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第2話 異世界で最初に遭遇したのは定番の方

一週間の講習を終えようやく異世界を旅することができるようになった山波。

異世界で定番のあいつがいきなり山波を襲ってきた。

山波は無事この難関を乗り越えられるのか!!




 一週間の講習で何をしたかの詳細は機会があるときに説明する予定であるが、簡単な講習と聞いていた山波はとても簡単ではないと後悔しながら一週間を過ごした。

 講習の結果について簡単に箇条書きと補足で説明すると。


 1.こちらの世界の文字の読み書きができるようになった。それにより身分証明のタグの内容も読めるようになった。


 タグに書かれていたのは

 ------------

 所属:天の川銀河 太陽系 第三惑星(地球) 日本国所属

 種別:人族

 名前:ゴロウ・ヤマナミ

 タイプ:特S

 ------------

 であった。



 2.魔法が使えるようになった。ライター代わりに火を出したり。水を集めたり。汚れを浄化したり簡単なことができるようになった。


 3.車の改造で車の周りに障壁が展開され、車の燃料は周囲の魔素を電力に変換し充電される。よってガソリンで発電の必要はなくなった。


 4.身を守るため武術(主に剣術)を使いこなすことができるようになった。また、以前よりはるかに体力が上がった。


 ちなみに魔法や車の障壁、魔素-電力変換などはあくまでもこちらの世界にいるときのみ機能し、元の世界に戻ると機能しなくなる。魔法も同様である。



 山田によると、タグ(身分証明)はこちらでのパスポートなので、村や町、城下街などに入るときはこれを見せればよく、国に入国するときもこれを見せるだけで通行可能になる。

 特Sについては特に説明はなく、まくまで地球から行く人(現地の人は旅訪者と呼ぶらしい)はみな特Sとのことあった。


 魔法については、この世界にいる間だけ魔法が使えるということで、イメージで魔法を使えるようになった。

 山田によると、元の世界で魔法が使えない地球人族はこちらの世界で強大な魔法が使用できるとのことで、講習をうけることで実際に使用することができた。しかし、地球にある文明の利器の方が便利だということが分かった。火の魔法よりライターで火をつけるほうが当然効率がいい。

 しかし、清浄魔法などは便利だ。車の排泄物除去などが簡単にできるし、水の魔法では車の水の補給も楽にできる。


 それ以外では車の改造がされた。見た目では分からないが、車の周囲1.5mに魔力によるAI障壁が展開されてるようになった。山波以外が近づくと弾かれ静電気に弾かれたようになる。魔力なのにAIとはなんなのか。山波が許可すれば許可された人は車に障壁の影響を受けない。村などに入るときはAIが自動で展開される障壁のサイズを調整する。ファジーよりも確実に進化しているAIである。


 武術については説明不要だろう。所詮平和ボケした52歳のおっさんだが、ブートキャンプ中は筋肉痛などが起こらず体を鍛えられた。

 それだけではない、この世界は魔物という生物がいるとこことで、身の危険もあるので最低限の技能は必要と言われた。いざとなれば車に入れば安全である。また、山波自身にも防御魔法が常時展開されている。

 それでも、ブートキャンプで体を鍛える前と今では全く違う。普通に腹筋が割れているのが分かるようになったのである。

 身を守るためということで、チタン製の防刃ベスト類、同じくチタン製の伸縮タイプの特殊電磁警棒を必需品一覧参考にして元の世界で購入している。


 一週間かけてこのような講習、訓練、そして車の改造が行われた。改造については後で知った。

 一週間でそんなに簡単に読み書きできたりできるわけないだろうと思っていたが、吉田に飲めと言われたジュースにはナノマシンが含まれており、それらが吸収されることで知識、体力を向上させ、結果として一週間で対応できるようになった。年齢が若い人ほどその期間は短くなるのだが、52歳ということで予備を含め一週間の講習期間を確保したということであった。


 魔法について淡々と書いているのは、いろいろそういう小説を読んでいるからであるが、思ったよりも地球の文明の利器が便利だからである。初めは驚きがあったことと、調子に乗ったこと(その辺りは察してほしい。今は52歳でも若いころは左腕に暗黒竜が宿ったりしたものだ。)で浮かれていたが、現実に戻るって見ると大したことはなかった。便利な手品程度しかなかった。



