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来ちゃったお邪魔虫。

オーガのリューイと結婚してから2週間近く経ちました。

今は毎日の様に皆から祝福の言葉をもらって、

サバリお母さんや他のオーガさん達から様々な事を教わり、花嫁修行の真っ最中です!


リューイは相変わらず、とても、とっても優しくて、毎朝起きた時にはぎゅーっと抱き締めて甘い言葉を囁いてくれます。

それが嬉しくて、くすぐったくて、恥ずかしくて。

でも、すごく幸せで。

うふふ♪

自分で言うのもなんですが、まさに、ラブラブ新婚夫婦なんです。

私は今、世界で一番幸せです!


さて、今日はお天気がいいので洗濯物がよく乾くでしょう!

雨が続けて降ったりするかもしれないので、洗える時に洗わないと。

とリューイの膝の上で食事をしながら考えていると、頭上から声がしました。


「ロイズ、食べ終えたら出掛けよう。二人で。ロイズに見せたい場所があるんだ。」


と、リューイが、少し照れているのか早口で私に言いました。


うわぁぁぁ!!

やったぁー!!

初めてです!!

リューイからの、初めてのデートのお誘いです!

嬉しい!

すごく嬉しい!


「行く!絶対に行く!二人でのお出かけ、初めてだよね?どの辺りまで行くの?お弁当は持っていく?」


もう、嬉しくて嬉しくて私も早口になっちゃった


「良かった。そうだな。婚姻の儀以降は二人で出掛けてないもんな。少し遠いから、弁当、あると助かるな。ロイズの手作りなら嬉しい。」


ホッとしたように息を吐きつつ、私の手作りが良いなんて言ってくれる。

本当にもう、この人は!照れるような事をさらりと言うんだから!

でも、そんな所も大好きだよ!リューイ。


「それじゃあ、頑張って私が作る!嬉しいなぁ。リューイとのお出かけ。楽しみだなぁ♪」


もう、気分はルンルンウキウキです♪


二人揃ってご飯を食べる速度が上がりました。

相変わらず、リューイが私の口にご飯を運んでくれるんですが、速度が上がっても変わらずに口許に運ばれるご飯。

オーガの旦那さんは大変だねぇ。




__________________


そしてリューイに抱えられて、やって来ました!

大きな木の下!


「うわぁ!でっかい!」


なにこれ!凄くでかいです!洞窟からも見える木なんですけど、近くで見ると驚きのデカさ。


驚いて上を見ながら仰け反っていると


「これは【魔伸樹】という木だ。この木の近くにいれば、この山の魔物は襲われない。この山の魔物を護ってくれる木だ。だから、今日はここに来た」


そんな木があったなんて、初めて知った。

ん?

【だから、今日はここに来た】

ってなんで?


不思議そうな顔をしていただろう私を見て、リューイは続ける


「ロイズをこの山の一員。俺の妻だと刻む為だ。そうすれば、ロイズもこの木に守られる。手を出せ。ロイズ。」


言うと同時に右手を出してきたリューイ。

その手に私は左手を重ねた。

リューイは私の左手の掌にキスをして、そのまま自分の右の掌を私の手の甲に重ねた。

そして私の左手を、自分の右手を重ねた状態でゆっくりと魔伸樹へとつけた。


「山の長リューイ、その妻ロイズ。今後も世話になる」


そうリューイが言うと手が暖かくなった。


「これで良い。ロイズも認められた。今後、山で何かあったらこの木の下に来い。そうすれば、この木が助け・・・」


《キャーーーーーー!!!》


は?なに?

誰の声?


リューイの言葉を遮って、不快な甲高い声がした。

すぐにリューイは私を背中に隠した。

リューイが背中にかばってくれているので、その背中の後ろから声の方を覗いてみる。


げっ!!

あのクソビッチ!!

しかも、王子様達逆ハーキャラ御一行様まで!?

何でここにいんの!?



「キャーーーー!!ロイズが!!オーガに襲われてる!!皆!助けてあげて!!

(なんで!?何であんなに元気なのよ!?この女!またゲームと違うことしてんじゃないわよ!ったく!とりあえず、このオーガを何とかしてからね。それで、助けるふりして近寄って、近くに短剣を置けば完璧でしょう!)」


は?

なに言ってんの!?

