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雨のち晴れ、そして虹

作者: 夕顔

雨のち晴れ


そんなの当たり前。


雨が降ればいつかは晴れる


でも当たり前じゃない人だっていたんだ


私にはいつもいつも助けてくれる人が傍にいたから


そんなことにも気付けなかったんだ




☆園山美月☆

「みーつーきー、早くしろよー遅刻だぞー」

「あとちょっと!」

「美月のあとちょっとは長いんだよ!」

「分かった、分かった。はい、しゅーりょー。行こ」

「やっとかよ。ダッシュしないと!」

「だから、先に行っててって言ったのに」

「……約束、しただろ」

「……そんなのしたっけ?」

「覚えてねーのかよ!…まぁ、ガキん時の話だしな」

「小さいとき?」

「あーもーいいよ!ってか遅刻!」

「はいはーい」



キーンコーンカーンコーン

「ギリギリセーフ!なんとか間に合ったね、晴輝」

「ヒューヒュー!今日も二人で愛の通学路を走ってきたんですか?」

「全力ダッシュしてきたよ!あと、愛の通学路じゃないから!」

「そうだ!俺らは家が隣同士で……」

そう。私たちは生まれた病院から日付まで一緒。更に幼稚園からもずっと一緒であげくのはてにはクラスもずっと一緒!奇跡的な確率で私たちはずっと一緒だ。母には「このまま老後まで一緒かもね」と言われた。さすがにそれはないと思うが……

とにかく今は晴輝がいない日常なんて考えられないくらい晴輝は私の一部になってきている。

「セーフじゃないぞお前ら。早く席つけー」

私たちの頭を名簿で軽く叩きながら先生がやって来た。

「はーい」

と私たちの声が重なると、さっきからかってきた男子がクスクス笑う。

でも笑われたって気にしない。だってこれが私たちなんだから。



☆天宮晴輝☆

はぁ……

「晴輝、どうしたんだよ」

「ああ、快靖。……なぁお前さ、小3のときの記憶ってある?」

「小3?……あるものもある。ちょっと特別だったことぐらいかな?」

「特別、か」

「それって美月関連のこと?」

ゆっくりとうなずいた。

「やっぱり」

そう言うこいつは蒼海快靖。俺の家の向かいにすんでいて、俺が小4のとき引っ越してきた。それからは三人ずっと一緒に過ごしている。

「でもさ、美月のこと好きなら早くコクんないと。美月、好きな人いるらしよ」

「マジか!ってか何でそこまで知ってんだ!?」

「うーん。勘、かな」

勘が鋭すぎるんだよ。

「で、誰なんだよ。美月の好きな人って」

「さあ、自分で考えてみなよ。結構なくせ者だと思うけどな」

「わかってんなら教えろよ」

「知ってまた戦いに行くの?」

「うっ、それは……」

快靖はクスクス笑っている。

「あのときはビックリしたな」

俺は小5のとき快靖が美月に告白してるところを目撃してしまった。そのとき幼稚園から美月に片思いしていた俺はカッとなって気がついたら快靖が地面に倒れていた。

「あれが今まで生きてきた中で一番痛かったな」

今では笑い話だが、そのときは一週間快靖と口を利かず、最終的に俺が泣きながら謝ったのだ。

「もうあんなことはしないよ」

「そう。それなら良いけど」

そう言って快靖は席を離れた。



☆園山美月☆

授業中ずっと横の席が気になって仕方がない。

私の好きな人、氷藤雨くんが座ってるから。

何回目かの席替えでやっと近くになれた。


4月の最初の席は自由でその日もギリギリで登校してきた私は、快靖と二人で空いている席に並んで座った。そのとき私の前に座っていたのが氷藤くんだった。白い肌に少し茶色っぽい髪、フレームのない眼鏡の奥には長いまつげと切れ長の目。いつも静かに本を読んでいた。