===================


 そうして一週間が終了した山波は、山田から講習完了証書、地図等をうけとり。キャンプ場を後にした。

 そして、出発してからかれこれ1時間ほど車は道なりに走っている。

 左右は森林、路面は舗装されておらずただ堅いだけであった。


 講習完了証書とともに受け取ったこちらの世界の地図は3枚になる。

 1枚は世界全図で残り2枚がやや詳細の地図である。それらは写真に撮影してカーナビデータとして取り込んでいる。

 カーナビ自体もGPSがないので使用できるのは地磁気と距離メーターだけになる。それでも無いよりはましである。

 平坦な道とはいえ舗装されていない、そのためオフロード用タイヤを装着した四駆とはいえ速度も55km/h前後程度しか出していない。

 こちらの世界(ガクルックスという)では主な移動手段は徒歩、もしくは馬に似た動物、その動物に曳かせた所謂馬車が主なものである。なので55km/hは通常の馬車の3倍以上の速度になっている。


 山波はそれからしばらく走り、地図を見ると村のマークまで道として残り半分くらいに差し掛かったところで車を道の左端に停めて休憩をすることにした。

 道と言ってもガードレールなどなく、当然舗装されていないので白線などは描かれていない。

 馬車は基本中央を走り、すれ違う時は左側に寄せて譲り合うのが基本である。山波も講習で習っている。


 エンジンは切らなくても、周囲に魔素がある限り自動で充電も行われるので気にしなくてもよいようだがエンジンは停止されている。魔素メーターをみると70%を差している。魔素メータはこの周辺の魔素の濃さを示している。電力変換効率は65%と表示されている。

 山波のキャンピングカーは、ソーラーパネルも設置されているので、もちろん明るいうちはそこからも電気を作っている。しかし、こちらの世界では主に魔素変換で電気が充電されている。


 運転席横から後ろのキャビンに移動した山波は冷蔵庫から氷と2Lのレモンティーを取出し、ステンレスボトルに氷を入れた後レモンティーを入れ、残ったものは冷蔵庫にしまい、ソファーで寛いでいる。


「地図を見る限り、村までは80km位かな」


 車と同期しているタブレット端末で地図を眺めて一人屹る。

 もらった地図には縮尺など書かれていないので距離など全く分からないが、講習地点からここまでがメーター読みで75km、それで残り半分くらいなので残り80kmだろう。

 もっとも、カーナビの縮尺も適当に設定しているため、村に着かなければ地図と走行距離が正しいかもわからない。


 特に急ぐこともない一人旅なのであわてることもない。ゆっくり楽しめればいい。どのみち2週間は地球に戻れない。

 休憩を終え、運転席に戻った時、影が車を覆い目の前にそれが降りてきた。


(えっ!怪獣?)


 車の前にそれが降り立った。まさに映画に出てくるような巨大な翼をもつ怪獣であった。

 見た目だけで言ってしまえは、ファンタシー映画に出てくるドラゴンである。

 巨大な翼、長い尾、翼とは別についている腕、太い鉤爪のある足。全体は美しい濃い青色をして太陽の光を反射している。

 日本での龍はドラゴンとは違う。翼もなく毛の生えた巨大な蛇に4本の脚がある生物というイメージだろう。

 西洋ではドラゴンは翼があり、腕は翼とは別に存在している。まさにそのもの。

 恐竜とドラゴンの大きな違いは、腕が翼と一体のものがプテラノドンなどの恐竜で、腕と翼が別にあるものが西洋のドラゴンであろう。

 地球上では腕と翼が別に存在する生物は、昆虫を除けば天使や西洋のドラゴン、ペガサスなどと言った想像上の生き物に限定される。

 山波は降りてきたものに興味を持った。


「さてどうするべきか、講習ではむやみに襲われることはないと言われたが」


 車には障壁が展開されているので攻撃を受けても問題はない。しかし、実際に襲われたわけではないので本当に障壁があるのか山波には分からない。


(それにしてもよくまあ私は冷静でいられているな。まあこの年だとよほどのことが無い限り楽観視できる自信はあるが)


