第1話 初めての戦闘?と〖神刀〗
さぁ、やって参りました!第1話でございます!
意外とすんなり書けました。
前回のあらすじ
黒崎 玲哉は、トラックに轢かれ死んでしまう。
だが、彼は【選ばれた存在】となり、神により異世界へと転生させられてしまいーー
さて、この男ーー黒崎 玲哉は事故で死んだが、【選ばれた存在】として異世界に来た…訳だが…
「何…これ…」
ご尤もな台詞だ。何せ体から光が放たれ収まったと思ったら…目の前には獣達の群れだ。そして獣の後ろには、異世界のご定番とも言える異世界系に疎い黒崎でも知ってる豚人と思われる存在が取り囲むように50体程いた。
「あー…うん。生き返って早速生命の危機だ。どうしよう…あっ、亜空間庫に武具とか入れてるってあの神さん言ってたな。」
神を女将さんみたいに言うのはどうかと思うが、確かに神様は武具等を亜空間庫に入れていると言っていた。しかし…
「亜空間庫ってどう確認するんだ?そこ聞いてなかった…」
そう、肝心の確認方法を確認してなかったのだ。だが、今にも襲って来そうな魔物を前に悠長にしている場合ではない。
「とりあえず…試しに手を上に挙げると手が漆黒の空間に飲まれていき…なんてあ…る、わけ…あったな。」
黒崎が試しに手を挙げると、手首の辺りまでが何やら漆黒の空間に飲まれて消えていたのだ。
「…まぁ、分かってよかった。とにかく今は武器だな。」
そう言うと黒崎の手に何かが握らされる感覚があった。それを取り出してみると、綺麗な刀身をした刀が握られていた。刀からは何やら神聖な雰囲気が放たれており、それを見た獣や豚人達がざわめいた。
「…まさに神の刀って感じがするが…よし今日からこの刀は〖神刀〗だ、な。うん。それで行こう。」
目の前に魔物がいる状況で呑気な雰囲気だが、この隙を突こうとしたのか前方から獣が襲ってくると、顔を引き締め刀を獣に向かって横薙ぎに振った。黒崎は襲ってきた獣だけ狙ったのだが、そこは神の刀と言うべきなのか襲ったものだけでなく後ろにいた獣たちまで一掃されてしまった。その距離なんと10m。1振りで、である。
「あっ…あー、よし!流石は〖神刀〗だな!」
残った獣たちと豚人は先ほどの攻撃に呆然としていた。そして、黒崎も同じくここまで凄いとは思わず驚いてしまった。しかし、黒崎はこれを〖神刀〗の力だけだと思っているが、それは違う。確かに〖神刀〗の威力は破格だが、さっきのは本来の10分の1の力も使えてなく、本来なら後ろの獣を一掃できる威力では無かった。何せ本来の力で振るえば前方50kmは軽く吹っ飛ぶ威力を持つのだから。なら何故獣は一掃されたか、それは神権限で極限まで上げられた黒崎の馬鹿げた肉体能力によるものだ。今の黒崎の肉体能力はイカレてるとしか言いようがなく、普通の刀でも軽く横薙ぎに振っただけで前方3mは一掃できる。これに〖神刀〗の力も付与され、先程の惨劇が起こったのであった。だが、そんな事を今の黒崎は知る由もなく、〖神刀〗のせいにしていた。
「と、とにかく早く倒して先に進まなきゃな!よし!次!」
◆
豚人達を率いていた豚人将軍は悪夢を見ているようだった。それも当然。何せいきなり現れた存在に部下の魔獣達の大半を一掃されたのだから。しかも、それをやった本人は今も刀を振り続けている。そしてその度に部下の魔獣や豚人達が倒されていき、もう立っているのは豚人将軍と豚人数体となっている状態だ。そして、今その数体も倒され、残ったのは豚人将軍だけとなった。
「うん。まぁ…よし!あと一体だな!まぁ突然現れる方が悪い!」
まさに暴論である。豚人将軍からしたら黒崎が突然現れた存在である。にも関わらずそっちが悪いみたいに言われたのだ。