ある時、昼休みを使って勉強していた私は分からない問題に頭を抱えていた。そんなとき、

「園山さん、大丈夫?」

「えっ、何が?」

「いや、さっきからずっと一人で唸ってるから」

「ああ!ごめん!迷惑だったね」

氷藤くんは首を横に振ると、にっこりと笑って言った

「よかったら、教えてあげようか?」

「えっ!良いの!?」

氷藤くんはテストで毎回学年3位以内に入っている秀才だった。

氷藤くんの説明は分かりやすくて、私は頷いたり、相づちを打ったり色々していたのだろう。

「園山さんって面白いね」

「えっ!」

「だって、いちいちリアクションしてさ……」

「そ、それは……」

氷藤くんは笑いすぎて涙目になっていた。

「教えててこんなに楽しかったの初めてだよ」

そう言って笑う氷藤くんの笑顔に心を奪われた。

それから、次の席替えまでの約一ヶ月間、私はとても幸せだった。しかし、次の席替えで席は離れ、それ以来あまり話をしていない。


放課後、またまた一人残って勉強していた私のところに氷藤くんがやって来た。

「また唸ってる」

そう言って笑う氷藤くん。私は顔が赤くなっていくのを感じた。

「教えてあげようか?」

その言葉に私はうなずいた。



☆天宮晴輝☆

放課後、教室に戻ると美月と氷藤がいた。何してるんだ?教室に入れなくて、ドアの前で盗み聞きをする形になってしまった。しばらくすると、氷藤が出てきてぶつかりかけた。

「うわ!えーっと、天宮くん?」

「ひ、氷藤!」

「あー!やっと来た!晴輝、早く帰ろう」

「あ、あぁ。ちょっと待って」

「じゃあ、僕はこれで」そう言って立ち去ろうとする氷藤に声をかけた。

「なぁ、氷藤も一緒に帰ろうぜ」

仕掛けてみようと思った。美月の好きな人を探るために。

「……いいけど、園山さんは僕が一緒で良いの?」

「も、もちろん!」

美月の顔が赤くなる。

昇降口に行くまで、三人とも何も話さなかった。これじゃ何も分からないと思い、

「ごめん!俺、手洗い行きたいから先帰ってて。あとから追い付くから」

と言って後ろからついて行くことにした。柱の影に隠れて見ていると、

「何してんの?」

と後ろから言われ、飛び上がるほど驚いた。

「か、快靖!驚かせんなよ」

「尾行中?」

「まあ、そんなとこ」

「あんまり美月を束縛したり、ストーキングすんなよ」

「してねえよ……あのさ、好きな人の前だと顔って赤くなるもんなの?」

「…まぁ、個人差あるけどね」

「そっか」

「そろそろいった方がいいんじゃない?」

「あぁ」

美月は氷藤と別れたのか一人でキョロキョロしている。

俺はどんな顔をして美月と接すれば良いのかわからない。



☆園山美月☆

あの日から毎日放課後に勉強を教えてもらえることになった。毎日氷藤くんと話せてラッキーって思ってるんだけど、あの日から晴輝の様子がおかしい。でもいくら幼馴染みだからってプライベートはあるから何も聞かないけど。

