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11.清算します……街は遠し

 アタックボアは順調に捌けていった。ドゥードゥーも800リュームの値が付いたところだ。ちょっと値の張る後ろ脚の肉は1本をそのまま俺が持ち帰り、1本を村長が引き取った。


 アバラ肉や腰の肉などは小分けにされて売り捌いた。これは結構な値段が付くかもしれないと期待が膨らむ。……総額6480リュームとなった。前脚と後ろ脚がそれぞれ1本づつ足りない状態でこの値段だ。


「村長、槍の穂先の代金だ。受け取ってくれ」


 儲けた金で直ぐに借金を返しておく。この世界借金は非常に危険だ。奴隷制度があるためあっという間に奴隷落ちしてしまう。落ちるのは簡単だがそこから抜け出すのは容易ではない。


 なので常に身綺麗にしておく必要がある。奴隷とか勘弁してほしい。買うのは良いが自分がなるのは絶対嫌だ。まあ、買う金は無いんだけどね。


 サナちゃんにも恩は返したし、残りの恩はオルタ姉さんだけど、これはちょいと返せる程度の恩じゃないな~。


 それでも金銭に直すとしたら、宿代で500リューム×3、食事代で40リューム×9、娼……げふんげふん。これが高いだろうな~。1回10000リュームくらいかな? 回数分からないや。だって若いんだもん。


 と言う事で金銭での返済は不可能と判断します。気持ちで返すと言うのはだめ? まあ、ゆっくり返して行くよ。姉さんも急いで返してほしい訳じゃないだろうし。


 それで俺の手元には6000リューム以上の現金が残った訳だが、街に行くにはまだちょっと足りないかもしれない。


 通行税が1000リューム、ギルドの登録料が3000リューム、宿は安いところでも一泊500リューム、食事が40リューム×3、最低でも解体・採取用のナイフが一本要る。


 今は姉さんに借りているけど、街に行くなら自分用の物が要る。3000リュームってところかなと思っている。


 鉄はやっぱり高い。仕方ないんだけどね。鉱山での鉄鉱石の採掘や高温炉が必要な事、またその技術や燃料を考えるとどうしても高いよね。


 もう少し稼がないと街には行けないだろうな。出来ることならもう少し余裕を持って行きたいところだ。ではどうするかと言うとやっぱり稼がないといけないんだよね~。


 まず稼ぐには需要が無い採取は無理だから肉。肉を捕るには狩猟が必要で狩猟するには道具が必要と。道具と言えば弓。壊れちゃったんだよね~。とほほ。


 槍でアタックボアとは言わないけどウサギとかネズミなんかはどうだろう? ……無理だな。弓が要るよ。となるとシーナの灌木を探さないといけないのか。


 この前は都合よくあったけど、探すとなると見つからないのが常なんだよね。仕方ない明日は、お金にならないけど採取だな。


「おーい。シン。そろそろ帰るかい? いい処の肉も手に入ったし今日はご馳走作ってやるからね」


「うん。姉さん。水汲みは? 薪は?」


「うーん。今日は大丈夫だと思うよ。昨日だいぶ頑張ってくれたからね。一日くらい休んでもいいさ」


 よろよろと立ち上がって、姉さんの後に続く。アタックボアの後ろ脚の肉を肩に担いだ姉さんが鼻歌交じりで帰路に着く。


「お肉っ! お~に~く~♪ 今日の晩御飯~♪ 明日もお肉~。ふふ~ふ~ん♪」


 結構お肉は喜んでもらえたみたいだな。そう言えばこの村での猟師って旦那さんだったんだっけ。とするとやっぱりお肉は久しぶりなんだな。


 俺もこの世界に来て初めてだよお肉は! イモか酸っぱめの黒パンオンリーだったな。俺も贅沢言えるようになったか。食えるだけでよかった頃もあったんだよね。


 今じゃ、美味い物食いたいってか。はは……は。進歩してるのか? ……微妙だな。でも今日はお肉だ。素直に喜んでもいいだろう。


「姉さん。今日はどんな料理にするの?」


「もちろん、シンプルに焼き! お肉と言えば焼肉! だろ?」


「「ステーキ!!」」


「あっはっは。ハモッた~」


 部位的にはステーキと言う感じじゃないけど、焼くと肉から連想するとステーキだよな! でも牛みたいな平らにするんじゃなくてブロックに串を入れて直火で焼くみたいだ。


 おお、直火の旨味! 聞いたことある。中華なんかで中華鍋を振り回すのは鍋から飛び出た食材を直火に当ててるらしい。嘘か本当か知らないけど。


 プロがジャッジャッとかき回したチャーハンおいしいもんな。この世界生きるのが大変だからか料理までは文化がまだ発展してないんだよ。


 正直今までは食えるだけ良かったんだけど食えるようになったら、不味いんだよな。黒パンとかその代表だろ。まあ保存優先で作るからなんだろうけど硬い、酸っぱい、不味いの三拍子。


 塩も高いからか使用量は少なめで―塩分控えめで健康にいいのかもしれないけど、薄いんだよ。味が! もうちょっと効かせてほしいと思うけど自分で作る時も塩をケチるから気持ちは分かる!


「すっげー楽しみだな。これでパンが白かったら言う事無いよ」


「ふふん。普段なら黒パンだけど、今日はみんなパン焼くと思うね。あたしもちょっと行って来るからお留守番してな」


 何やらさっきから捏ねていたパンの元を持って竈のある処に出かけて行っちゃった。おお、俺が来てから初のパン焼き!


 パン焼きは薪をたくさん使うから週に一回まとめてみんなで焼くらしい。そうすれば竈を温める作業が一回で済むからなんだって。


 結構薪が豊富なこの村でも薪を節約してるあたり燃料代は馬鹿にならないのかもしれない。水を沸かすのにも必要だしね。


 さてさて焼き上がりが楽しみだ。

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