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水の申し子

俺はいろんなファンタジー小説を見て思っていた。

日本は水に恵まれている。

でも他の国では水に困っていたり、果実酒などを飲料水替わりにしていたり。


なぜ異世界も水に満たされていると思うのだろうか。


そんなことを考えながら駅のホームで待っていた。


ドンッ


そんな音がした気がした。

次の瞬間俺はホームから落ちていた。


「誰だ、賠償請求は押し」

キキーー  ガッ キーー 


これが俺の最後のセリフだった。

電車来ていたのも知っていたし、驚いている暇もないので思考をフル回転させて叫んだ。

だがこれが、伝わったのかはわからない。


俺はでも死んだあともなんでこんなことを考えているんだろう。

まあ真っ暗で何も見えないし目を開けてるかもわからない。

手足の感覚は辛うじてある感じだが自由には動かせない。


暇なので水について考えてみた。

異世界で水が貴重だった場合、よくある異世界で風呂を作るや、水洗トイレ、その他もろもろの水が必要な施設は難しいだろう、しかも村単位でならなおさらだろうな。


小説の異世界は恵まれている、そう考えるしかない。

いくら考えても状況が変わらない。

もう何十時間、何百時間このままなのだろうか

わからないので暴れてみた。

暴れてみたところ、急に身動きが取れなくなった。


うまく動けなくなってから何日か経った後、俺は生まれたようだ。



「元気な赤ん坊ですよ。女の子のようですね。」

声は女っぽいのでおばさんか?

何か言っている、なにを話してるのか俺にはわからない。

俺にはわからないが、巨人と思えるほどデカイ?


俺は思考をめぐらせた、死んだ、真っ暗で動けない、明るくなったら、女性に抱えられる。

そこから出る答えは、記憶引き継いだ転生、そして出産だ。

って事はここは異世界か?


「あなた、女の子ですって。貴方の願いが通じたのね。」


「ああ、そうだな、この子は私達の希望だ。」

俺には一切なに言ってるかわからない。

が、声の雰囲気は喜んでいるようだ。


その間俺はずっと泣き続けていた。

赤ん坊だし仕方ないよな。


そんな感じで簡単に数年が過ぎた。

やってきたことは

4ヶ月で寝返り、ちょっと早めの寝返りかな?

