表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/51

第10話 そして王都を目指す

王都に向かうことが決まった山波。その前にやることができた。ライエのを綺麗にすることだ。

ライエは素直に洗われるのか。さらにライエの前に最強の生物が現れる。

ハラハラドキドキ?の一章最終話。



 キャンピングカーに戻った山波は、アークトゥルスを入れ、ライエを乗せた。


「アーティクルスさんはそこに座って待っていてください」

「……」


 なんだかぼーっとしているがソファーに座ってもらった。冷蔵庫からパックのジュースを出して、コップに氷を入れジュースを注いでテーブルに置いく。


「これを飲んで待っていてください」

「わ。わかりました」


 さて、ライエについてだが……。


「ライエちょっとこっちに」

『がうう?(なにっすか?)』

「お前まずは体を洗うからな」

『がうっ!(え、いやっす)』

「私の従魔になったのが運の尽きだ。いいからこっちにこい」

『がううぅぅ(わかったっす)』


 トイレ兼シャワー室のシャワー起動スイッチを押し、シャワー室を拡張する。

 このキャンピングカーはスイッチを押すことでシャワー室が外にはみ出るようになる。

 通常はトイレしか使えないが、こうすることで1人用のシャワー室が出来上がる。と同時に設定された温度のお湯が出てくる。


「ほらこっちに」


 まずはライエにブラッシングをする。犬用はないがこの際だ人用で我慢してもらおう。

 円形ブラシを取り出し、それで大雑把にブラシを入れる。


『がうがう(なんすか)』

「ブラッシングだよ」

『がう~(いもちいいっす)」


 一通り終わったら、シャワーのノズルをとり、適温のお湯を出す。


『がうううううう(いやぁぁぁ)』

「仕方ないだろ、汚れているんだから」

『がうぅ(うう~~)』


 犬用のシャンプーはないが魔物なので人用のシャンプーでも問題ないだろう。今回だけだ次回は向こうで犬用のシャンプーを買うことを忘れないよう頭に入れておく。

 だが、取りえず足にお湯をかけシャンプーをテスト的に使ってみる。

 泡が黒くなってくる。


「おまえ、汚ないな」

『がうう(しかたがないっす。水浴びしないし)」

「シャンプー使った部分がヒリヒリしたり、かゆくなったり、違和感あったりしないか?」

『がう~がうん(ん~特に何もないっす)」

「よし、シャンプーに拒否反応はなさそうだな。泡の水は飲むなよな、終わったら肉用意するから」

『がう(わかったっす。さっきの白い塊がいいっす)』

「あ、おにぎりか。それはまた今度な」


 私は体全体にお湯をかけ、その後シャンプーを使って2回洗った。

 猫は昔洗ったことはあるが(もちろん嫌がられたが)、犬を洗うのは初めてだった。

 シャンプーが終わったら、次はトリートメント。トリートメントを湯に溶かして少しずつ毛に付けていく。

 そして最後は濯ぎだ。濯ぎだけはしっかり行なう。

 体が大きいだけに洗うのに一苦労だ。泡を落とし、水分を吸い取る能力が高いタオルで水気を取ると、毛並みがとてもきれいにみえる。


「よし、ドライヤーかけるから、ちょっ。体を振るわせるな」


 そこに行くまでライエの抵抗も多少あったが、ドライヤーが気持ちよかったのかおとなしくなった。

 ドライヤーで水気が無くなると、フレイムウルフの名に恥じない薄赤の銀毛がキラキラ輝きだした。

 薄赤なのに銀色に輝いて見える不思議な毛並みだった。地球にも小さなハチドリの中には光の当たる角度で輝いて見えたり黒く見えたりするのがいる。そんな毛だ。

 完全に乾かすまで、それなりに時間が掛かったものの無事に終わった。

 シャワー室を出ると、アークトゥルスがソファーで寝ていた。


「食事を作るからライエはおとなしく待っていろよ。ところで肉は焼いたのを食べるのか? 生か?」

『がうう(どちらでも食べらるっす)」

「そか、今回は申し訳ないけど生を切り分けてだすからそれで我慢してくれ」

『がうう(はいっす)」

「それと、今後の食事はどうすればいい?ライエは狩りに行くのか?」

『がうう、がうがう(野兎程度なら狩りますし、さっき食べさせてもらった白い塊がとても力がみなぎり、体力も回復したっす)』

「ふうん。シャワーの時も言っていたな。おにぎりでもいいのか。考えておこう」

『がうん(お願いするっす)』


 山波は昨日買った肉をライエの体のサイズを見て二人分残る位に切り、皿の上に置いて、水とともに出した。


「お腹すいていたんだろ、先に食べていいよ」

『がう(むしゃむしゃ)」

 既に食べてるな。


 私は残りの肉を自分の分とアークトゥルスの分で切り分け、フライパンに置いてコンロを点けた。


 待ち合わせの時間までもうすぐなので、肉にインスタントの卵スープに、フランスパンを用意した。

 ソースは焼き肉用のソースを使った。

 メニューをあえて言うと、『謎の肉ステーキ焼き肉ソース、缶詰のコーンを添えて』と言ったところか。

 アークトゥルスを起こして、


「食事できたから食べないか?」

「え、私の分もあるのですか?」

「ああ、これで1人だけで食べるわけにはいかないだろ?」

「ありがとうございます」


 私はいただきますをして、アークトゥルスはお祈りのようなものをして食べ始めた。

 食事中フランスパンがおいしいとかスープがおいしいとかいろいろあったが、一通り車の説明をして、これで進むので馬での同行は無理だと納得してもらった。

 その代り馬代を払うから車に乗せてほしいと言われた。

 車に乗せることはついてくる以上最初から考えていたので問題はないが、馬代はどうしても渡すと言われたので、食材とかの購入代金として使って欲しいと頼んで了承してもらった。


