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第11話 狼とハーフエルフの闘争勃発

山波はポルックス村を出発するが、あの牛が挨拶に顔を出した。

また会うことを約束してポルックス村を後にする。

だが、道中助手席をめぐってついに戦いが勃発。助手席の運命は。



 ポルックス村の門をでてほんの少し走らせたところで、山波は車を停めた。

 そして、何かを手に持って運転席のドアをあけ、


「みんな、ちょっと待っていてくれ」

「どうしたのですか?」

「ああ、ちょっと挨拶をしてくる」


 山波はそういって運転席から降り、林の方に走り出す。その後にライエが続く。

 すると山波の走っていったほうから、スレイプバッファローが顔を覗かせてきた。


「あ、あれはスレイプバッファロー。しかも変異種じゃないですか!」


 アークトゥルスが一緒にいた冒険者に話しかけたが、既に山波はスレイプバッファローの近くまで近寄っていた。

 このままでは山波が危ないと思ったが3人はそれぞれ何もできずに見ていることしかできなかった。



※作者注:冒険者は山波の護衛のはずなのだが。




「よう~。見送りに来てくれたのか」


 山波は適当に葉っぱを見繕って、ツナ缶の封を開けそこに中身を出した。

 そして、スレイプバッファローにあいさつしながら、持っていた円形ブラシでその体を梳いていた。


「いろいろありがとうな。これは選別だよ」

『ばみゅ~ん』

『がうがう(これから王都にいくっす)』

『ばみゅん』

『がうう(主この牛も行きたいみたいっす)』

「ごめん、おまえを乗せてやるスペースが無くてな、その代り王都から戻ってきたらたっぷりツナ缶を食べさせてやるから、それまで元気でいろよ」

『ばみゅ~~~ん』


 その光景を見ていた3人は唖然としていた。

 スレイプバッファローと思っていたのはその変異種で、しかも山波が何かを与え、さらにブラシで体を梳いている。

 漸く口を開くことができたアークトゥルスは、


「なんて非常識な……」


 と言うのが精一杯であった。



 やがて、車に戻ってきた山波は、


「お待たせ、それじゃ今度こそ行きましょう」


 ライエの足をタオルで綺麗にしながらいい、


「ライエ用の足ふきも準備しないとだな」


 と3人の気持ちも考えずに、暢気に言った。



~~~~~~~



 車は順調に街道を走っていた。


 ポルックス村を出て最初の頃こそ三者三様で驚いていたが、流石に1時間近く走らせると皆慣れてくるようであった。

 だが、3人が一番驚いていたのはやはりスレイプバッファローの一件であったろう。

 山波が戻ってきてから暫く誰も口を利くことができなかったのであるから。



 1つ目の村を越えて車を走らせ、頃合いをみて車を停め、休憩することにした。

 何しろ運転できるのが山波しかいないのであるから休憩は大切だ。

 山波は皆に飲み物をだしてから後ろのソファーに腰かけた。

 ライエはその山波の膝の上に顔を乗せて、「はっはっ」言っていた。

 山波はやはりこいつは犬ではないのか?と感じていた。一応、ライエにも水を準備した。




「ゴロウさん、この馬車の運転を教えてもらうことはできないですか?」


 運転に興味を持ったのはアークトゥルスだった。

 道交法が無いとはいえ運転を素人に任せるのは流石に怖い。

 ハンドルを握ると人が変わったようになってしまう人間もいる。ハーフエルフも人間だ。


「流石に無理かな」

「ええ~いいじゃないですか教えてくださいよ」


 このエルフ思ったより軽そうである。


「ダメダメ、運転には免許が必要なのだから。無理だって」

「む~~~」


 ギルドに勤めるようになってから35年。仮にその時15歳でも50歳になる。当然年齢はもっと上だろう。しかし、そんなエルフだが見た目は20代にしか見えない。それが頬を膨らませているのだからたちが悪い。


「膨れてもダメ。さてそろそろ出発しようか」


 車に乗り込み山波は運転席に座る。ライエは素早く助手席に座った。

 ジョルジュとスミレンは車に乗って後ろのソファーに座っている。

 すると、隣で、


「ほら、ライエは後ろにいってよ」

「がううがうがう(私が前に座るっす)」

「どいて」

「がうがう(いやっす)」

「どいてって」


 アークトゥルスがライエを無理やりどかそうとするが、ライエが重いのか動きそうにもない。


「がう(ふん)」

「もう!どいて」


 このままでは車を発進させることもままならない。


「ライエ、今度はアークトゥルスに譲ってあげなさい」

「やった!」

「がうがう(う~わかったっす)」

「ん♪~~」

「まったく、2人とも子供じゃないんだから」


 ライエが後ろに行ったら、後ろの席から「ひぃ」と声がした。


「さて、それじゃ今度は休憩しないで次の村まで行くから」


 山波は車を発進させた。

 暫く立ってから、山波はアークトゥルスに声を掛けた。


「アークトゥルスはさ」

「アークでいいわよ」

「そっか、アークはなんで特Sの人が王都まで行くときについていくことになっていたんだ」

「ん~わかんない。何でもママが必ず引っ付いて一緒に王都まで来なさい。って言っていて、もし一緒に付いてこなかったら、お仕置きだべっていって……」