今日も二人で勉強会。ふと窓のそとに目をやると、

「あっ、雨。どーしよー、私……氷藤くん!?どうしたの?顔赤いけど、熱!?」

と言って氷藤くんのおでこに触れると更に赤くなった。

「ちょ、園山さん。熱はないから……とりあえず手、離して」

「あ、うん」

氷藤くんはふぅ、と息を吐くと

「……不意討ち」

と言った。

「不意討ち?何が?」

「……“雨”って言ったから、ビックリした」

「雨?…ああ!そういえば、氷藤くんの名前!」

それにいちいち反応する氷藤くんが可愛くてつい、

「じゃあさ、これから『雨くん』って呼んでいい?」

「……いいよ。それなら僕も『美月さん』って呼んでいいですか?」

今度は私が赤くなる番だった。大きく頷くと、

「おあいこだね。美月さん、真っ赤だよ」

と言われた。自分の名前がこんなに特別に聞こえたのは、初めてだった。

それから数日後、事件は起こった。


休み時間の移動教室で私は友達と移動していた。その前には、晴輝、快靖、雨くんがいた。

普通の移動教室の風景だったが、突然雨くんが視界から消えた。その直後に

「氷藤!」

という快靖の声と、女子の悲鳴が聞こえた。

雨くんが落ちた。

その現実を突きつけるかのように、先生たちが集まってきた。

全身から血の気が引いていく。

冷たくなった私の手を晴輝の温かい大きな手が握ってくれた。

「大丈夫。大丈夫だから」

そういった晴輝の声は暖かくて少し震えていた。

三日後、雨くんが戻ってきた。幸いなことに足首の捻挫だけですんだらしい。

「雨くん、大丈夫?」

「あぁ、…もう大丈夫。不注意でさ」

そう言っているが、全く私と目が合わない。

「雨くん……」

「おーい、席つけ!」

先生の声で授業が始まる。今日は一週間前に行った中間テストの返却だった。

「蒼海、天宮、飯田、荻原――。」

名簿順に男子から返されていく。

「あとで貼り出されるが、うちのクラスで上位20番以内は男子一人と、女子三人だけだからなー。みんな頑張るように」

うちの学校は上位20番以内は貼り出されることになっている。

休み時間になり、皆が教室から出ていく。貼り出された結果を見に行くために。

「美月!行かないのか?」

「……雨くんが気になって…」

「…そうかよ」

ちょっとふて腐れたように言われた。

「快靖、行こうぜ」

「……俺も残る」

「何だよ、二人して」

そう言って晴輝は出ていった。

「雨くん……」

「美月」

雨くんに話しかけようとしたら、快靖に呼ばれた。少し青ざめている気がする。

二人で廊下に出ると私は問いかけた。

「何?」

と言うと、

「今話しかけない方がいい。何かあったんだ」

「何かって?」

「それがわからないんだよ。でも、あの氷藤が20位以内じゃないってただ事じゃないだろ」

「えっ!」

「先生が言ってた一人は俺だ」

「そんな……まぁ、おかしいとは思ったんだよね。うちのクラスは快靖と雨くんの二人は必ず入っているのに男子一人だけなんて、先生の間違いかと思ったんだけど、まさか……」

そのとき、晴輝が息を切らせながら走って来た。

「美月、快靖!氷藤が……」

「しーっ!声大きいって!」

「あっ、悪い」

すると、たくさんのクラスメイトが走って来た。

まずいと思ったときにはもう遅かった。

「氷藤、どうしたんだよ」

「お前の名前がないとか初めてだよな」

「氷藤くん、なんかあったの?」

「今回は手を抜いたとか?」

「皆、止めて!」

私の叫びは誰にも届かない。晴輝や快靖も言おうとしたとき、


バン!


「うるさいんだよ!何にもわかんねーくせに、色々適当に言ってんじゃねーよ!お前らになんか俺のことなんかわかんねーよ!」

そう言うと雨くんは教室を飛び出した。

「雨くん!」

「美月、行け。ここは俺と晴輝が何とかするから」

その言葉を聞いて、雨くんを追いかけた。晴輝も大きく頷いてくれた。


「雨くん!」

雨くんはどしゃ降りの中、中庭にいた。

「風邪引いちゃうよ」

聞こえていないのか戻ってくる気配がないので、覚悟を決めて、外へ出た。

「雨くん!」

やっと振り向いてくれたが、やっぱり目が合わない。

「美月さん」

「何があったの?」

「……君に理解できることじゃない」

「できるよ!それに……雨くんは私に色々教えてくれた、助けてくれた。だから今度は私が助ける。お願い、話して」

「どうしてそこまで僕に干渉するんだ!」

「…好きだから。」

「えっ」

「雨くんのことが好きだから!」

雨くんは驚いたように大きく目を見開くと、諦めたかのようにゆっくりと話し始めた。

「……目が、見えないんだ」

「…!」

「階段の端が見えない、テストの字が読めない、数字が判別できない。それに……」

そこで言葉を切ると、近づいてきて、私の頬に右手を添える。身長差で私が見上げる形になった。

「ここまで来ないと、誰かわからない」

髪の毛から滴が落ちる。その髪の隙間から、雨くんの悲しげな瞳が見える。雨は降り続ける。彼の心を表すかのように。

「雨くん……どうして」

「僕はこれからもこのまま雨が降る道を歩き続けるしかないんだ」

「そんなはずはない。ご両親には言ったの?」

「言えるはずないよ。父は一位が当たり前、満点が当たり前の完璧主義者。普段も僕の話を聞いてくれないし、それに今日はあんなテスト結果持って帰ったら、話を聞いてくれるどころじゃないんだ」