 などと山波が考えていたら、怪獣が、


『おい、そこの人間』


 と話しかけてきた。低音が山波の腹に響く。それで山波は一安心した。なぜなら話せるなら意思疎通ができるのだからである。


『聞こえないのか!!』


 この車は防御魔法が展開されているから攻撃を受けても平気ではある。だからと言って完全に恐怖を払拭できるものではない。


 山波は運転席の窓を開けて、顔を出して上をみて対応する。楽観視できるとはいえ流石に車から降りるのはためらわれる。


「な、なにかようですか?」

『おお、言葉が通じるな。お主はこの世界の人間ではないのであろう?』

「え、まあ、そうですが」

『やはり旅訪者か。講習というものが終わるのを待っていた甲斐があった。ちょっと尋ねるがお主は、お主の世界の酒を持ってきてはいないか?』

「酒? ですか」

『うむ、酒じゃ。洋酒、日本酒、焼酎、ビール、発泡酒何でもよい』


 山波本人は酒に強くはない。ゆえに大呑ではないが、いくつかの酒は趣味で買っている。

 特に日本酒のラベルを山波は趣味として集めている、また日本酒は銘柄毎に特徴があって楽しい。なのでちびちびと種類を飲むのを特に好んでいる。


(それにしてもやけに酒に詳しいな)


「持ってきていないことはないのですが、私の世界の酒を飲んで体調を崩したりしないのですか?」

『なぁにを馬鹿なこと言っておるのだ、壊すわけなかろう、ドラゴンを甘く見るな」


 本人がドラゴン宣言をした。それにしてもドラゴンである。子供心をくすぐられ、触ってみたい、撫でてみたい。と思うのは山波だけではなかろう。


「1本だけならお譲りできますが、その体ではどうにもならないのでは?」

『ああ、そうじゃちょっと待っておれ』


 そういった瞬間ドラゴンの体が全体に淡く光り、段々と光の中に飲みこまれたと思ったら、薄れた光の中から一人の人間が現れた。


(人間に変化できるのか!!)


 壮年のいい男である。いわゆるイケメンに分類されるだろう。身長は見た目で190cm位にみえ。ローマ人の着ているような服を羽織っている。トーガとかいう服である。


(それにしても本当にいい男だな。まあ、私が男でなければ惚れているかもしれない。男なのでイケメン爆発しろ。と思うことにしよう)


『これなら文句はあるまい』


 と言って車に近寄ってきたところで、バチッと音がしてなにかに弾かれた。


『やはり、防御魔法が展開されていたか』

「ん? やはりというと」

『いまから150年くらい前になるかの、そこにある車、自動車とか言ったか? の人間と遭ってのう。その時それに近づいたら同じように弾かれたことがあった』

「へえ、でも150年まえって……」

『その時に合った人間から酒を譲ってもらってな、その味が忘れられないのだ』

「なるほど、そうだったんですか。でも150年まえってこのキャンピングカーみたいなものはまだなかったのではないかと思うのですが」

『そうだな、乗せてもらったが、もうすこし小さかったな。だが馬車よりも快適だった、三つの板が三角をなしたマークが前面にあったのう』


 ドラゴンは話しながらうんうんと頷いていた。


(というと、1800年後半の車ということはないな。ん? 三つの板が三角をなしていた。あれか?)


「こんなマークでしたか?」


 山波はそのマークを地面に描いてみた。


『おお、そうそう、それじゃ』

「なるほど、これですか。あ、ちょっと待っていてくださいね」


 山波は話がそれたことを感じ、ドラゴンの人?にそういって運転席からキャビンに移動してから、3本ある日本酒のうち1本を手に取った。

 秋田県の日本酒だ。720mlの瓶である。

 左横の乗降口から出て、障壁の外にでてドラゴンのところまで持っていく。


(さすがに、ここまで話して殺されるなどということはないだろう)


「これでいいですかねぇ」

『サイズが小さくないか?』

「私は大呑ではなくて、いろいろな種類をちびちび飲むので一升瓶で買わないのです。申し訳ないです」

『いや、わしこそ無理行ってすまん。それを売ってくれ』


 酒を免許を持たずに転売すると、税務署がうるさそうだが献上には小言で済むだろうと考えた山波は、


「これはお近づきの印として差し上げますよ」

『なに! いや、しかし、それはいかん。金貨1枚受け取ってくれ、それとわしの鱗も1枚わたそう』

「そうですか、え、鱗? あ、貴方がそれでも良いというのであれば。それより名前を聞いていませんでしたね、私はゴロウ・ヤマナミといいます」

『わしはヘラトリックスという。青ドラゴンじゃ』


 山波は自分の名前を身分証明書タグに書かれているように名乗った。

 また日本人なら普通2~3度金銭をお断りするのだが、今回の山波はドラゴンの鱗というものに興味を惹かれてしまったことと、ドラゴンの唐突さに、金貨と鱗を受け取ることにした。

