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第16話 ストレスと逃避行動

「嫌なこと」に対して激しいストレスから体調を壊すマイ、それに対して「彼」が声をかける――


 聞きたくないことを聞くと頭痛がする。

 まだ逃避行動は続いている。

 嫌なものを見ると、ストレスを感じて、それが逃避を求める。

 逃避するのは仕方ないと思う、でも、どうにかしたいと切実に思ってしまう。



 今日、昔の会社に関するニュースがでてきた。

 大きな会社だったし、最初は思い出せなかったけど、『組織』と敵対する組織結成補助のために資金だしなどを行っていることを思い出した。

 新聞で見たことを思い出した、一時的に空白になっていた記憶が戻り、酷い頭痛と吐き気におそわれた。

 元の会社のことを思い出すと、未だに頭痛や吐き気、涙がとまらないなど複数の悪い状態が組み合わさった感じになって気持ちが悪い。

 元の会社の情報を知っても同じような状態になる。

 涙がとまらないという状態にだけならなかったのは救いかな、とか思いながらテレビを消してソファーにうずくまる。

「大丈夫か?」

 ソファーに横になったまま、うずくまっている私に彼が声をかけた。

 彼の声に、少しだけ痛みと吐き気が和らぐ。

「……うん大丈夫」

「どこが大丈夫だ」

 彼は呆れたようにいいながら、頬を撫でてから頭に手を当てる。

 手袋越しながら、ひんやりとした感触が伝わる。

 冷えた手の感触が非常に心地よい。

「ニュースや新聞は見てもいいと言ったが、そんな状態になる位なら無理にみるな」

「……うん」

 手が離れると、額に冷えたシートを張られる。

 熱が出たときや外が暑い時、頭が痛い時に使うと本当に心地よい。

「この間無くなっていたから買っておいたぞ」

「ありがとう……」

 こうやって何かしてもらうと、やっぱり迷惑かけっぱなしだなって思ってしまう。

「今更なにを言う」

 彼は意地悪げに笑いながら頬を撫でる。

 よく頬を触るなと、感じながら撫でられる。


 実際、彼はよく私の頬を触る。

 怒るときはつねるし、優しくする時は撫でる。

 いじわるする時もつねる。


 彼は私の頬触るの好きなのかな、とか思いながら頬を触る。

 なんかちょっと痩せてた時とは違ってむにっと、ぶにっとしている。

 太った気分だ、実際に太ったのだが。

「貴様のアレは痩せすぎた!! 160センチ越えで、40キロ以下は阿呆だとおもっておけ!!」

 彼はそういうと私の頬をつねる。

「あうう……」

「痩せすぎか太りすぎかのどちらか両極端なんだこちらの世界は全く、ちょうどいい体重かその周辺あたりなら別にかまわん」

「でも、あのその……」

「毎月のは運良く止まらなかったが、ずれまくってはいたのだろう?」

「う」

 彼に先に言われて、何も言えなくなる。

「寧ろ今漸く落ち着いてきたと思っていろ」

 彼はそう言うと頬を撫でた。

「まだまだ貴様は完治した訳ではないのだ、今もまだ闘病中だ、休むのは大事だ」

「……うん」

「ストレスを感じるということはそれは当然のことだ、お前にとって負担になっていることなのだからな」

 彼の手がとても優しい。

「ストレスに感じることから逃げるのは悪いことではない、それは防衛本能だ、だから無理はするな」

 彼はそういうと私を抱き抱えて寝室に連れて行く。

「普段は頑張って仕事をしているんだ、ゆっくり休んでおけ」

「はい……」

 ベッドに寝かせられ、頭を撫でられる。

「……あの、ダークさん」

「何だ?」

「……いつも、有り難うございます」

「――どういたしまして」

 珍しく丁寧な言葉だった、でも顔はそっぽ向いていた。

 そのまま私の頭をくしゃっと撫でると、彼は出て行った。

「……」

 照れてたのかなとか思うと、少しだけ顔がゆるむ。

 私は少し嬉しい気分のまま、心地よい眠りの中に落ちた。



「ああ、ダーク様いらっしゃいィ?」

「――何だ」

 Dr.の研究室にやってきたダークを見て、Dr.は少しばかり驚いた声を上げた。

「いや、ダーク様、お顔が少し赤いですよゥ?」

「――ほっておけ」

 Dr.の言うとおり、ダークの黒い肌が少し赤くなっていた。

「……ダーク様わりと初なんですねェ」

「余計なお世話だ馬鹿者」

 がつんと、ダークはDr.の頭を殴った。

「痛い!! ダーク様暴力反対ですゥ!!」

「余計な事言う貴様が悪い!!」

 ダークが逃げるDr.を追いかけ回し始めた。

「……仲いいねー」

「見てないで助けて下さいよォ!!」

「やだー」

 研究室に仕事がない時は居座るようになったカオルが二人の追いかけっこを眺めていた。

「おい、カオル。貴様仕事はいいのか?」

「今日は休みだし、子どもたちは学校の方のにいってるし、私ぼっちだからねー」

「……そうか」

「いだだだだだ!! 見てないで助けてくださいよォ!!」

「えー、こっちに火の粉飛びそうだから勘弁ー」

「鬼だァ!!」

「やまかしい!!」

 関節技をきめられているDr.にダークは怒鳴ると、さらに力を加えてきつく間接を絞める。


 若干いやな音がしたが、カオルは聞かないふりをして二人を眺めていた。



「――さて、ストレス発散もすんだし、次の行動だが」

「ひ、酷いィ……」

 ぐったりしているDr.を無視してダークは続ける。

「次回はついに敵対組織に攻撃するの??」

「いや、マイが働いてた会社をつるしあげる。そして敵対組織も待とう。以前やれなかった地獄送りだ存分に派手にやろうではないか」

「OK、ボス」

「勿論ですともォ……」

 邪悪に笑うダークの笑みに合わせて、ぐったりした状態から復活したDr.と、傍観していたカオルが邪悪に笑う。

「さて、ヴィランらしく『正義の味方』とその『支援者』達を攻撃しようではないか!!」




 嫌なことからは、逃げ出したい。

 逃げ続けていたい、でもいつか向き合わなくてはならない。

 そのための逃避行動を私はずっと行っていた。

 そして、再び『嫌なこと』と向き合う日に備えてゆっくりと針を動かしているのだ。

 この逃避行動をやめて、向き合える日はいったいどんな日なのか、私には想像なんかできなかった――






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