半年でハイハイして10ヶ月でハイハイマスターに

13ヶ月で立ち上がり。

16ヶ月でなかなかのヨチヨチ歩き。

寝返りは早めだったが、歩くのはなかなか難しかった。

2歳半で言葉を大体マスターして、ついでに数字や字を子供らしく習おうとしたが、

数字はあったが、字に関しては、びっくりした。

字の事を聞いたとき、この国を作った人はおそらく日本人だと思った。

この国の字はオールカタカナだった。

この字はこの国だけで他国では違う字を使うそうだ。

そして言葉に関してはみんな共通らしい。

そして共通語をカタカナだけで読むのは大変だった。


まあそんなこんなでいろいろ覚えていき、今は教会で手伝いをしている。


「綺麗になりましたよ、神父様。」


「ありがとう、レリスはえらいな、しかも、この共同教会を綺麗にしてくれるなんて、皆1大神5神教を信仰しているというのに。」

1大神5神教とは先天性の加護を授ける神々で創造神を大神として武神、賢神、堅神、才神、美神を5神と崇める教団である、


マイナー神の芸神、魔神、地神、海神、山神、川神、水神、など様々な神がいるが、あまり大きくない街では共同教会として一括りにされる事がある。

このマイナー神たちは努力により手に入れる後天性の加護が多く。

先天性の加護を持ってなかったものや職人、魔導士、農民や狩人に少しだけ人気のある教会だ。


「私は、生まれで決まる先天性の素質より、努力による後天性の可能性を重視してるこの教会が好きなんです。」

神父様に笑顔で対応している、前世は男だった俺だが今は女なので一人称は私にしている。


「努力は大事です、加護も努力無くしては生かすことはできません。」

神父は笑顔を笑顔で返し、真面目な事を言ってきた。


「私は5歳の時教会で加護の有無を調べた時に、

1大神5神教会で才神の加護、加護の内容は極少の神力で極大の魔力を操作出来る才能がある、

共同教会では魔神の加護、加護の内容は周囲の魔力を集め留めることが出来る。

イメージ力次第では全て具現化可能。

水神の加護、加護の内容全ての水はあなたに従う。水はあなたの友達、あなたの下僕。

そう、出ましたから。

才神様の加護はありますが、魔神様の加護を更に強めている感じですから。

私はこの教会が好きなんです。」

ちなみに、教会を綺麗にした方法は水を産み出し汚れ埃などを全ての汚れを水に溶かすイメージをした後にその水は外に撒いた。


教会はイメージ通りに汚れが落ちて綺麗になった。

「ここは建て替えないとと思ってなけど、ここまで綺麗になったなら補修すればまだまだ使えそうだな、ありがとう。」


「いえいえ教会が綺麗なのも神父様が綺麗な生活を送っているからですよ。まだまだこの教会も神父様も現役ですよ。」

なにが神父様も現役なのかわからないが何となく応援して、教会をあとにした。


「レリスに幸あらんことを切に願う」

レリスが居なくなったあと、神父は神に祈った。

神父の声はレリスには届かなかったが、誰かに届いたかはわからない。


もしかしたら届いなのかもしれないが、レリスの運命は動き出している。



教会から家に帰り

「ただいま。母さん」

家の作りは平屋で土間があって靴は脱ぐ方式だ。

この国を作ったのが日本人だからだろう、土間と靴を脱ぐところだけは日本風で家の中は西洋風だ。

母さんは土間で夕飯を作っていた。


「レリス、おかえりなさい。居間にお父さんが待ってるから、居間へ行きなさい」


「はい、わかりました。」

母さんに言われるまま居間に向かった。

居間に行くと

「ただいま」


「お帰りなさい、そこに掛けなさい。」

ただいって言ったところで食い気味に父さんは私に声を掛けた。


「はい。」

素直に父さんに従った。


「お前は今まで何してきた?」

父さんは唐突に言ってきた。


今までやってきたことって水の術の練習かな?


「何してきたって言われても何しました?」

自分でも何を聞かれているのかわからず聞き返した。


「自覚が無いのかもしれないな、お前がここに生まれた時はここは荒野だった。」

父さんは何かを語りだした。

荒野だったの?

緑一杯の草原のイメージしかないけど。


「父さん達は未来視の才能を持つ、この国の姫に「そなたの子は荒野を水で満たすであろう」って言われてこの土地に、この開拓村に送られてきた。

そこで1年過ごしているとレイアが妊娠しレリスが生まれた。

レリスが生まれるとこの地に魔力が満ちて植物が育ち、食事もままならなかったこの村は食に困ることがなくなっていった。」


生まれるだけで植物が育つものなのか。

あぁ魔神の加護か。

魔力が土地に留まると植物が育つ、なかなかブッ飛んだ話だ。

そもそも、この世界で一度も排泄物を体から出していないし、

汗は体温調節のためにかくみたいだけど、臭ったりはしない。

そんな世界だからなんでもアリだよなぁ。

父さんは話を続けた。


「5歳の時、レリスの加護の内容で、私も村の皆も魔力が満ちた理由などを理解した。

そして、レリスは加護を使いこなすために練習をした。

レリスにとってはそれだけだったかもしれないが。この村の外れで池となり、何故かここから少し離れた山は緑に溢れ山にも大きな泉が出来上がり、山の泉から溢れた水が川となり、村の外れの池に流れるようになった。

偶然かもしれないが村では、姫が未来視で見たという風景ではないかという事になっている。

そこで村はもう安定したことを王都に報告を出したら、

王都から私たちに帰ってこいという命令がが来ている。

レリスお前はどうしたい?」


なんかいろいろ言われて混乱しているのに、その上私にどうしたい?とはどういうことだ。

お上の命令は絶対だろう。

しかし、加護を確認して自分の出来ることを探すための練習してたもんなぁ、懐かしい。

水平たく出して蒸発させて雲作ったり、超高圧水切断をイメージして手から水を出したり。

内蔵を洗って腸詰めやホルモン料理とかいろいろ作ったり。

そのくらいしかしてない。なんで池が出来てたんだろう?


「父さん私はどうしたらいいのですか?」

考えても答えがでないので、父さんに聞いてみた。



「そうだな、国にまたどこかの開拓村で過ごせと言われるかもしれないし、王都を魔力で満たして欲しいと言われるかもしれない。

レリスには才神様の加護がある、才の勇者候補になるかもしれない。

どうなるかは父さんにもわからない。

王都に行くしかないだろうな。」


現状何もわからないので行くしかないようだ。

覚悟を決めた。


「まだまだ荒野が沢山あるのですね、私は勇者にはなりませんが世界を水で満たすために生きたいと思います。」

私はやる事を決めた。世界に緑がないのなら、私が増やす。

今なら数日でこの村並にできるだろうと、


「そうか決めたのだな。さす」

そう決めたのだ、お上に逆らう覚悟を


「しかし、私一人で行きます。国で命令されたところには行きません。」

父さんの言葉を遮って自分の意志を伝えて

村をそのまま出た。


後ろで父さんが、「待つんだ」とか「おーい」とか言っているがもう無視した。


世界に水を届けて貢物を貰うには国主導で動いてたらダメだろうし。

国に使い尽くされるのも嫌だ。

私の旅はこうして始まった、色々な人達と出会い、儲ける旅が。



後の史実にはこう語られている

水の申し子と呼ばれし巫女は世界を水で満たす旅の途中に勇者と出会い旅を続けた。と


旅芸人の演目では

水の申し子、世界の裂け目で勇者に別れを告げられた際に離れたくないと涙を流し、

涙で世界の裂け目に水を満たし、勇者を追いかけたという勇者と水巫女の若き日の恋愛伝として人気演目となっている。


世界の裂け目は塩水で満たされているために海扱いをされていてレリス海と呼ばれている。

読んでいただきありがとうございました。

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