どう見ても襲ってなかったでしょう!?

見つめ合ってラブラブしてたでしょう!?

なんで邪魔してくれちゃってるのよ!!


「ッチ!オーガは俺が倒す!」


と剣を構えて走ってきたのは、騎士団長の息子。

そして、そいつは何かにぶつかった様に弾かれた。



それと同時に、私を背中に隠していたリューイが私に向かって言う


「この山の魔物以外は弾かれる。こんな風にな。だから、ロイズも何かに追われたりしたら、ここに逃げろ。良いな?」


なんて話を続けた。


「うん。それは分かった。約束する。でもさ、リューイ凄く余裕だね?この木があるから?」


「いや。人が来てるのを知ってた。雑魚だから黙ってた。すまん。まさか近寄ってくる程の馬鹿だとは思わなかった。」


なるほど。

気配に敏感なリューイだからね。

こんなに近づいて分からないはずないよね。

雑魚だから、余裕だったのね。

なるほど、なるほど。


また甲高い声が響く


「ロイズ!ロイズ!大丈夫!?すぐに皆が助けてくれるからね!

(なんなの!?なんで弾かれてんのよ!?とにかく心配するふりして点数だけでも稼いでおかないと!本当に何なのよこの女!このままじゃ王妃ENDに行かないじゃない!しかも、こんなにイケメンなオーガなんか連れて!ムカツク!!)」


助けるなんて、何を言ってんのよ。

このクソビッチは。

どう考えても、お前らからリューイが私を守ってくれてるだろうが。


「おい!この木の近くには結界がある!近寄れない!出てきたところをやるぞ!」


王子様達が息巻いてる。

どうするのかな?リューイ。

折角の初デートなのに。

残念だなぁ。

なんて考えてたら、リューイと目が合った。


「大丈夫だ。すぐに片付ける。ここで待ってろ。俺のロイズ。」


リューイは私の額にキスを落として、王子様達の方へ歩いていった。


「来るぞ!攻撃準備!」


そんな王子様達の声に隠れて

「なんであの女があんなイケメンなオーガにキスされてんのよ!ふざけんな!」

なんて言っちゃってるクソビッチ。

おい、顔!顔!

今は誰も見てないみたいだけど、百年の恋も冷めるぞ!その顔!



そして、ついに始まる戦い。


そして、一瞬でリューイに気絶させられた王子様達御一行。


そして、倒れる王子様に巻き込まれて頭を打って気絶したクソビッチ。アホだ。


そして、王子様達御一行様を彼らが乗ってきた馬車に無理矢理、押し込むリューイさん。

随分とギュウギュウに重ねたね?

馬車の馬に何か指示を出したのか、馬車は真っ直ぐ帰っていった。

なんだったんだ?

あいつら。

ってか、本当に強いなリューイさん。


ふうっ、と溜め息をついて戻ってきたリューイ。


「余裕だったみたいだけど、怪我はしてない?大丈夫?それと、守ってくれてありがとう。」


いくら瞬殺でも、かすり傷くらいはあるかもだし。

やっぱり心配だよね。

守ってくれたのは凄く嬉しいけど。


「ああ。特に何もない。俺があいつらの首の後ろに少し触っただけだ。

俺がロイズを守るのは当然だ。だが、礼を言われると嬉しいな。少し照れるが。」


と、ホッとしたように、照れたように話すリューイが何だか可愛くて、思わず抱きついてしまった。

リューイは驚いていたけど、揺らぐこともなく、私を受け止めてくれた。

しばらくぎゅーっとしながら、

【大好き】

を繰り返しながら目一杯甘えた。


そして、魔伸樹の下でお弁当を広げて、楽しいラブラブデートをした。


帰る頃にはさっきの事なんかすっかり忘れて。





そう、あいつらが来た事なんてすっかり忘れてたのに。

また来ちゃってるよ。

なんなの?こいつら。

馬鹿なの?

リューイだけであんなに瞬殺されたのに。

まぁ、今回はあのクソビッチはいないみたい。

多分、危ないからとかなんとか言われて、お城で悲劇のヒロインぶって皆の無事を祈って帰りを待ってるんでしょう(笑)


今回は国を挙げての大軍で来たみたい。

耳がいい、じじ様とウーリーが教えてくれた

【ロイズがオーガの仲間になった】

【ロイズが魔物に魂を売った】

【この山の魔物は危険だ】

【脅威になる】

【全て殺しておくべきだ】

【特にオーガは徹底的に殺せ】

と、王子様達御一行はそんなことを言っていると。


だから、お前らは馬鹿か?