 ヘラトリックスと握手をした山波は酒を渡す。ヘラトリックスはその手のひらに金貨と鱗を載せた。

 と同時に、税務署の事は忘れることにした山波であった。


「ドラゴンって凶暴なイメージがあったのですが、普通に会話も出来て会えてよかったです。でも最初現れたとき驚きました」

『ああ、それはすまんかった。驚かせたようじゃ。もっともゴロウが身に着けている身分証明が特Sだからのう。わしもそうだが、他のドラゴンも下手に手出しはしないじゃろう。そんなことしたら神に罰せられる。それよりもわしはこの日本酒が飲みたいからのう襲うなど、とんでもない』

「そうなんですか。この身分証明の特Sって説明されなかったのでよく理解はしていないのですが。お酒については、今度は大きなサイズのものを数本用意しておきますね」

『本当か!!約束じゃぞ。おおそうじゃそれならこの石を渡しておこう。もし会いたいと思ったらこの石に念じるがよい』

「ありがとうございます。今度ゆっくりとお話もしたいですし。あっ、あと、お願いなのですが今の人の姿と、ドラゴンの姿の写真を撮らせてもらっていいですか?」

『写真? おお、構わんぞあの美しい絵画じゃろ』


 いまの人型の姿の写真を一眼(三脚設置しリモコンで)とスマホの自撮りで撮影し、ドラゴンの姿でも撮影していった。

 ドラゴンに戻るとき日本酒がどこかに消えたが問題ないようである。


(それにしても、写真を美しい絵画と言う事は、此方の世界の時間で最低でも150年以上は生きているということだし、ヘラトリックス氏は前回会った地球人のことをいろいろ覚えているようだ)


「ありがとうございした。それと、ちょっとだけでいいのですがドラゴンの体、触ってもいいですか?」

『まあ、かまわんが、酒の件、忘れるでないぞ』


 山波はドラゴン(ヘラトリックス)の体を触らせてもらった。鱗が固くひんやりしていたが爬虫類とは違う感触だった。

 その後、ヘラトリックス(ドラゴン)は翼を広げると、羽ばたくことなく上昇し上空を一回転して飛び去った。

 山波はその姿が遠くに消えるまで見ていたが、やがて車に戻り運転席に座り、おおきく息を吐き出した。



 ※作者注:山波氏はヘラトリックス氏の体を触ったと書くと、おっさんがおっさんを触るようなイメージの文章となり、事案になりかねないのでドラゴンの体を触ったと書くことにしたとメモで記述が残っています。



 運転席に戻り、手のひらを見ると、そこに金貨と鱗が1枚ずつ乗っている。金貨は吉田氏からもらったものと同じだ。

 鱗は半透明で綺麗な青色をしている。江戸切子の青と言えば分かりやすいかもしれない。

 大きさは手のひらよりわずかに大きいので、20cm位の大きさになる。しかも軽い。


(それにしても、鱗って何に使うのだろうか? 綺麗だが部屋のインテリアくらいしか思い浮かばない。)



 山波はいきなりドラゴンと遭遇するとは思っていなかったが、何事もなかったのでスイッチを入れ車を発進させた。







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閑話1-SideA



ヘラトリックス空中での独り言


 久しぶりの異世界の酒。じっくり飲ませてもらおう。

 それよりも、あ奴、どこかで会った気がするのだがな。

 特Sか他の奴らも下手に手を出さないだろうが、赤ドラゴンはちょっかい出しそうではあるな。

 なるべくそっとしていてくれればいいのだが。折角の異世界の酒のつながりだ。再びなくなるのは困る。

 まぁ、何かあったらその時はその時だの。

 それよりも、久しぶりのむこうの酒にわくわくがとまらん。



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閑話1-SideB


青ドラゴンを見ていた商隊


 美しい青色のドラゴンが空中をくるくる螺旋を描くように回りながら飛んでいくのを馬車で移動中の商隊が見ていた。突然上空に現れたドラゴンに気が付き恐怖を感じていたが、青いドラゴンとわかって安心した。

 青色のドラゴンは身を守ること以外で攻撃をしてくることはない。それを知っている商隊はドラゴンの飛び方に何事かあったのかと考えながら、去っていくドラゴンを見つめていた。



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ヘラトリックスの山波の認識は旅訪者。旅目的でこの世界に訪問している者という意味

この世界独特の言いまわし。

テスト投稿はここまでです。


ゴロウ→山波


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