「……行こう」

「えっ?」

「今から雨くんの家に行こう」

「…嘘でしょ」

「嘘じゃないよ。私が話す。だから行こう」

「美月さんに出来るの?それに、何でここまで――」

「出来るかどうかはやってみないと分かんない。でも失敗したらまた考えればいいし、それに、さっき言ったでしょ?雨くんのことが好きだから、って」

「……分かった。一緒に来てくれる?」

「もちろん!」

やってみよう。誰かのために、今出来ることを――。



☆天宮晴輝☆

「おい、氷藤と園山、二人で出ていったぜ」

「あいつらなんかあんじゃねーの」

「成績もそれのせいで、さっきのは俺らへの八つ当たりか?」

「うわ、それ最低だな!」

俺の中で何かが切れた。

「お前ら適当なこと言うんじゃねーよ!あいつは苦しんでるんだぞ!それもわかんねーくせに悪口ばっか言ってんじゃねーよ!」

「おい、晴輝!」

快靖の制止を振り切り、相手の胸ぐらをつかんでいた。

すると、相手が言い返してきた。

「お前だって八つ当たりじゃねーか!園山が氷藤を追いかけていったからって、俺らに当たるなよ!」

そんなんじゃない!

俺は、俺は!

ついに怒りが頂点に達し俺は相手を殴りかけた。だがその前に手を掴まれた。

「晴輝、止めろ。美月や氷藤だって騒ぎを大きくしたくないはずだ。」

今まで熱かった頭の中が急速に冷えていく。

「……悪い、快靖、あとは頼む」

こういう時頼りになるのが快靖だ。小学生の時から、俺が暴走しないように、誰も傷つけないようにしてくれていたのが快靖だった。俺より遥かに頭のいい快靖は、喧嘩を穏便に終わらせる方法を知っている。

「さっき皆でよってたかって氷藤に色々言ってたよな?」

「……」

「そうだよな?」

「……あぁ」

「あれはいじめだ。氷藤はあのときの皆の言動に傷付いてあんなにキレた。皆だって触れられたくない事の1つや2つあるだろ?皆はそこに土足で踏み込んだ。それに、美月のことは皆もわかってるように、あいつはお人好しだ。この中にもあいつに助けられた人はいるだろ?俺だって助けられた。だからあいつはほっとけなかったんだよ、目の前で苦しんでいる人がいたから。……よし、この話は終わりだ。あとから色々――。」

