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16.街へ①

ブクマ10件達成祝いで2回目の更新です。ビバ!

 村長の所を辞して、俺はとぼとぼと帰って来た。姉さんがえらく遅かった事を心配していたが生返事を返して手に持っていたピットラビットを2羽渡す。


「おやまあ、弓も無いのにピットラビットを仕留めて来たのかい。凄いじゃないか。肉はまだあるから売っちゃいな。捌いといて上げるよ」


「ああ、うん。ありがと。それとこれ採取してきたから使って」


「へぇ~。今回は大量だったね。茸も木の実もあるじゃないか。どれ計算してみようか」


「ううん。それは姉さんが使ってよ。お世話になってるからそのくらいはさせてよ」


「おや、殊勝な事を言ってくれるね。うーん。じゃあ、薬草は頂くよ。茸なんかは良い値段だからちゃんと買い取るよ」


 6000リュームオーバーとは言え、せいぜい中学生の小遣い程度しか持って無いんだよな。偉そうなこと言ってる場合じゃなかった。


 ピットラビットはご近所さんで買い取って貰い1羽400リュームでした。ドゥードゥーの半値にしかならなかった。


 肉の量が少ないのが原因です。一応毛皮も売れたけどこれまた小さいから数ないとダメらしい。特に槍による大穴が安くなった最大の原因だった。


 茸とかと合わせて1273リュームの収入だ。今日は収穫があるとは思わなかったので臨時収入だな。ブラウンベアとニアミスした割にはいいんじゃないか?


「そうだ。姉さん、今日はブラウンベア……だと思うのと接近遭遇したよ。ちょっと注意がいると思うよ」


「シン。アンタ何ともなかったのかい? よく無事で済んだね」


「たまたま風下だったから、気付かれずに済んだんだよ。こっちも息を潜めてひたすらちじこまってたからね」


「そうかい。まあ、気にしててもしょうがないさ。その内なにかとは必ず遭遇するのは分かってたんだからね」


 ふむ、そういうものか。そりゃそうか森の奥へ奥へとドンドン切り開いて行ってるんだから必ず強敵と遭遇するのか。この次は魔物の可能性の方が高いんだしな。


「でもこの村じゃ、ブラウンベアだって強敵だろ? どうするんだ? こういう場合」


「そりゃ、代官様に泣きつくさ。領兵を出して貰うのが一番いいけど大抵は冒険者に依頼を出して終わりさ」


「なるほど。それで冒険者達も養うのか」


「まあ、そうだね。いざとなった時に居て貰わないと困るから普段からそこそこの養い賃代わりの依頼を出すんだよ。と言う事で税金ならぬ集金が近々あるだろうね」


「うへぇ~、金取んのかよ」


「心配しなさんな。あんたは村の一員じゃないから取られやしないよ。それにこの村は補助金も出るし、材木も売れる、そして何より税金が無いんだ。みんなそこそこの個人資産を持ってるんだよ」


「そうなのか? 俺はてっきり貧乏村なのかと思っていたんだが……」


「まあ、貧乏村なのは確かさ。みんな裸一貫からここまで来たんだからね。猟師、薬師、鍛冶屋、大工みたいな職人集団だけは、もともと道具類が要るから資産を抱えたまま来てるけど、他は補助金で斧を買うくらいに金を持って無かったね」


 大丈夫なのかね? 俺が気にしてもしょうがないか。明日には村長がなにがしかの対策をとるだろうし、俺もちょこっと手伝うくらいなら許容範囲だろう。


 明けて翌朝、夜に3人、朝に姉さんの相手をしてから村長宅の前にみんなが集まっているので俺達も集合した。


「みんな、聞いてくれ。はぐれエルフからの情報だ。どうやらブラウンベアと遭遇したらしい。代官様に連絡を入れるが、恐らく臨時の補助金10000リュームが出るだけだろう」


 ざわざわと村人たちのざわめきがするが、混乱すると言う事も無かった。


「ここが第一の正念場だ。1家あたり1000リューム徴収する。これでFもしくはEランクが来てくれるだろう。斃せればよし。斃せなくとも今度はギルドが適性を考えてくれるだろう」


 なるほどね。2度目の失敗は流石にギルドも許容できない訳か。信用問題ってことだな。もう少し金を積めば確実にEが来てくれるだろうに、そこはケチるのか。いや、この次を考えてるのか?


「今日より伐採は一時中止だ。男衆は柵の強化と逆茂木の強化を図るぞ。女衆は子を連れて避難訓練だ。それとシン。お前には伝令を頼みたい」


 ほえ。伝令? なんだ?


「お前さんから金を徴収する訳にもいかんから、それに手が空いてるのが居るなら好都合だろう? 街まで走って欲しい。この木簡を持って行けば、街に入れるはずだ。代官様に渡して対策を立てて貰ってくれ」


 そう言う事ね。本当なら村の誰かが走る事になってたんだな。一人分浮くってことか。俺もただで街に入れるから万々歳だな。


 思わぬところで街に入れる事になったよ。まあ、金を稼いでいたのが無駄になる事は無いけどもう少し早くイベント発生してほしかったな。


「一応言っておくが、戻ってくる必要はないぞ。そのまま街で暮らして行くかまた旅立つかはお前さん次第だ」


 ……なるほど。厄介払いも兼ねてると言う事か。ちぇっ! 結構貢献してたつもりなんだが、女衆に手を出してるのがバレてるのか?

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