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第16話 初めてのアルデバラン街

漸くとアルデバラン街にたどり着いた山波一行。

流石にこの街で何かが起こるとは思えない。ゆっくりと街を見学しようと思ったがメンカとリナンの服がない。

アルデバランの街で合う服を探すことにするが、とんでもない人物が助っ人に。無事服を探せるのか?



 

 やっぱりだ。どうやらこの世界の宿に泊まると疲れが取れないらしい。

 なにやら呪われているのだろうか?

 ライエはゆっくりと目を開けこちらを見たが、口を指でふさぐような仕草で静かにするようにして、眠っている2人を起こさないように合図をする。


------



 今日でこの世界で何泊目だろうか?

 山波は1週間は講習、ポルックス村2泊、プロキオン村1泊、ハダル村1泊、アルデバラン1泊。

 つまり合計12泊したことになる。12泊しているのであれば一旦地球に戻れるのではないだろうか?

 まだ寝ているメンカとリナンをライエに任せ、一旦車に行く。


「確かランプが青だったら一旦地球に戻れるはずなんだよな」


 そういいながら車を見た山波は赤かったランプが青に変わっているのを確認した。


「2週間とは言っていたが、12日から1泊で帰れるということだから余裕で帰れるな。よしよし」


 最初に聞いていたことと講習で聞くことには多少の違いはあるが、12日ぐらいから一旦帰れるようになり、地球に戻らない限りその状態はキープされ、地球に戻るとリセットされる。2週間と言っていたのは一旦帰り、再びこちらに戻ってくる魔力がそのくらいで貯まるということだ。貯まり方にむらがあるのだろう。



 部屋に戻ってきた山波はノートを取り出し、必要と思われる物を箇条書きにしていく。


~~~


ライエ

 ・シャンプー、ブラシ、乾燥タイプの餌、フリスビー、骨の形をした何か、犬用ジャーキー


双子(メンカ&リナン)

 ・洋服、靴、下着、帽子、歯ブラシ、絵本


ヘラトリックス

 ・日本酒1升 銘柄は適当、洋酒


日用品、雑貨、食料品

 ・双子用食器など

 ・飲物

 ・米


~~~


 そうこうしていると二人が起き上がってきて、


「「おはようございます」」


「ああ、おはよう」


山波は2人に挨拶をしながらメモ帳を仕舞い、


「食事にいこうか?」

「「はい」」

『がうう(はいっす)』


 食事をしたのち顔を洗い、街へ出かけることにする。

 とりあえず、双子用の必要なものを見て回ろうと考えた山波であるが、手持ちが少ないのでまずギルドに向かい、青ドラゴンの鱗を売ることにした。


 道行く人に、ギルドの場所を尋ねやってきた場所は、村のギルドとは一味違かった。



原文ママ

 建物の大きさが違う。中にいる冒険者の数が違う。受付の数が違う。依頼が違う。ごめんね村のギルドとまた比べている~♪。


※作者注:山波氏は何が書きたかったのか、これではわからない。村のギルドとの違いを書いたのだろうが、音符も意味が分からない。



山波がライエと二人の子供とギルドに入っていくと、いつものように「フ、フレイムウルフ」と言う声が聞こえた。

 それらの声を聞かないふりをしながら空いているテーブルに2人を座らせ、ライエに見張りを頼む。


 人の列が少ない受付に並んだ山波に直ぐに順番が廻ってくる。

 男性と思われるが中性的な雰囲気を持つ人が対応してくれた。


「おはようございます。今日はどのような?」

「すいません。買取をお願いしたいのですが?」

「はい、買取ですね。それで何を買取しましょう?」

「えっとこれです」


 山波が青ドラゴンの鱗を受付に出す。


「青ドラゴンの鱗ですか、珍しいものを拾いましたね」

「拾ったのではなく、本人からもらったのですが」

「へえ、そうですか。……。えっ本人からもらった!!」

「ええ、これがその時の写真で」


 受付の人物がドラゴンと自撮りした写真と、山波を交互にみる。


「も、もしかして、貴方。特Sの方ですか?」


~~ ざわ、ざわ、ざわ ~~


「え? なんでそれを?」

「はい、ポルックス村から至急と言うことで連絡が王都に届き、そちらから連絡が入ってきました」

「なっ、王都?」

「ああ、ポルックス村の受付の人が魔法で王都に連絡したそうです」

「それって」

「えっと、たしか「アークトゥルス?」」

「ええ、そうですね」


 思わず足の力が抜け、受付のテーブルを支えに何とか立っていることができた山波だった。


 その状態で身分証かわりのタグをだし、受付の人に見せた。

「ゴロウ・ヤマナミです」

「なるほど。本当に特Sの人なのですか。最初連絡来た時は冗談かと思ってましたよ。あ、私はコスレオといいます。お見知りおきを」


 といいながら陽気に笑う。


「早速、鑑定させてもらいますが、よろしいですか?」

「あ、はい」


(鑑定ってスキルだろうか?)