「嘘!」

窓際に立っていた女子が声をあげた。

「あの二人が……」

皆が窓に飛びつき、中庭を見下ろす。そこにはどしゃ降りの中、見つめ会う二人がいた。

「……何やってんだ、あいつら」



☆園山美月☆

私たち二人は氷藤家へやって来た。

「……よし、行こう」

「うん」

ピンポーン

雨くんがインターホンを押す。

「はい」

「雨です。ただいま帰宅しました。」

「ご主人様のお部屋へ向かってください」

「わかりました」

無言で歩くこと数分、雨くんのお父様の部屋についた。

コンコンコン

「はい」

「雨です。ただいま帰宅しました。」

「入れ」

「失礼します」

「お邪魔します」

「ん?なんだその娘は」

「僕の友達です」

「……まあいい。それより結果は?」

「……学校です」

「なんだと!それにそんなに濡れてこんな時間に帰ってきて、いったい何がしたいんだ!」

「お父様と話がしたいんです」

「何だ?これはうちの問題だ、部外者は黙っていろ」

「いいえ。もうすべて聞きました。だからこうしてお話に来たんです」

「……話とは何だ?」

「雨…氷藤くんのことです。彼は視力が悪くなっていてもうほとんど見えていません」

「それぐらいの事なら自分で言いに来ればいいものを……分かった、眼科を手配しておこう」

「言えなかったんです!あなたが恐ろしいから。いつも完璧を求められていたから。……それにこれは眼科に行って済むことではありません」

「どういうことだ?」

「氷藤くんの視力低下はストレスからくるものです」

「なぜそうだと言い切れる」

「……私もだったからです」

「えっ!」

雨くんが驚いたような声を出す。私は真っ直ぐに雨くんのお父さんを見つめている。

「私もなったことがあります。氷藤くんほど酷くはなかったけど、視力が急に落ちたんです。私の場合原因は父と母の喧嘩でした。毎日毎日喧嘩が絶えなくて私は毎日ストレスでした。でも、私には助けてくれる人がいました」

「美月さん……」

「しかし氷藤くんにはいなかった、私も気づいてあげられなかった……だから……」

「父さん。……俺、正直辛かった。いつもいつも父さんの理想を押し付けられて……それにこの目だって直したい。だから俺と話してください。もっと話をしてください!」

「雨……悪かった。お前がこんなに苦しんでいたなんて、分かってやれなくて悪かった。これからは気を付けるよ……君も、辛いこと話させてしまって申し訳ない。雨にもこんなに素晴らしい友達がいたんだな。名前を聞いてもいいかな?」

「園山美月です」

「美月さん、か、いい名前だな。これからも雨と仲良くしてやってくれ」

「はい、もちろんです。今日は生意気なこと言ってすみませんでした」

「いや、私が間違っていたんだ。気付かしてくれてありがとう」

「……お邪魔しました。失礼します」

「僕も行ってくるよ」

「あぁ、送っていきなさい」



☆氷藤雨☆

「美月さん!」

振り返った美月さんの瞳には涙が光っていた。

「ごめ……なんか分かんないけど涙が……」

堪らなくなって僕は美月さんを抱きしめた。

いつの間にか雨がやんでる。

「辛いこと思い出させてごめん。あと、ありがとう。美月さんのおかげで父も変わった。これから自分で頑張っていく。だから……」

美月さんが僕の腕の中で首を振った。

「違うの……雨くんは今まで一人で頑張ってきたんだね。私は晴輝や快靖が助けてくれてた。ごめんね、今まで気付けなくて。ほんとにごめん……」

「美月さん……君にあえてよかった。君の事を……好きになってよかった」

「えっ!今なんて……」

「僕も君のことが好きだ。……でも、付き合おうとは言えない。これから何があるか分かんないし……」

「うん。わかってる」

「もう少し、こうしてて良い?」

「…うん」

「……怖いんだ、自分はこれからどうすればいいのか、父と和解できたけど、治療のこととか…未来が怖いんだ。」

「……大丈夫。今は私がいるじゃん。なんだったら連絡先交換しよ。電話でもメールでもLINEでも何でもいい。寝てたら返事は遅くなるけど、絶対返すから、どこにいても何をしていても。」

「ありがとう」

「それにね、雨は必ず止むんだよ。空を見てよ」

言われて僕は空を見上げる。

「虹だ……」

「虹がかかる空には雨が降っていたんだよ。だからどんなに辛くてもいつかは明るい世界が見えるから。でもすっごく辛いときには、誰かを頼って良いんだよ。私を頼ってよ」

「うん。ほんとにありがとう」

僕らは明るい世界をこの目に焼き付けた。

僕の体にはまだ美月さんの温もりが残っている。


雨のち晴れ、そして虹


皆の世界が美しくありますように――







でくださりありがとうございました(*^_^*)

いかがだったでしょうか?

感想、レビューもお待ちしております!


また、『雨のち晴れ、そして虹』の続編を書きます!美月と雨の恋の行方は?また、晴輝や快靖も黙ってはいません!新キャラの登場に美月たちは……

続編もお楽しみに☆

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