんな状態と言う事は、幼子確定だな?」
「ええ、凄かったですよ。2人じゃ、ちょっと保ないかもしれません。シルエラも今度お願いしますね」
「うむ。仕方ないだろう。幼子が暴発するのを抑えるのも大人の務めだ。今はお前達が発散させたのだろう? だから話の後でも良いだろう。それにここは『女神の園』だ。他にもたくさんいる」
「おう、それは俺達も考えたさ。でも子を儲けられるのは俺達だけだろう? そろそろ一人くらい作っても良いかと思ってな。シルエラもまだだったよな?」
なんの話をしてるんだ。俺はまだ親になる気は全然ないぞ! さっさとここを抜け出さないと種馬扱いされかねん。
「うむ。まだだが、それは置いておこう。さて、まずは自己紹介と行こうか。私はクラン『女神の園』のクランマスターのシルエラだ」
「俺はシンだ」
クランマスターだと! ならこいつが代表か? 一通り周りを見回すと龍人族、獣人、魔人族と色々な種族がいるが、スペルユーザーはこの3人とあと数人だ。
「このクラン『女神の園』は私達3人で作ったんだ。最初は小さなクランだったが、日を追うごとに女性冒険者が参加してくれてな、今の様になった」
「そうだぞ、今じゃ、この街でもかなり有力なクランなんだぞ」
「ええ、だから何の心配もいらないわよ」
「と言う事だ。それでシン。どうしてこんなところに幼子がいる?」
……さて困ったぞ。俺は似非エルフだ。正直に言っても信じてもらえる事は無いだろう。かと言って適当な話をでっち上げても結果は同じだろうな。程々真実を話しておくか。
「俺はエルフの里の記憶はない。気が付いた時にはこの街と第三拠点村の間の街道に居た。それ以上を聞かれても答え様が無い」
「……記憶が無いのか……?。 親御さんの記憶はどうだ? 名前は覚えていたのだろう?」
「無いな。自分がエルフである自覚も薄いと思うぞ」
「自覚……もないのか。これ……は? 時々聞くあれか? 神々の気まぐれと言うやつか……」
なんだよ。そんなのがあるのかよ。心配して損したな。ちょっと待てよ? この話の流れは不味くないか? 保護者が居ないと暴露したようなものだぞ!
「ここで、世話をと言いたいところだが、ここはクラン『女神の園』だ。女性限定なんだ。このクランに迎え入れることは出来ない」
「ええ、そう言う事にしてしまったわね。どうしましょう? そうだわ!! 別にクランに参加しなくてもいいじゃない!? 面倒だけ見ても……って言う訳にもいかないか」
「ああ、クランの維持経費はクラン員の稼ぎで成り立っているんだ。それを俺達の意向で使う訳にも行くまい」
「待て待て。俺はクランに入るとか言って無いぞ。今は若干苦しいかも知れんが何とかやっていけると思う。放っておいてくれ」
「「「……」」」
なぜそこで黙る! そうだ、ここで断固とした意思を示すためにも出て行けばいいんだ。500リュームも出せば宿にも泊まれるだろう。そうしよう。
俺は決心をして立ち上がろうと思ったんだが、両腕にはシャーラとミーシャがぶら下がっていたんだった。動けん!
「仕方ないな。今日くらいは良いだろう。部屋を用意する。止まって行きなさい。後の事はまた考えよう」
――くっ。なんだかお泊りまで決まってしまったが、その時チリリンと涼やかなドアベルの音がなって真っ赤な狼獣人族の女性、カウルが戻って来た。
「おう、やってるな。どうだった? やっぱり幼子だったのか? そうそう、さっきの依頼受注で来たぞ」
なに!? 村の依頼を受注できたのか! 俺ではどうにもならなかったけど気にはしていたんだ。