 受付の人は受け取った青ドラゴンの鱗を調べていた。

 「おお美麗だ。」「私が欲しいくらいだ。」などという声が聞こえる。

 しかも、宝石を鑑定するようなルーペを使って。


(見て鑑定かよ)


 山波は脱力し、ついつい「そこは鑑定スキルだろ!」と突っ込みたくなった。


 後ろでは、何人かの冒険者が「あれが?」「特Sには見えない」などとささやき合っている。


「お待たせしました」

「どうですか?」

「金貨550枚でいかがですか?」


 たしかアークトゥルスは金貨500枚にはなると言っていた。しかし、500枚+3割増し買取なら、650枚になるはずだ。だが、金貨500枚でも十分多いと思う。


「わかりました。それでいいです」


 1年限定の旅であるし、金貨500枚あれば十分足りて、金銭面で困ることはないだろう。


「それでは、金貨を全てお持ちになりますか? それともタグに預けますか?」


 ギルドに預けても身分証タグを見せることで自動で引かれる。いわば交通系電子マネーのような使い方ができると講習で聞いた。ギルドに持ってくればタグから手数料抜きで貨幣に戻してくれる。


「それでは、540枚分をタグに入れておきます。それと、金貨1枚を銀貨に替えていただけますか?」

「わかりました、それではタグをこちらにかざしていただけますか?」

「はい」


 山波はタグをテーブルの上にある何やら四角い箱の上にかざした。


 チャリ~~ン♪


 聞き覚えのある音がしたかと思うと、


「はい入金しました。こちらは金貨9枚と銀貨100枚になります」


 山波がタグを見ると、新たに金540 銀 0 銅 0と書きこまれていた。


「すごいな。こちらの方が進んでいるんじゃないのか?」

「タグが盗まれても、本人の生体認証ができないと使うことも、引き出すこともできません。タグを無くしても同じものが再発行できますので安心です。ただ再発行の手数料はかかります」

「せ、生体認証?」

「ええ、手をかざすだけでいいんですよ」


(すごい世界だ)


「ただ、使用できる店は限定されますので。街や王都ではほとんど使えますが、村などではギルドで入出金できるくらいですね」

「な、なるほど」


「コスレオさんありがとうございました」

「いえいえこちらこそ、それでは良い旅を」

「え?そこまで知っているのですか?」

「ええ、いろいろ報告は上がっていますので」

「いろいろですか?」

「ええ、いろいろです」

「その内容を教えていただくわけには?」

「それはプライバシーの侵害になりますので無理です」

「これは私のプライバシーなんですが」

「そうですね」


 まるで暖簾に腕押しである。不毛な会話になりそうなので、


「そ、そうですか。ではこれで失礼します」


 山波は戦略的撤退を選んだ。


「おまたせ、それじゃ2人の服を買いに行こうか?」

「いいの?」「の~」


 だが、山波は服屋がどこにあるのか、2人にどんな服を選べばいいのか分からなかったことに気が付いた。


「ああ、だがまずはスミレンさんに助っ人を頼むか」


 一行は宿にもどりスミレンを探そうとしたところ、偶然にもギルドを出たときにスミレンとばったり会った。


「あ、スミレンさん丁度よかった。今日は護衛は無くていいんですが、実はちょっとお願いが」

「ゴロウさんおはようございます。お願いですか?」

「はい。この子たちに服を選びたいのですが、服屋の場所も分からないので手伝ってもらえないかと?」

「ええ、構いませんよ。今日は護衛もないので何をしようかと考えていたところですから」

「よかった。ありがとうございます」


 スミレンを加えた一行は街の中の服屋に向かって歩き出したのだが、


「そういえば私もこの街に来るのは初めてで、服屋ってどこにあるのでしょう?」


 すると突然後ろから声を掛けられた。


「なんじゃ服屋を探しているのか?」


 振り向くと後ろにイリスとスイナが立っていた。

 やはりこの世界ではいきなり後ろに現れるのが風習なのだろうか?


「あ、どうも、おはようございます」「「おはようございます」」


 山波が挨拶するとそれに続いてメンカとリナンもあいさつした。


「おはよう。ところで服屋を探しているとか?」

「あ、ええ、この子たちに着る服がないので庶民向けの服屋を探していたのですが、スミレンさんもこの街は初めてだそうで」

「なるほど、そういうことであれば私におまかせなさい」

「だ、大丈夫ですか? 庶民の服ですよ?」

「ファーストクラスに乗ったつもりでまっかせなさい」

「お嬢様、ファーストクラスは飛行機になってしまいます。ではなく大船ですよ」

「ああ、そうだったわね。とにかく任せなさい。スイナがいるから」


(ちょ、なんでファーストクラスとか知っているんだ? しかも飛行機を知っている? しかもスイナさん任せ?)


「な、なんで飛行機を知っているんだ?」

「あ、まあそんな細かいことはいいでしょ。スイナここから一番近い服屋は?」

「そうですねぇ。それじゃマーシャの服屋はいかがでしょうか?」

「あら、いいわね。庶民の服でも女性もののなかなかおしゃれな服がそろっているところね」

「ええ」

「ではついてきなさい。スイナの後を」


「は、はあ。それじゃよろしくお願いします」「「お願いします」」


(お、おかしい。なにかがおかしい)


「スミレンさん申し訳ないです。なんだかとんでもないことになってしまって」

「いえ、ゴロウさんのおかげで私も服を見に行けますから」

「そ、そうですか。それじゃよろしくお願いします」


 こうして、一行はスイナの後を付いていきマーシャの服屋へ向かうのであった。



台風早めの避難を!


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