 両腕で自分を抱えるように震えだした。

 しかし、某アニメじゃないのだから、『お仕置きだべ』はない。そういうアニメを見たことが無ければ。


「なあ、アークのお父さんってどんな人だったんだ?」

「知らない。私が産まれる頃にはもういなくて、ママに聞いても教えてくれなくて……」


(なんか傷を抉ってしまった気がするな)


「そ、そういえば。アークが冒険者ギルドで働く前は何をやっていたんだ?」

「47から冒険者をやっていて76でギルドで働かないかって誘われたので、そこからポルックス村ギルドで働いているわ」

「ふ~ん、すると今は111歳!! 私よりもとし「ゴロウさんレディーに年齢をいったら死ぬわよ」ぅぇ」


「まあ冗談だけど。腐ってもハーフエルフですから。なんのかんの言っても人間族より長生きだわ」


(冗談に聞こえなかった)


「で。お母さんはエルフで王都に住んでるの?」

「え、ええまぁ」


 何やら口に物が挟まった言い方しているな。


「へえ。何やっているの人なの?」

「そんなことはどうでもいいじゃない。ほらそろそろ村に着くわよ」


 暫くすると村の塀が見えてきた。



-------



 車から降り、4人それぞれに門番に身分証を見せ、山波はさらにライエの従魔の首輪を見せた。

 村の中に入る許可を得て村の中に車を進めた。

 ちなみに村の名前はプロキオン村という。



「今日はこの村に一泊したいと思います。各自荷物を持って宿を確保してください」


 取り敢えず近くの宿屋を確保することにした。

 アークトゥルスはスミレンと同じ部屋にして、どうやら宿代を割り勘で済ませるようだ。

 山波はジョルジュと一緒というわけにはいかず、ライエと一緒に泊まることにした。

 だか、この村のこの宿屋――戯れる子犬亭という――は、ギルド管轄の宿屋であったため、山波は半額であった。しかも、その護衛と言うことでジョルジュたちは2割引きで済んだ。


 食事については食堂で皆で食べることにして、それまでの間、山波はライエとともに村の散策をすることにした。とはいっても、既に17時近くて、あと1時間半で陽も完全に沈んでしまう。

 アークトゥルスたち3人は山波の後ろをさりげなく付いてきていた。


「皆で一緒に村を見て回ればいいのに……」

『がうう(本当にそうっすよね)』


 最初、山波が一緒に村を見て回ろうといったら、遠慮すると言ってきた。

 でも。結局後を付いてきたのである。


 流石にこの時間なのでそろそろ店をしようと、片づけを始めている店が多く。山波は大して店を廻れなかった。

 しかし、謎の肉や幹キャベツなどを買うことができた。謎の肉は3ブロック買った。1ブロックあたり1kgぐらいの重さであるが主に食べるのはライエである。本人はおにぎりが好きそうであったが。


「肉をこのくらい買っておけば足りるだろう」


 買ったものはそのまま車の中に置いてきて、宿屋に戻り夕食にした。



 宿屋がギルド管轄だったので冒険者が多かった。

 空いていたテーブルに座りそれぞれが注文をした。もちろんライエの分も。


 料理が来るまで明日の予定を決めておく。


「明日は200km前後走らせて、その辺りで出てくる村か街に2泊しようと思いますが、どうでしょう?」

「問題ないかと。その距離だとするとアルデバラン街が丁度その辺ですね」


 スミレンが答えて、アークトゥルスが頷いた。


「10時に出発したいと思いますので、朝食は各々取って必要なものがあれば買っておいてください」

「わかりました」


 大体、9時前には店が開く。1時間見ていれば必要なものを調達するには十分な時間である。

 200kmも連続4時間運転すれば達する距離だ。まあ、昼休憩やトイレ休憩など考えれば十分な距離になる。


 話が終わりかけると丁度食事がテーブルに運ばれた。





-------------------



 あと少しで王の間だ。俺たちは襲ってこなくなった眷属たちを無視して歩いている。

 目の前に巨大な扉が黒光りしてその存在を主張している。

 俺は、その扉を押しあける。

 扉が開いたその先には、優美な彫刻や絵画が飾られている。

 そしてその先には神、いや邪神が椅子に座っている。


「よくここまで来たな。貴様がシュラハクが召喚したという輩か?」

「ああ、まったくあの爺さんの所為でこんなことになるとは思わなかったぜ」

「あいつめ。余計なことを。どうせ死んだのだろう?」

「まあな、俺を召喚してその説明をせずに逝きやがって。おかげでこっちは苦労したんだぜ」

「ふふははは、それでわざわざワシを滅ぼしにここまで来るとわな」

「まったくだ。と言うわけで邪神よそろそろ長生きも飽きただろう、お前が生きていると迷惑らしい。滅んでくれ」

「ふざけたことを」


「どうだか。さてこれ以上話すこともない。*+@%いくぞ」

「はい。○△※◆様」



 おれは刀を抜いて邪神と言われる存在に切りかかった。



-------------------



アークトゥルスはライエの言葉はわかりません。

---

申し訳ありません二章の1話目を日付を間違えて予約し、さらに章なしでUPしてしまいました。

ここまでは削除せず、章の設定をしてそのままにしたいと思います。

お騒がせしました。

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