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第25話 湖の畔(ほとり)での出来事 後篇

森から何かが現れた。某探偵のように探偵あるところに事件が起きる。

山波あるところに事件が起きる。また某女王の仕込みであろうか?

さらなる驚愕の出来事が山波を恐怖に陥れる。




 森の中から現れたそれは、動く樹であった。

 山波は食虫植物などの知識はあるが、動く樹については初めてみた。

 オジギソウなどは食虫植物ではないが、動く樹に入るのだろうか? などと考えていた。

 うにょうにょと動く枝が異様だなと感じていた。


 暢気な事を考えている山波とは異なり、その樹はその枝で山波が抱えている小熊に襲い掛かろうとした。


 素早く動いたのはジョルジュである。持っていた剣でその枝を薙ぎ払う。

 スミレンが素早く弓を弾き、矢が樹に向かって飛んでいき突き刺さる。しかも一度で数本である。

 ライエがそこに体当たりをして、樹を湖の近くに弾き飛ばす。

 さらにアークトゥルスの炎の矢が10本近く突き刺さる。


 生木に火は付きにくいと言うが、所謂ファイアーアローは別であった。1本が刺さる度にそこから火が燃え広がり、やがて動く樹は炎に包まれていき、樹は絶叫を上げながら燃えていった。


 その様子を見ていた山波は「すごい連携だな」としか言えなかった。

 もっともこの連携は偶然である。


 暫く煤ぶっていたが、やがて樹はボロボロになって崩れていった。


「みんな。ありがとう」

『ク~ンクン』


「それよりもゴロウさん怪我はないですか?」


ジョルジュが山波に尋ねる。


「ああ、私も、この子も無事だよ」


「一体何があった の  で   す?」


 イリスがゴロウに抱かれている小熊を見て、固まる。


「ゴロウ。それはなに?」

「ああ、これはリトルベアの子供らしい」


 山波はしゃがみながらメンカとリナンに小熊を見せる。

 2人は恐る恐る小熊に触れた。小熊も2人の手を舐める。

 

「わ、わたくしにも触らせてくださいまへ」

 折角なのでイリスに熊を渡す。


 初めは50cm位かと感じていたが、実際は70~80cm位あるようだった。


「さて、この小熊はどうすればいい?」

「そうですね。森に帰してあげた方がいいと思います」


 アークトゥルスが皆を代表するように言う。


「そうか、そうだよな。自然に生きるものは自然に帰るべきだ。それじゃさらばだライエ」

『がううがう(えっ? 私? ひどいっす)』

「冗談だよ」


 イリスが名残惜しそうにしていたがこればかりは仕方がない。

 山波は小熊を森の中に放つが、小熊は直ぐに戻ってきてしまう。

 それを何度か繰り返したものの、小熊は山波の後を付いてきてしまう。


「こまったな。森の中に帰ってくれないぞ」

「それでは、従魔登録をしますか? アリオトの村まで行けば従魔の首輪は置いていると思います」


(う~ん、このままでは移動式動物園になってしまう。それにまたあの契約をすると思うと)