「さぁ、終わりにしよう。」
その言葉に豚人将軍は体が震える。今まで感じたことない感覚、『死』を今まさに体感しているのだ。何もしなければ、いや何をしても殺される、それが本能で分かっているのだ。そしてとうとう、豚人将軍に刀が振り落とされる。
豚人将軍は中々の硬度を誇る鎧をその身に着けているが、〖神刀〗と破格の肉体能力と比べてしまうと雲泥の差である。鎧はまるで豆腐のように軽く切られ、同時に豚人将軍の体も切り裂かれた。
豚人将軍は死ぬ直前、自らが絶対の忠誠を誓う王に詫びる。
「…ワガオウヨ……モウシワケ…ゴザイマセン…」
そして、豚人将軍の命の灯火は消えていった。
◆
「終わったぁ!疲れたぁ…とは言えない、あれ?全然疲れてないわ…」
当然だ。神が肉体能力を上げてくれたのだから。
「まぁ…とりあえず神さんありがとう、と言っておこう。」
何となく神にお礼をして、最後に倒した個体の死体を見る。
「これだけ武具付けてんだよなぁ…もしや豚人将軍みたいな特別な種かな、ん?なんだこの石。」
豚人将軍の死体の近くには若干光を帯びた石が落ちていた。黒崎がそれを拾い、付いていた血を払い観察する。
「んー…普通の石、じゃなさそうだな…これって異世界ストーリーでよくある魔石みたいなやつか?」
黒崎が乏しい異世界知識で答えを導き出す。
「まぁとりあえず持っとくか、この残骸たち…どうするか…」
黒崎が周りを見渡す。そこには、獣と豚人の死体が大量に転がっていた。地球の普通の現代人がみたら間違いなく吐くだろう。それ程酷い空間になっていた。
「そういや、生き物は入れられないって言ってたけど、死体はどうなんだろ。ってかどうやって入れるの…」
入れ方も聞いてないので、どうしようもない。
「まぁ、出すのもどうにかなったし…なんとかなるさ…とりあえずこの魔石で…まずはどうするか、えーと…よし、触れた状態で…亜空間庫に入れる感じをイメージすると…あっ消えた。」
黒崎がイメージすると手に持っていた魔石らしきものが消えた。
「うん、これは成功したってことでいいんだよな…よし!」
何となく釈然としないながらも、成功したことを喜んだ。そして、大量の死体を見る。
「さて、ここからだな。死体はいけるのか…いけそうな気しかしないが、やってみるか。」
黒崎が、目の前にあった豚人将軍の死体に触れ、イメージする。すると、豚人将軍の死体が消えた。
「よし!いけるな。どっかで使えるかもしれないし、これ全部…………全部入れるか…はぁ」
あまりの多さに少し気が引けるも、作業を始める。
五分くらいかけて全ての死体を収納し終えた。
「はぁ…なんだろう…精神的に疲れた。」
それもそのはず。死体に触れるという行為を五分も続けていたのだ。普通の人間なら発狂してもおかしくない。それが無かったのは異世界補正のようなものがなされていると見て間違いないだろう。
「とにかく、ここにずっといるわけにも行かないし…って何処よここ。」
獣や豚人の衝撃で気づけなかったが、どうやらここは森の中のようだった。周りを見渡しても木々があるだけでどう行けばとかいいとか一切分からない状況だった。
「えー、まずは森を抜けることだよな。どっち行こう…うーん、真っ直ぐ!よし!行こう!」
黒崎は自分の勘を信じ、真っ直ぐ進んで行くことに決める。
こうして、彼の初めての戦闘ーーいや、初めての殺戮は終わったのであった。
どうです?ぱぱっと書いたから良くわかんないん部分多いかもしれませんけど…面白いと思っていただければ幸いです。
誤字・脱字があれば、教えていただければ幸いです。
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