 食事を終え、待ち合わせの冒険者ギルドに向かった。


 途中、村の子供たちが寄ってきて、


「きれーな犬ぅ~。撫でていい?」


 と山波に聞いてきたので構わないと言って撫でさせた。

 ライエは犬と言われたときに唸りそうになったので、頭を軽くはたいて、


「子供に唸るんじゃないよ。毛並みが美しいから褒めてくれているだろ?」

『がうう(わかりましたっす)』



「きらきらだぁ~」「体ふかふかぁ~」「足おっきい~」

『がうう(そこはやめてくれっすぅぅ)』

「てかてかだぁ~」「耳ふわふわぁ~」「顔おっきぃ~」

『がぁ~~ぅ~~(あるじ~たすけてほしいっす)』

「つやつやだぁ~」「尻尾ふわふわぁ~」「口おっきぃ~~」

『がう~~~~~(うわ~~~~っす)』



「犬さん、おじちゃんありがとう」

「おお」『がぅぅ』

「よかったなライエ」『がうん(勘弁してくださいっす)」


 時間にしてわずか数分だが、子供たちとの戦いに敗れたライエは少しぐったりとしていた。

 多少、時間を取られてしまったのでギルドに急いだ。

 冒険者ギルドには既にジョルジュとスミレンがまっていた。


「待たせてしまったかな」

「いいえ、それよりもゴロウさんそこにいるのはフレイムウルフですか? きれいですねぇ」

「ああ、どうやらそのようなんだが」

「いったい、ゴロウさんは何者なんですか」

「最近、私自身も分からなくなってきた。それより、アークトゥルスさんが手続きしてくれたので受付で依頼受注できると思うのだが?」

「はいそれでは、お二方手続きを済ませたいと思います」

「分かりました、ゴロウさん今回は無理いってすみません」


 2人は、アークトゥルスの後をついていき受付に向かった。


 その間、私は村名物のハーブティを頼んで優雅っぽく飲んでいたが、ライエはさっきの戦いの余韻か床に伏せてぐったりしていた。

 このハーブティの葉はすでに購入してある。


 暫くしてから、3人が戻ってきてそれぞれ椅子に座った。もちろん冒険者2人と、アークトゥルスである。


「依頼受注終わりました」

「そっか。それで伝えたいことがいくつかあるのだけれど構わないかな?」

「「「はい」」」


「まずは、何故だかアークトゥルスさんも同行することになったが、本人の護衛は不要らしい。だよね?」

「ええ、私も同行いたしますが、私の護衛は不要です」

「次に、移動には私の車を使うので馬や馬車は使わない。移動は馬車や馬より早くなると思うので、野宿は考えていませんが、野宿になりそうなら街道で車の中で行います」

「野宿しないというのは、昼の移動で次の街や村に到着するということでしょうか?」

「ええ、そのように考えてもらって構いません。ただし、休憩や昼食は何度か行いますし、それらは街道途中で行う事になると思います。また私の興味で車を止めることもあるかもしれません。その辺は臨機応変ということになりますね」

「わかりました」


「最後にこの狼はフレイムウルフでライエと言います。私の従魔です。餌に釣られたようです」

「「はあ」」

『がううう(そんなことないっす、誤解っす。)」

 冒険者二人が呆れたように声を出し、ライエは抗議の声を上げた。


「それじゃそろそろ出発したいと思いますが、何かほかに準備はありますか?」

「食材やちょっとしたものを買いたいです」


 アークトゥルスが言ったので、村の店をいくつか回ったのち、3人と1匹を引き連れて車に向かった。


 やはり冒険者2人は車に驚いていた。


「とりあえず乗って、ソファーに寛いでいて。ライエはこっちに来て足の裏を拭くぞ」

「「はいい」」

『がう(わかったっす)』


「荷物はこの戸棚の中にしまってほしい、剣とかも。邪魔でしょ?」

「なんだか護衛にならないような」


 私は運転席に向かってエンジンのスイッチを入れる。電力は問題ない。

 ライエは自然と助手席に座っている。まあ、道交法などないので咎められることもないだろう。


「それじゃ動きますよ」


 アクセルを踏み、車をゆっくり動かす。

 表門の門番に、これから王都まで向かうことを伝え、気を付けていくように言われた。

 門を出て、街道に出てから速度を上げる。

 後部ソファーから悲鳴のようなものが聞こえるが無視して車を走らせていく。


 ようやく最初の村をでて、旅らしくなってきた。

 しかし、一人旅でまったりとするはずが、なぜいきなり3人と一匹が増えているのか?

 これ以上おかしなことにならないよう祈りながら街道を走らせて行く。





これで一章が終わりになります。

二章開始は全くの未定。

構想は出来ています。問題はやる気ですね。


やまなし、たになし、おちなし、退屈な文章をお読みいただきありがとうございます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