馬鹿なのか?


国の中でも優秀だと言われている、

文武両道な王子様

頭脳明晰な宰相の息子

剣に優れた騎士団長の息子

最年少の天才魔法使い


が纏めてオーガ1人に負けたんでしょう?

瞬殺だったでしょう?

なのに、雑魚を連れて来たの?

あいつらの考える事はよく分からない。


ちなみに、リューイは激おこです。


「ロイズ!もしかして、この前のあいつらか!?この前のあいつらが、お前を傷つけた奴らだったのか!?なんで言わなかった!?知ってたら、あの場で殺したぞ!!」


あ、そういえば言うのを忘れてた。

でも、言わなくて良かった。

下手したら目の前で人間解体ショーが繰り広げられる所だったんだ。

危なかった。


私は既にこの山の一員でオーガの妻なのだから、別に人間との戦いで人間が死ぬところを見れない訳じゃない。

見たいなんて気もないが。

だがしかし。

至近距離での解体は遠慮したい。

出来れば、数メートルは離れてほしい。

まぁ、山の皆が危ないなら人間の血肉を被っても平気なくらいには覚悟はしてるけど。


それにしても、あんなに瞬殺だったのに、山に来るなんて思わなかった。

仲間の皆を危険にさらしたなんて。

最悪だ。

申し訳ない。


「確かにこの前の人達が私を山に棄てた人達。

あの時はリューイとのデートが優先だったし。もうどうでもいい人達だったから、言うの忘れてたの。

山に攻めてくるなんて思ってなかった。考えが足りなかった。皆を危険に巻き込んでごめんなさい。」


リューイに頭を下げて謝罪していたら、ウーリーが人型で走ってきた。


「おい、あいつら山に入る気だぞ。どーすんだ?俺が行くか?俺が空から火でも吹いて倒すか?魔法も使えるぞ?」


なんてウキウキしてるウーリーが声をかけてきた。


「いらん。俺が行く。後はサバリがキレてるからな。今回はオーガの一族だけで行く。

ロイズ、あいつらが来たのはお前のせいじゃない。俺がもっと痛めつけておけば良かったんだ。

お前は洞窟にいろ。外に出るなよ?

ウーリー、ロイズの側にいてくれ。傷一つつけるなよ。」


と告げて、私を抱き締めて、額にキスを落として、オーガの仲間の元へと向かったリューイ。

そんな私達を見て


「お前ら、本当にあれだよな。ラブラブだよな。周り見えてないだろ。毎回毎回、イチャイチャラブラブ、チュッチュしやがって。独り身には結構きついんだぞ。これ。」


と遠い目をしたウーリーなんて見てない。

幻覚だ。

幻聴だ。

気のせいだ。

私はそのまま大人しく洞窟に戻った。


そして、私が洞窟に入ってすぐに

沢山の人間の叫び声が聞こえた。





30分位してから、洞窟にリューイとサバリお母さんが戻ってきた。

二人とも、凄く早い上に血も付いてないんだけど、どーしたの?


「二人とも大丈夫?怪我は?皆は?怪我をした仲間はいるの?」


焦って聞いた私に向かって


「大丈夫!誰一人として怪我なんかしちゃあいないよ!なんだい、あの弱い人間共は。軽くぶっ叩いただけで骨は折れるわ気絶するわ。情けないったりゃありゃしない!それと、リューイ!やっぱり、じじ様の言ってたこと、実行するべきだよ!」


となんとも力強い発言をしているサバリお母さん。

それに続いてリューイが私を抱き締めつつ


「そうだな。あいつらはかなり弱い。そのくせ、俺らの相手にもならんのにロイズに対する悪意だけは強い。うむ。やはり、じじ様の計画を実行するべきだな。」


なんて言う。

なに?

じじ様の計画ってなに?

気になるんだけど。

私のせいで森の皆が怪我をするのは嫌なんだけど。

なんて不安でいっぱいの私をよそに、



二人は声を揃えた




『よし!あの国を乗っ取ってやろう!』





は?

え?

はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

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