「ゴロウさん、その契約私がいたしますわ」


 イリスが声を掛けてきた。


「イリスさんは冒険者登録をされていませんので、従魔契約は出来ません。従魔の首輪を購入することがそもそもできませんよ」


 アークトゥルスがイリスに説明する。


「なら、冒険者になりますわ」

「お嬢様、流石に冒険者になることは無理でございます。旦那さまの許可をもらえませんよ」


 パルメが言う。


「ありがとう。でも、私が契約しますよ。ライエもいますし。1匹が2匹になっても変わりませんし」

「「やた~~~~」」


「首輪を手に入れるまではライエに世話を任せるか。でもその前にシャワーだな。そろそろ出発もしたいし、片付けをみんなに任せてもいいかな」

「「は~い」」



 熊のシャワーについて流石に分からないので、今回は取り敢えずライエのシャンプー使って汚れ等を落とした。

 やがて片づけを終えた皆が車に戻ってきた。


 山波は小熊をメンカとリナン、ライエに任せることにした。イリスもその中に混ざっていった。


「それでは出発するよ」


 山波は小熊に夢中の皆に一声かけてから車を発進させた。


 車は湖までの脇道を戻り。街道に出てからアリオト村を目指すことになった。


~~~~


 アリオト村に到着したのは17時前であった。

 陽は漸く沈みかけているところであった。

 イリスたちは自分たちで宿を確保するために一旦別行動になる。

 パルメに首をつかまれていたイリスがいたが見なかったことにする。

 

 他のメンバーは先ずギルドに向かった。

 この時間帯のギルドはどこでもそうであるが一番混む時間である。

 朝、依頼を受けて、夕方戻ってくる。暗くなる前に戻ってくるのが冒険者として普通の事である。

 もちろん数泊、泊りがけの依頼もある。


 漸く山波の順番になる。


「いらっしゃいませ、初めての方ですね。どのようなご用件でしょうか?」


 ギルドの受付の女性が1日の終わりにもかかわらず、笑顔で対応してくれる。


「従魔の首輪が欲しいのですが?」

「従魔の首輪ですか? ではタグを見せていただけますか?」

「はい」


 山波はいつも通りに首から下げているタグを取り出し受付に見せる。


「確認いたしました。ゴロウ様、こちらが従魔の首輪になります。金貨2枚はタグから引き出してよろしいですか?」

「ええ、それでお願いします」

「従魔登録にはギルド職員の立ち合いが必要になりますが、いつ登録されますか?」

「ああ、いまやろうかと思います」

「そうですか、では少々お待ちください」


 やがて先ほどの受付嬢が皆がいる席に現れた。

「アリオト村のボイスといいます、それで従魔になるフ、フレイムウルフ?」


 全て言う前にライエが目に入ったボイスは一歩引いていた。


「ああ、このフレイムウルフはすでに従魔契約してます。今回はこの小熊です」


「あ、し、失礼しました。えっ? もしかしてリトルベアーですか?」

「どうやらそのようです」

「は、初めて見ました」


「そうですか。やはり珍しいのですね」

「ええ、とても」

「ほら、さっさと初めないと」


 アークトゥルスが声を掛けると、


「え? もしかしてアークトゥルス様? ですか? もう100年の刑期を終えられたんですか?」

「だぁれも、刑なんて受けてないわよ」


 アークトゥルスが額に青筋で十字が浮かべて、ボイスをにらむ。

 この時、ジョルジュやスミレンは女王を思い浮かべた。


「あ、失礼しました」

「初めていいかな?」

「あ、はいどうぞ」


「それじゃ血が必要だから少し切るね。まず私から」

『ク~』


 山波は自分の指にナイフで傷をつけ、その血を従魔の首輪の宝石に垂らし、続いて熊の足に傷をつけその血を宝石に垂らした。

 そして、首輪をつけて、名前を決める。


「前から決めていたけど、名前はアストルだ。よろしくな」


『ク~(よろしくマ)』


「よし、これで完了だ」


 こうして2匹目の従魔契約を済ませた山波達はギルドを出て今晩泊まる宿を確保するのだった。


夕食は宿屋の食堂で行い、明日からの予定を決めた。


「食事もしたし、さて寝るかな」

「「はーい」」


 山波は自分の世界で買ってきたよく眠れる薬を飲んでいる。

 この薬を飲めば熟睡が可能だ。成分は風邪薬に入っている一般的なものである。

 山波がドラッグストアに立ち寄ったのはこのためである。


-------------------


 ???「え?なんでそんな薬を用意しているのよ」

 ???「まさか、今後宿に泊まる度に飲むんじゃないでしょうね?」

 ???「車に泊まると障壁があるから夢を見させることもできないし」

 ???「何とかしないと……」



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アークトゥルスは100年の刑罰を受けたと思っている人もいるようですね。


この後しばらく間が空きます。

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