表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/51

第34話 ユージン商会とBBQの準備と

水着を買いに行った女性陣。山波はユージン商会に向かう。

ユージン商会が驚きの援助をしてくる。その援助によってパルメの行動が

果たしてその援助とは、そして働くライエの姿。一体BBQはどの方向に向かうのか。


 

 夜が明けかけ、日が昇るまでのひと時の時間。

 夜の空に輝いていた小さな光明が、陽という大きな光明に徐々に飲みこまれていく時間の流れの中、小さな光が最後まで抵抗していた時間に山波は目を覚ました。


 目が覚めた山波が最初に聞いた音は潮騒の音であった。その音は山波の世界と遜色ない。

 昨日の夜は特に気にすることもなく寝てしまったので、その音が新鮮に聞こえている。

 静かな中にその音だけが聞こえてくる。車の発する雑音も聞こえてこない。

 ベッドでその音を聞いていると、アストルが山波の抵抗もむなしくお腹の上に這い上がってきた。


「アストルおはよう。毎回お腹の上に登ってくるのは勘弁してほしいのだが」

『ク~ン(おはよマ)』


 やがてライエも起きて、メンカとリナンも起きだす。

 リナンは相変わらず一旦起きたものの、既に二度寝体勢に持ち込んでいる。

 山波はそれを見ながらアストルをお腹の上から降ろし、半身を起き上がらせて、自分の顔を叩く。


 ベッドから降りた山波は窓際までいき、窓を開き明かりを室内に入れる。


「みんなおはよう」


「おはよう。ゴロウ」


 メンカは寝起きがいい。何の躊躇もなく山波に挨拶する。その一方でリナンは既に二度寝に入リかけている。


「リナンおはよう。朝だぞ」


 山波の挨拶をスルーさせて寝ようとしているリナンをメンカが揺すって起こす。


「おあよう。ゴロウ」


 山波は濡れタオルで、リナンから先に顔を拭く。二度寝防止策である。次にメンカにタオルを渡そうとするが、顔だけこちらに向けてくるメンカの顔を拭く。


 その後、朝食時に全員が宿の食堂に集まり、食事をしながら今日の予定の再確認をする。


「午前中、私は単独行動でユージン商会に行くので、他のみんなは海の中に入れる水着もしくは、相応の格好になるものを買ってきてほしい。着替える場所はあるのでそこで着替えられるので問題はないだろう。まあ、海の中に入らないのであれば普段通りの格好でもいいけど、暑くない格好をしてほしい」


「「「は~い」」」


「ジョルジュとスミレンも浜辺で暑くならない格好で護衛してほしいのだが、問題ないかな?」


「ええ」


「パルメさんは水着の買い物が終わったら付き合って欲しい。食材の購入をしたいのだが」


「そういうことであれば買い物のついでにみんなで買ってまいります」


「そっか、よろしく頼む」


「ライエとアストルは私と一緒でいいかな?」


『がうう(いいっす)』

『ク~(いくマ)』


「よし、それじゃ今は7時半なので、そうだな11時に車に集合ということで」


「「は~い」」


 まだ朝早いので開いている店はないだろうが、街の中を散策していれば開く時間になるだろうと山波は考えていた。


 食後、山波だけライエとアストルを連れてユージン商会があると思われる方向に向かった。


「確かこちらの方向でいいはずなのだが」


「すいません、ユージン商会はこの辺と聞いたのですが?」


「ああ、ユージン商会ならこの先の角を右に曲がればすぐだよ」


「ありがとうございます」


 港町らしい体格のよい女性が答えてくれた。


~~~


「ここがユージン商会かぁ」


 店を開く準備をしているようで、従業員と思われる人たちがせわしなく動いている。

 店の大きさは、意外と大きく正面から見て右側が服や日用品、左が食料品のようである。


 店の前でその様子を見ていたら、従業員と思われる人に声を掛けられた。


「おはようございます、店はまだですが何か急に入用になりましたか?」


 店はまだ開いていないが、融通の利く店のようだ。


「あ、いえ、そういうわけではなくて、旅の途中でユージンさんにお会いしまして、手紙のようなものを預かっているので」


「会頭の? 見せていただいてよろしいですか?」


「ええ、これですが」


「これは会頭の封印! こんなところではなんですので、どうぞ中へ」


 山波は従業員に店の中の商談室と思われる場所に案内された。

 勧められるままに椅子に座って待っていた。


 暫くすると中肉中背の人が現れ、


「お待たせしました、私がこの店の店長のハウトと申します」


「私は、ゴロウ・ヤマナミです。この狼はライエ、熊はアストルです」


 山波はハウトと握手をしたのち、勧められるまま椅子に座った。


「もしかして、フレイムウルフですか?」


「ええ、熊はリトルベアらしいです」


「これが、珍しいですね。リトルベアを見るのは初めてです。手紙を読ませていただきました。このたびは会頭を助けていただいてありがとうございます」


「いえいえ。偶然だったので」


「それでも、旅での病気は一命にかかわりますので」



 その後、いろいろ話をして、


「もし、店の商品で必要なものがあればお安く提供させていただきます」


「ありがとうございます。そうですね。これから浜辺で数人で昼食を作ろうと思っているのですが、新鮮な魚とか野菜とか肉とかありますか?」


「そういうことであれば。今から準備しますので少々お待ちください」


 暫く待っていると、大きな箱に魚や肉、野菜、何かの穀物などが入った箱が持ち込まれた。


「ゴロウさん、これは我々の感謝の印です。どうぞお持ちください。代金は不要ですので」


「いや、流石にこの量は……」


『がうう(はこぶっすよ)』


「そうか? 大丈夫か?」


『がうがう(もんだいないっす)』


「それなら、折角なのでいただいていきたいと思います。ライエの背中に乗るかな?」


「小さな荷車がありますのでそれでお持ちください」


「ありがとうございます。荷車はどうすればいいですか?」


「浜辺に置いておいていただければ、従業員が回収しますので問題ありません」


「そうですか、それでは御言葉に甘えて」


~~~~


 高さ50m幅60cm奥行40cm位の木製の箱に食材がたくさん入っている。それが丁度乗るサイズのリヤカーに乗せてライエに曳かせている。アストルはその箱の上で仁王立ちだ。何やら指示しているようだが、単に遊んでいるのだろう。

 やがて車を停めている場所に到着し荷物を車に入れようと思ったが、箱ごとは無理そうなので個別に収納していった。最初に小麦と思われる穀物については空気抜き可能な大きめの袋に入れ替えて空気を抜いておき、後輪の右側の収納ボックスに入れておく。ここには山波の世界の米も入っている。

 野菜はそのまま冷蔵庫の野菜室に入れておく。常温保存可能そうなものは組み立てたダンボールに入れる。

 ブロック肉は3個入っていたが冷蔵庫に2個はそのまま入れ、1個を取り出し一口サイズになるように切り分けフリーザーパックに小分けしていく。冷凍庫から保冷剤を取り出しそれと小分けした肉を入れていく。これだけでバーベキューの肉は足りそうだ。

 最後に魚であるが既に尾と頭が切り取られていて、それでも木製のボックスギリギリに収まっていた。それを三枚に下ろし背骨の部分はライエに荷物の運びの御駄賃として与えた。

 三枚におろしたそれを真ん中から2つに切り分け4つのブロックに分けそれぞれ袋にいれ冷蔵庫にしまっていった。二尾入っていたので1尾をバーベキュー用としてクーラーボックスに入れた。


「野菜は後で切るとして、バーベキュー用はこれくらいで足りるかな?」


『がうがう(すくないっす)』


「まあ、足りなくなったらその時出すからさ。ライエには一仕事してきてほしいのだが」


『がう?(なんっすか?)』


「リアカーと箱を返してきてほしいんだが」


『がう~ん(わかったっす)』


「浜辺に置いていてもいいらしいが、やっぱり返すのがいいだろ?」


『がうがう(そうっすね)』


「アストルは付いていくか?」


『ク~ン(ここにいるマ)』


「そっか、それじゃライエ悪いがお使いを頼む」


『がうう(いってきまっす)』


 山波はライエが商会に向かった後、さらにバーベキューの準備をしていった。

 焼きおにぎりようにおにぎりをいくつか作り、飲み物の用意などをしておいた。


 やがてライエがお使いから戻ってきた。


 大方バーベキューの準備が終わった後、そろそろ戻ってくるだろうかと待っていたらガヤガヤ騒がしく皆が戻ってきた。





最後の行、「大方」がいいのか「粗方」がいいのか?

またまた台風です。皆さんお気を付け下さい。

2話続けてアップさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